目次
南フランスの歴史ある街並みと、リゾートエリア特有の大らかな空気。オレンジの屋根や、質感のゆたかな珪藻土の壁、古い煉瓦…。これらに憧れている方は多いのではないでしょうか。
こうした空気感を住まいにとり込めば、よりリラックスできそうです。今回は、リノベーションでつくる南仏インテリアをご紹介します。
南仏といえば石畳や煉瓦。手づくりのぬくもりがダイレクトに
南仏といえば、石畳の小径やアーチの玄関、煉瓦と土の壁といったイメージがありますね。
それらが長年太陽にさらされて、使い込んだ木綿のような柔らかさが生まれ、独特の街並みを形成しています。
ところどころ歪んだり、たわんだりと手づくりの味わいも満載。絵本の世界に迷い込んだような、不思議な気分がおとずれます。
そんな南仏のイメージを取り入れながらリノベーションしました。
〈南仏インテリアcase1〉エキゾチックなマルセイユ風に
マルセイユは地中海に面した大きな港湾都市です。アフリカに近いこともあり、モロッコなど異国の文化が流れ込んでいます。そのため少し、エキゾチックな雰囲気。
「旅行で行った南仏や地中海がとてもステキだった」という奥さま。ご自宅のリノベーションでもこうしたテイストをご希望でした。そこでキッチンとリビング・ダイニングの開口部はアーチ状に仕上げ、洞窟のようなイメージに。厚い壁にたっぷりと塗った漆喰が、南仏らしいぬくもりを演出します。
ライブラリースペースはネイビーでまとめ、地中海の海を想わせる空間に。壁はエキゾチックなパターンのタイルをアクセントとしています。間接照明によって天井の曲線を強調し、リラックスできる雰囲気に。坪庭からは自然光がたっぷりと注ぐため、窓側のベンチに座るとライトがいらないほどです。
昼は明るいリビングで過ごし、夜は静寂さにつつまれたライブラリーで本の世界に浸る。メリハリのある過ごし方ができそうですね。
〈南仏インテリアcase2〉歴史あるニース風に
地中海に面したニースは、あのコートタジュール(紺碧の海岸)がある街。南仏のなかでもイタリアに近く、太陽に恵まれ、古くから貴族や皇族がヴァカンスに訪れました。まさに歴史あるリゾート。
そんな南仏の空気感をとりこんだのが、こちらの住まいです。
休暇を家族や友人と過ごすセカンドハウスとして、海の近くの中古マンションを購入したご夫婦。カジュアルではなく、アンティークテイストの落ち着いたリゾート感をご希望でした。
そこで、フローリングは深みのある色合いのスギの無垢。天井には化粧梁を入れてアクセントに。経年を感じさせる木材を使って、経年の趣をつくりました。
寝室との間には厚い壁を設け、パステルブルーの珪藻土をたっぷりと。南仏特有のパステルカラーと曲線を描く開口、そして窓から注ぐ明るい自然光。さまざまな要素を取り入れて、リゾート気分を高めています。
〈南仏インテリアcase2〉素朴なアルル風に
海沿いのマルセイユやニースと異なり、アルルはやや内陸エリア。そのため少しだけ趣が変わってきます。たとえばゴッホの「夜のカフェテラス」で有名なアルルの旧市街。活気があって、ほどよく素朴な古い街です。
長年暮らした一戸建てをリノベーションすることになったご夫婦。お2人とも海外生活の経験があり、独自のセンスで家具や写真、絵画を集めていました。これらのアイテムが調和するように、南仏テイストにリノベーションすることに。
床にはチークの無垢フローリング、壁には珪藻土を。昔ながらの素材が、素朴な南仏の街を想わせます。
キッチンの床には、1枚ごとに異なる濃淡、ざらざらとした質感の六角型のタイルを貼りました。壁にも経年したような風合いの、長方形のタイルを。南仏カラーのオレンジのタイル、テクスチャーのある漆喰、そして窓からたっぷりと注ぐ自然光。
南仏の田舎町のようなキッチンで、おいしいフランスの家庭料理をつくってみたいですね。
まとめ
クラフトが手掛けた、南仏インテリアのリノベーション事例をご紹介しました。
フランスの南部はイタリアやアフリカに近いため、さまざまな要素が入り交じりながら独特のインテリアを形成しています。地中海のあたたかい気候に恵まれ、ゆったりとして陽気な空気に包まれていることも特徴の1つ。
ポイントは、無垢のフローリングや珪藻土の壁といった自然素材、そして自然光の取り入れ方にこだわること。リノベーションで南仏インテリアにチャレンジする方は、素材とディテールに気をつけましょう。空間が完成したら、南仏らしい家具や小物を並べ、あなたらしさをプラスしてください。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。