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音楽や映画を迫力のある大音量で楽しんだり楽器を演奏するのに最適な防音室。そんな防音室を「マンションにつくりたい!」と考えている方も多いのではないでしょうか?
リノベーションでマンションに防音室を設置した事例や、防音室を設ける方法、注意点などについて紹介していきます。
マンションに防音室を設ける方法
マンションに防音室を設ける方法はいくつかあります。
・壁に遮音性の高い素材を導入する
・組み立て式の防音室を設置する
・一室丸ごと防音室にリノベーションする
など、求める防音性能やかけられる費用によってさまざまです。それぞれの設置方法について詳しく解説していきます。
〈防音レベル★〉壁に遮音性の高い素材を導入する
住宅に防音室をつくる方法として最もかんたんなのが、壁に遮音性の高い素材を使用する方法です。
部屋の壁の内側にグラスウールなどの吸音性のある素材を導入し、部屋の遮音性を高めます。音は窓などの開口部から入ってきやすく、出ていきやすいので、壁への施工と併せて窓にインナーサッシを取り入れるとよいでしょう。
この方法は費用もリーズナブルで、設置にかかる期間も短いため導入しやすい方法だと言えますが、遮音性はそこまで高くありません。外からの騒音を防いだり、部屋で映画を見たり音楽を聞いたりするときの騒音をある程度軽減することこそできますが、楽器の音を防げるほどの防音効果は期待できないので注意しましょう。
〈防音レベル★★〉組み立て式の防音室を設置する
「大規模な内装工事はできないけれど、ある程度の防音性能がほしい」といったケースでおすすめなのが、組み立て式の防音室を設置する方法です。
パーツを組み立てて部屋の中に簡易的な防音ブースを作るため、内装工事が必要なく、賃貸物件でも気軽に導入できます。また、「購入したマンションではあるものの、利用規約の関係で大掛かりなリノベーションを行うことができない」というケースにも採用できます。気密性が高く防音性も高いので、楽器を演奏したり歌を歌ったりすることも可能です。
〈防音レベル★★★〉一室を丸ごと防音室にリノベーションする
「より本格的な防音室が欲しい!」という方におすすめなのが、一室丸ごと防音室にリノベーションする方法です。
部屋の壁や天井、床の内側に吸音材や防音シートを設置するのに加え、壁材や床材自体を吸音性や遮音性の高いものに変更して、部屋全体の防音性能を高め、部屋から音が漏れないようにします。
壁だけでなく天井や床も施工するので、ドラムなどのより大きな音が出やすい楽器にも対応可能です。
マンションに防音室を設けるのにかかる費用
マンションに防音室を設ける際の費用相場は、防音室の設置方法によって異なります。先ほど紹介した3つの設置方法で防音室を設置する際の一般的な費用相場は以下のとおりです。
防音室の設置方法 | 費用相場 |
---|---|
壁に遮音性の高い素材を導入する | 15〜30万円 |
組み立て式の防音室を設置する | 50〜300万円 |
一室を丸ごと防音室にリノベーションする | 200〜600万円 |
組み立て式の防音室の設置と、一室を丸ごと防音室にリノベーションする方法は、求める防音レベルによって費用が大きく異なります。ドラムなどのより大きな音の楽器に対応する、遮音性の高い防音室は導入にかかる費用も高額になるので注意してください。
また、上記の費用はあくまで一般例であり、費用は設置を依頼する会社、お住まいの状況によって異なります。より詳細な費用が知りたいときは、見積りを依頼しましょう。
マンションに防音室を設けるのにかかる期間
防音室の設置にかかる期間も、設置方法によって異なります。
設置方法ごとの工事期間の目安は以下のとおりです。
防音室の設置方法 | 設置にかかる期間の目安 |
---|---|
壁に遮音性の高い素材を導入する | 1〜3日 |
組み立て式の防音室を設置する | 数時間〜半日 |
一室を丸ごと防音室にリノベーションする | 1〜3週間 |
組み立て式の防音室は、防音室を設置する部屋に部品を運び込んで組み立てるだけで設置できるので、そこまで時間はかかりません。業者に組立〜設置までお願いするのであれば、数時間〜半日で完了します。
壁に遮音性の高い素材を導入する方法は壁への施工が必要になるので、1〜3日程度はかかると考えておくべきです。
一室丸ごと本格的な防音室にリノベーションする方法では、本格的な内装工事が必要になるので、最低でも1週間、長い場合だと3週間以上かかってしまうこともあります。
なお設置期間についても、依頼する会社によって異なります。工事を依頼したいと考えている会社に事前に問い合わせて確認しておくことをおすすめします。
リノベーションでマンションに防音室を設けた2つの事例
マンションに防音室を設置したいと考えているのであれば、実際に防音室を設置した住まいの事例をチェックてみましょう。
ここでは、CRAFTでリノベーションした2つの事例について紹介していきます。
リビング横に2.5畳の小さな防音室を設けたリノベーション事例
こちらは、築19年のマンションに防音室を設置したリノベーションの事例です。横浜の海をのぞむマンションをフルリノベーションする際に、リビングサイドに2.5畳の小さな防音室を設けました。
壁の一部をFIX窓にしたことで、海を眺めながら練習できるように。心地のよい空間で思いきり、伸びやかに歌うことができます。
メゾネットマンションの地下を音楽室にリノベーションした事例
こちらは、築16年のメゾネットタイプのマンションに防音室を設けた事例です。お子さまが誕生したことで「もっと広い家に住みたい」と思うようになり、メゾネットタイプのマンションを購入してリノベーションしました。
「地下は音が響きにくい」という特性から、地下に音楽室兼書斎を新設。床と壁を黒で統一して音楽スタジオのような空間に仕上げています。こちらの防音室で奥さまや音楽仲間とセッションをたのしんでいるそうです。
マンションに防音室を設けるときの注意点
マンションに防音室を設置したいと考えているのであれば、以下の4つの注意点についてもしっかりと把握しておかなくてはいけません。
・マンションの管理規約を確認する
・目的にあった方法で防音室を設ける
・部屋の階数もチェックしておく
・トータルでプランニングしてくれる会社を選ぶ
それぞれの注意点について詳しく解説していきます。
1. マンションの管理規約を確認する
マンションには管理規約があり、そのマンションの住人は管理規約を遵守しなくてはいけません。
管理規約で防音室を設置することが禁止されていたり制限されていたりすることも多く、その場合は、規約を逸脱してしまうような工事は行うことができません。また、リノベーションが容認されていたとしても事前に許可を取るなどの対応が必要になることも多いので、まずはマンションの管理規約をしっかりと確認しておくようにしましょう。
2. 目的にあった方法で防音室を設ける
紹介してきたとおり、防音室の設置は決して安く済ませられるようなものではありません。最低でも数十万円はかかりますし、本格的な防音室を導入するとなると数百万円かかることもあります。
お金をかけて防音室を設置したにも関わらず「思っていたのと違う…」となってしまうことを避けるためにも、防音室を設ける目的を事前にハッキリさせておかなくてはいけません。
工事を依頼する会社の担当者と話し合い、目的にあった方法で防音室を設けるようにしてください。
3. より遮音性の高い防音室を設けたいときは部屋の階数もチェックしておく
打楽器や低音が響くタイプの楽器は他の楽器よりも音が大きく響きやすいので、より本格的な防音室を導入しなくてはいけません。
これらの楽器に対応する本格的な防音室は、壁だけでなく天井や床にも吸音材や遮音シートを設置しなくてはいけませんし、壁や床に使用する素材自体も遮音性の高いものに変更するため、部屋全体の重量が増してしまいます。そのため、床の補強工事が必要になることも。2階以上の部屋は床に対して施工することができず、防音室を設けられないケースがでてくる可能性もあります。
より遮音性の高い本格的な防音室を設ける際は部屋の階数も重要になるため、事前に「施工可能かどうか」をチェックしておきましょう。
4. 防音室の設置を含めトータルでプランニングしてくれる会社を選ぶ
もしフルリノベーション前提であれば、単に防音室を設置してくれる業者ではなく、防音室の設置を含めトータルでプランニングしてくれるリノベーション会社を選びましょう。
フルリノベーション会社は、生活動線や他の部屋への影響、使い勝手などさまざまな点を考慮した上で提案してくれるので、防音室を設置したことで暮らしにくくなるようなことがありません。
防音室の設置を含め、部屋全体を大々的にリノベーションする予定なのであれば、なおさらトータルでプランニングしてくれる会社への依頼が重要になります。
〈まとめ〉防音室で好きなことを思いっきり楽しめる空間を
防音室のつくり方や事例をご紹介しました。防音室は
・映画鑑賞や音楽鑑賞を思いっきり楽しみたい
・楽器の演奏を楽しみたい
・足音や騒ぎ声を気にせず子どもを思いっきり遊ばせたい
という方にはオススメです。
本格的な防音室の設置はそれなりに費用もかかりますが、非常に満足度の高い設備。気になっている方はぜひ検討してみましょう。これからフルリノベーションにより防音室の設置を検討中の方は、ぜひCRAFTにご相談ください。物件探しからもサポート可能で、快適な防音室づくりのお手伝いをさせていただきます。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。