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住宅を全体的に修繕・改修し、大きく造り変える戸建てのスケルトンリフォーム。今回はスケルトンリフォームの費用相場に触れながら、スケルトンリフォームのメリットやデメリットについて紹介していきます。
戸建てのスケルトンリフォームとは?
スケルトンリフォームは、住宅の壁や床、天井などの内装材を撤去し、構造部分をあらわにしてから行うリフォーム方法です。
部分的なリフォームの場合、間取りはそのままに、壁や床、天井など特定の箇所のみ修繕したり改修していきます。一方、スケルトンリフォームは、間取りを変更したり、住宅そのもののコンセプトを変えて全体的に修繕・改善したいときに最適なリフォーム方法です。
戸建てのスケルトンリフォームの事例と費用相場
リフォームにかかる費用はそれぞれのケースによって異なるため、一概に「〇〇万円かかる」と言い切ることはできません。
そのため、戸建てのスケルトンリフォームにかかる費用感を明確にしたいのであればリフォーム会社に相談して見積もりを作成してもらうのが一番です。また、リフォーム会社の事例を参考に、おおよその相場感を確認することはできます。
ここでは、実際にCRAFTで戸建てをスケルトンリフォームした2つの事例を紹介していきます。
1. 自然とシームレスにつながるスタイリッシュな戸建て
中古で購入した戸建てをスケルトンリフォームした事例です。
もともとLDKと和室で構成されていた一階は、和室をなくし、より伸びやかなLDKに変更。庭に面した西側の壁を撤去し、冊子を拡大したことによりLDKから庭までがひと続きになっているような開放感のある空間に生まれ変わりました。
西側の壁と和室とリビングの間には、構造上撤去することができないブレース(筋交い)や柱が設けられていましたが、周りの設備にマッチする色味に塗装することで空間のアクセントに昇華しています。
築年数:築11年
面積:90㎡
費用:2,800万円
2. ご実家の戸建てをグレイッシュモダンな邸宅に
ご実家の3階建ての戸建て。もともと倉庫として使っていた1階部分を住居にスケルトンリフォームをしました。
重量鉄骨造のため、構造上どうしても撤去できない柱とブレースがありましたが、その柱とブレースをリビングとダイニングの間仕切りとして活用。視線を緩やかに通しつつも、さりげなくゾーニングしています。
築年数:築45年
面積:119㎡
費用:4,650万円
戸建てのスケルトンリフォームの費用に影響する3つの要素
戸建てのスケルトンリフォームの費用はそれぞれのケースで異なりますが、費用を左右する主な要素としては、
・建物の面積
・リフォームの内容
・建材や設備のグレード
の、3つがあげられます。
建物の面積が増えると、壁や床、天井などの内装を撤去する範囲も広くなるため、当然ですが費用も高くなります。また、リフォームの内容も費用に影響する要素の一つで、やりたいことが増えれば増えるほどコストもかさんでいきます。
住宅のリフォームに用いられる建材や住宅設備のグレードはさまざまですが、建材や住宅設備のグレードも費用に影響する要素の一つです。無垢材や天然素材など高価な建材を選んだり、高機能なハイグレードの設備を導入すると、費用も高額になります。
スケルトンリフォームでやりたいこと全てをやるのではなく、デザイナーに相談しながら優先順位を明確にすることで予算内に抑えることができます。
戸建てをスケルトンリフォームするメリット
戸建てを「建て替え」ではなく「スケルトンリフォーム」するメリットとしては、
・ライフスタイルの変化に合わせて間取りを大きく変更できる
・配線や配管、建物の状態をチェックできる
・再建築不可物件でも住宅を大きく変化させることができる
などがあげられます。それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。
ライフスタイルの変化に合わせて間取りを大きく変更できる
スケルトンリフォームでは、水まわりの場所を移動させたり、部屋の数を増やす・減らすなど、間取りを大きく変更できます。そのため、ライフスタイルの変化や、
・結婚
・出産
・子供の成長・独立
・相続
・同居
など、さまざまなライフイベントに合わせ、そのときどきの最適な間取りに造り変えることができます。引っ越すのではなく、暮らし慣れた街に住み続けられる点は、スケルトンリフォームならではのメリットだと言えるでしょう。
配線や配管、建物の状態をチェックできる
築年数の古い住宅の場合、配線や配管、構造体の劣化が進んでいる可能性もありますが、部分的なリフォームだと、配線や配管、構造体の状態まではチェックできません。
一方、スケルトンリフォームでは、既存の内装をすべて取り除き、躯体の状態にしてから進めていくため、内装材の内側にある配線や配管、構造体の状態もチェックできます。それらの箇所に劣化や不具合が見られる場合は、配線や配管、構造体の修繕もまとめて行えるので、効率的にリフォームできます。
また断熱材の充填により、古くなった住まいの断熱性能を高めることも可能です。
再建築不可物件や要セットバック物件でもリフォームできる
既存の住宅の中には、再建築不可物件や要セットバック物件など、特殊な物件もあります。これらの物件は、建て替えができなかったり、建て替えすると住宅の面積が狭くなってしまう非常に特殊な物件ですが、スケルトンリフォームはこういった特殊な戸建てのリフォームにもおすすめです。
スケルトンリフォームなら、再建築不可物件であっても全体的に住まいをリフレッシュできます。
ただしリフォームの内容によっては建築確認申請が必要になることもあるため、リフォーム会社とは慎重に話し合い進める必要があります。
戸建てをスケルトンリフォームするデメリット
建て替えにはない魅力があるスケルトンリフォームですが、デメリットがないわけではありません。
戸建てをスケルトンリフォームする上で注意するべき主なデメリットとしては、
・住宅の構造によっては希望通りのリフォームを行えないケースもある
・仮の住まいを用意する必要がある
・建て替えよりも割高になってしまうこともある
の、3点があげられます。
それぞれのデメリットについて詳しく解説していきます。
住宅の構造によっては希望通りのリフォームを行えないケースもある
「戸建て」とひとくちに言っても、その構造はさまざまです。代表的な構造としては、
・木造軸組工法(在来工法)
・2×4工法(枠組壁工法)
・鉄骨造(S造)
・鉄筋コンクリート造(RC造)
などがありますが、2×4工法や軽量鉄骨造、壁式構造の鉄筋コンクリート造の戸建ては、間仕切りや耐力壁など、移動や撤去できない壁があり、間取りの変更に制限が生じてしまうことがあります。こういった住宅の場合、ご希望通りのリフォームを行えないケースもあります。
仮住まいを用意する必要がある
紹介してきたとおり、戸建てのスケルトンリフォームは大掛かりなリフォーム工事です。壁や床、天井の撤去や間取りの変更、配線や配管の状態によってはそれらの修繕も行います。
そのため、部分的なリフォームのように住宅に住み続けながら工事することができず、工事期間中はの住まいを用意する必要が出てきます。
リフォームの内容にもよりますが、スケルトンリフォームの工期は3〜6ヶ月ほどと長期になるため、仮住まいの数ヶ月分の家賃も考慮した上で資金計画を立てましょう。
建て替えよりも割高になってしまうこともある
スケルトンリフォームは住宅を躯体だけの状態にして全体的に改修するリフォーム方法なので、費用も高額になりがちです。
実際の費用は住宅の広さやリフォームの内容によって異なりますが、配線や配管、躯体の修繕、耐震工事や断熱工事まで行うとなると、建て替えより割高になってしまう可能性もあります。また、グレードの高い建材や住宅設備を選んだ場合も同様です。
建て替えより割高になってしまうケースはそう多くありませんが、見積もりを作成してもらい、自分がやりたいことにいくらかかるのかを明確にした上で判断するようにしましょう。
〈まとめ〉戸建てのスケルトンリフォームの費用相場は、事例と見積りを参考に
住宅を大きく造り変えるスケルトンリフォームの金額は高額になりがちですが、実際の費用感は住宅の面積やリフォームの内容、用いる建材や導入する住宅設備のグレードによって異なります。そのため、「戸建てのスケルトンリフォームには〇〇万円かかる」と断言することはできません。
ただ、近い内容の事例や近い広さの住宅のリフォーム事例を参考にすることはできますし、リフォーム会社に相談して見積もりを作成してもらえば、より明確な金額を確認することができます。
CRAFTではご希望のリフォームの内容をしっかりとヒアリングし、プランニングや見積りを作成しています。「建て替えとリフォームで迷っている」という場合は、費用的にどちらがよいかもお話しさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。
<著者>上原 宏介
住宅関連のコンテンツ作成を得意とするライター。専門的な言葉や用語が多くわかりづらくなってしまいがちな建築・リフォーム関連の情報をわかりやすくお伝えしています。さまざまな媒体で建築・リフォーム・不動産関連のコラムを多数執筆中。