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「寒い」「暑い」と感じる鉄筋コンクリート(RC)住宅は、断熱がおすすめです。断熱方法は「内断熱」「外断熱」がありますが、リフォームでは内断熱を採用するケースが大半。断熱リフォームの効果を実感するなら、経験豊富な会社に依頼しましょう。
鉄筋コンクリート(RC)の断熱性能。断熱材ナシだと寒い?

「RC住宅は温まりにくい」は、ほんと?
RC住宅に使われているコンクリートの熱伝導率の高さは「木材の約12倍」と言われています。ほとんど石と同じです。つまり、外気が冷たければコンクリートを通じて熱が逃げ、室内が冷えるという原理。さらにコンクリートは蓄熱性も高いため、暖房をつければ空気は暖かくなるけれど、壁や床が暖まるまでは時間がかかる、という状態もありえます。
コンクリート自体に、断熱性はほとんどありません。
快適に暮らすためには断熱材が必要
もしRC住宅なのに断熱材が入っていないとしたら、RC住宅の真冬は過ごしづらいものになるでしょう。
断熱材が不十分なRC住宅は、真冬にシャツ1枚で過ごすようなもの。逆に言えば断熱を施すと、コートやヒートテックを着たくらい暖かく感じるのです。
ご自宅の寒さが気になっているのなら、「壁や天井裏に断熱材がしっかり施工されているか」を専門家に相談することが大切です。とくに築年数の古い建物のなかには、鉄筋コンクリートの構造躯体にクロスを直接貼っただけの壁も存在します。
断熱材は目に見えない部分ですが、住み心地に大きく影響するポイントです。
鉄筋コンクリート(RC)造の断熱工法
鉄筋コンクリート(RC)住宅の断熱方法は、断熱材を設置する場所により2種類に分けることができます。

外断熱
外断熱は、建物の外側を断熱材でぐるりと囲む方法です。例えるなら、ダウンコートを着ているような状態になります。区分所有のマンションをリフォームする場合、共用部分にあたる外壁に手を入れることはできないため、外断熱を選択することはできません。
内断熱
内断熱は、建物の室内側に断熱材を設置する方法。洋服の下にヒートテックを着ているような状態です。マンションも戸建ても、リフォーム現場では工期が短くコストが低い内断熱が採用されるケースがほとんどです。
リフォームで断熱性を高める方法
リフォームで採用される内断熱の施工方法には、いくつかの種類があります。
1.吹き付け断熱

ウレタン断熱材の原液を発砲装置で発泡させて、職人さんがホースでコンクリート躯体に吹き付けていくのが「吹き付け断熱」です。
厚みがあるほど断熱性は高まりますが、厚すぎると壁が熱くなり、部屋が狭くなってしまいます。そのため、適切な厚みに調整できる熟練の技術が必要です。
「断熱材を充填し終わった瞬間から、その場の空気があたたかく感じる」と職人さんが話すほど、即効性が高く効果抜群。窓周りなどの細かい部分にも隙間なく吹き付けられるため、リフォーム現場でも多く採用されています。
2.充填断熱

コンクリートの壁や天井に断熱材を敷き詰めていく方法が「充填断熱」です。グラスウール、ロックウール、セルロースファイバーなどさまざまな材料があり、特徴が異なります。リフォーム会社と相談しながら適したものを選んでいきましょう。
壁や天井の空間に断熱材を詰めるだけなので、吹き付け断熱のような特殊な施工技術が不要で、施工性が高いというメリットも。こちらもリフォーム現場で多く採用されています。
3.窓の断熱改修

「単板ガラスは室内の暖気の58%を奪う」と言われているため、壁や天井だけでなく窓の断熱性も向上させる必要があります。
窓の断熱リフォームには、「インナーサッシを設置して2重窓にする」「断熱性の高いサッシに替える」「単層ガラスからペアガラスに替える」などの方法があります。コストや断熱レベルに合わせて選びましょう。
鉄筋コンクリート(RC)造の断熱リフォーム事例
天井を断熱材を吹き付け

マンションの最上階をリノベーションした事例です。最大3mの天井高という伸びやかな空間が魅力の物件ですが、最上階のため外気温の影響を受けやすく、真夏は室温が38℃を超えることもありました。
解体すると断熱材不足が確認されたため、天井に断熱材の吹き増しを実施。また、予備スリーブを利用した吸気口を設置して通気性を高め、過ごしやすさを向上しました。
壁に断熱材を入れ、床暖房を導入

港区のヴィンテージマンションを、NYの高級アパートメントをイメージした賃貸住宅にリノベーション。交通利便性の高さやワンフロアに一世帯というゆとりある造りが魅力のマンションですが、設備や機能の古さがありました。
そこで、北側の居室の壁に断熱材を追加。そのほか床暖房の採用、造圧ポンプの設置によるシャワー水圧のアップなどで、機能性・快適性を高めています。
建物全体を断熱&サッシとガラスを交換

鉄筋コンクリート(RC)造の一戸建てをリノベーションした事例です。建物に断熱材が入っておらず、窓は単層ガラスのため冷えが厳しく、間取りは細かく区切られていて窮屈でした。
そこで建物全体に断熱材を追加し、窓は断熱サッシとペアガラスに入れ替え、床暖房を採用。3階建てのうち2〜3階を居住スペースに、1階を映画鑑賞や写真の展示を楽しめるプレイルームにするという大胆なプランニングにより、ライフスタイルに合う快適な住まいに生まれ変わりました。
結露が気になる壁側に断熱材を充填

メゾネットマンションのリノベーション事例です。山の斜面に面している寝室の湿気が気になっていたため、結露対策として壁に断熱材を追加しました。
壁式構造のため主要な壁を移動することができませんが、開口部をドアから引き戸に替えることで空間の開放感を高め、間取りの工夫により作業スペースや収納を増やしています。

鉄筋コンクリート造の断熱リフォームは、経験豊富なCRAFTへ
断熱リフォームは、技術的なノウハウがある会社に依頼することが大切です。断熱材のセレクトや施工方法も、経験が豊富な会社なら、より的確な判断をしてくれます。
さらに、万が一のトラブル時にも迅速かつ適切に対応し、長期的なメンテナンスや保証も安心して任せられる点は大きなメリットです。
断熱工事を含めたRCのフルリフォームをご検討の方は、ぜひCRAFT青山ショールーム見学&相談にお申し込みください。
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<著者>中野 瀬里乃
CRAFTのインハウスエディター兼ライター。出版社を経て2013年リノベーション会社CRAFTへ入社。自社HPにてリノベーション・不動産・建築・インテリア関連の事例紹介やコラムを多数執筆。