知っておきたい!「間取り変更」についての正しい知識とは?

間取り変更とは
間取り変更とは壁を撤去して、空間をひろげるリフォームの事を一般的に言います。加えて、間仕切りを作り、部屋のレイアウトを変更して、「効率的なスペースの使い方にリフォームすること」も間取り変更と言います。
間取りを変更で具体的にできること
●壁を取るパターン
・リビングを広げてくつろぎのスペースを大きくとることが出来る
・キッチンのセッティングをオープンに変更して、効率的で明るい空間を作る
●水回りの位置を移動する
・洗面所、洗濯機置きの場所を移動して機能的な場所に変更
・トイレやバスタブの向きを変えて、広いスペースを確保する
このように今ある空間をより良いスペースへと有効活用できることが、間取り変更の特徴です。
最初に知っておきたい、間取りが変更できる場合とそうでない場合
マンションは「共用部分」と「専有部分」という2つの区分に建物が所有区分別されています。
リフォームで間取りを自由に変更できるのは、「専有区分」にあたる場所のみです。共用部分に工事が必要な場合は、マンションの管理規約に基づいて事前申請を行うことが義務付けられているため、具体的な場所を理解しておく必要があります。
「共有部分」と「専有部分」を具体的にご紹介します。
「共用部分」 ・・・ 間取りが変更できない
・部屋内の天井、床、壁(躯体部分=構造強度にかかわる骨組み部分)
・窓枠、窓ガラス、網戸
・ベランダ、バルコニー、専用庭
・エントランス、共用廊下、屋上
・エレベーター
・電気、給排水の共用設備
「専有部分」 ・・・ 専有部分の間取りが変更できる
・天井や床、壁に囲まれた住居部分
間取り変更で注意したい5つのポイント!
ポイント① マンションの管理規約によって制限がある場合
すべての分譲マンションの所有者は、マンション管理組合に加入します。管理組合はマンションの住人共同の利益を保護し、良好な住環境を確保する為の規則・規範として管理規約というものが定められています。
管理規約の中には通常「専有部分の修繕等」という項目を設けて、リフォームを想定した場合の条項・条件の記載があります。
予めこの記載に目を通し、規定に沿った方法や間取りで工事を進める必要があります。
ポイント② マンションの構造によるリノベーションの難易度
マンションの構造による間取り変更の難易度もリノベーション前に念頭に入れなければなりません。平均的なマンションの構造は「ラーメン構造」「壁式構造」と言われる2種類です。各構造において、リノベーションにおけるメリット・デメリットをご紹介します。
・「ラーメン構造」
ラーメン構造は中高層マンションに用いられる建築構造で、柱と梁をつないで建物を支える仕組みのことを言います。ラーメン構造の特色は高い耐熱性・耐風性を発揮して耐火にも優れています。
メリットとしては、壁に支えとしての機能がないため、壁を壊して自由な設計がしやすいという特徴があります。一方でデメリットとしては、柱と梁が太いため部屋の中で露出度が高くなり、壁のクロスや床のリノベーションに手間がかかるという点です。
・「壁式構造」
壁式構造は5階建てまでのマンションによく用いられる構造です。床版と壁版を組み合わせたこの構造は耐震性・遮音性・断熱性に非常に優れた構造です。
メリットとして、壁に凹凸がなく、柱の出っ張りがないため広い空間を活用できる。一方でデメリットとしては、リノベーションをする際に支えの中心になっている壁を動かすことが出来ないので、パーテーションのように部屋を区分する様なデザインや家具とのコンビネーションで梁を目立たなくする工夫が必要です。
ポイント③ 水回りのリノベーションの際の排水経路の確認
マンションの水回りの移動には配管をどこまで自由に動かせるかがポイントになります。
特に築年数の古いマンションは床下が狭いケースが多く、排水管の傾斜が十分でなくなると、詰まりや水漏れの原因になりますので、専門家に必ず相談したうえで大幅な異動の場合は緻密な計画を立てましょう。
ポイント④ リフォーム中の住まい
リフォーム期間は工事の内容によって、数日から何か月も要する場合まで様々です。
リフォームの計画を立てる場合は、リフォーム中の住まいについても考慮しなくてはなりません。
水回りの改造などでは特に水が工事完了まで使えなくなりますので、日常生活に不便が生じます。また解体などでほこりが立つ状況ではアレルギー反応でチック症候群などにかかる心配もある為、リフォーム中は仮住まいを用意して万全の準備で取り掛かることをお勧めします。
リフォーム会社によってはウィークリーマンションや短期の賃貸マンションの紹介を行っている業者もありますので、相談してみるのも良い手段です。
ポイント⑤ 信頼できるリフォーム会社の選択
リフォームを委託する会社は出来るだけ実績件数が多く、個人のニーズに合った計画を進めてくれる業者を選ぶようにしましょう。リフォームの日数が伸びれば、コストもかさみますので、リフォームの手順説明からカスタマー側の相談にも良心的に対応できる会社が適切でしょう。
人気の高いマンションリフォームの間取り変更事例とは?
人気の高いマンションリフォームでは間取り変更に伴い計画以外の水回りや排水溝の変更が生じる場合があります。
レイアウト計画の際にある程度の余裕をもってリフォーム期間や出費についても概算する必要があります。フルリフォームから部分リフォームの変更事例をご紹介します
間取り変更事例① 川景色を見下ろすLDK

970年代に流行したLDに和室がつながった当時としてはスタンダードだった間取りを、和室を取り込んでLDKを大きく拡大。床全体をフローリングにすることで更に部屋全体に広がりを持たせることができ、素足でも心地よいヨーロピアンオークのスプーンカットを床材に使用してくつろげる空間にリフォームが完成。
壁は塗装・タイル・モルタルと各素材のテクスチャーが楽しめる工夫が凝らされ、黒と白のモルタルを重ねた左官仕上げのウォールは、光の反射でコテ跡が浮かび上がり独特の雰囲気をかもしだすおしゃれな仕上げ。
梁の出っ張りを利用して、ダウンライト・スピーカー・プロジェクターを組みこみ、インテリアと機能性がエフォートレスに実現。川に向かって開らかれた拡張LDKはモダンで落ち着いた空間に見事にリフォームされ、音楽を聴いたり、映画を観たり何気ない日常が贅沢で特別なものに変わりました。
工期:4か月 工事費:2700万円
間取り事例② 家族の気配りが伝わる空間

築16年のメゾネットマンションは、立地や景観は最高のシチュエーションでしたが広く見渡すことが出来ない孤立したキッチンは、小さな子供の様子をうかがうのに非常に不便でした。
囲われたキッチンで仕切られていたLDの間取りを、開放的なオープンキッチンにリフォームすることで、南の窓から眺める美しい景色を背に、リビング・ダイニング・子供部屋まで見通しの効く効率的で機能的なLDKへと生まれ変わりました。
壁面収納を設けることでキッチンスペースをスッキリと見せる他、リビングからはカウンターの内側が目隠しになる高さに設定され、桜の季節には南の窓は、見事なピクチャーウインドウとして訪れたゲストの目も楽しませることでしょう。
間取り事例③ 快適性を重視したクラシカルなデザイン

築40年以上経過した1Rマンションはデザインも機能性もすでにダイナソアーの領域。
間取り・設備・デザインを一新して総リフォームの計画で購入したというDさんの狙いは、アンティーク調な洋館がかもし出すどことなく懐かしい雰囲気。
洗面室・浴室・洗濯機置き場が一体になった手狭なスペースがネックでしたが、天井高をあげて収納に使われていたクローゼット部分を大幅に洗面と洗濯機置き場へ改造しました。
壁にはキッチンと同じグレーのタイルを貼り、部屋の中の色調を統一するとともに、サブウェイタイルのようにデザインされた壁がバスルームのフォーカルポイントにもなっています。フリースタンディングのバスタブに変更することで、インテリア全体も室内のレトロな雰囲気にマッチする異国の情緒たっぷりの空間に仕上がっています。
間取りを変更して理想の住まいに
中古マンションのリノベーションは最近非常にポピュラーになりつつある傾向があります。間取り変更を行うことで、希望の空間に現在の住まいを快適な場所にカスタマイズすることができます。
マンションの管理規約やテクニカル的に可能なリノベーションをあらかじめしっかり確認し、信頼するリフォーム会社と相談しながら、理想の住まいを実現させましょう。