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木本来のあたたかな感触とやさしい質感が人気の無垢材。「リフォームするなら無垢フローリングにしたい!」と考えている人は多いのではないでしょうか。
しかし「無垢フローリングだと床暖房にできない」と聞いたことはありませんか?
それって本当なのでしょうか?
無垢材の専門会社〈株式会社マルホン〉にたずねてみました。
「そもそも、なぜ無垢フローリングは人気があるのですか?」
———無垢材の人気が高い理由としては、本物の木ならではの質感とあたたかな感触、爽やかな香りや優しい色合いによるリラックス効果などがあります。これらの効果は昔から感覚的に知られてきたことですが、科学的な実験によっても立証されているのです。
無垢材はほかの素材に比べて熱伝導率が低く、体温を奪いにくいため、床材に適しています。とくに室温の低い空間ではその差が顕著になります。また、木質材料を用いた空間は、そうでない空間に比べて集中力を高めたり、睡眠の質を高めたりする作用があることがわかってきました。
空気中の湿度が高いときには水分を吸収し、乾燥しているときには水分を吐き出す調湿作用により、室内の湿度を調整する働きもあります。
「でも、無垢フローリングは床暖房にできない」って本当ですか?
———「無垢フローリング」とは、木材から切り出した板をそのまま成形した床材です。張り合わせによって複層で構成された床材は「複合フローリング」といいます。
確かにかつては「無垢材は床暖房にできない」と認識されていました。無垢材は、乾燥や熱により収縮や反り・割れなどが生じやすい特徴があるため、床暖房使用の環境下では安定した品質の確保が難しかったのです。
しかし現在は無垢材に寸法安定性を高める処理を施すことで、床暖房にも対応することが可能になりました。弊社では10樹種・19商品の床暖房対応フローリングをご用意しています(2021年1月現在)。
「床暖房対応とそうでないフローリングの違いは何ですか?」
———床暖房対応の無垢フローリングは、熱や乾燥による反り・割れ・収縮が生じにくいように、一般的なフローリングとは異なる工程・処理を経ています。
水と熱による高温処理「熱処理」をはじめとした技術を、樹種ごとに適した方法で施すことで、寸法安定性を高めることができるのです。化学物質や薬剤を用いていないため、安心してお使いいただけます。
なお、弊社の床暖房対応フローリングは、電気式と温水式いずれの床暖房にも使用することが可能です。
「無垢材フローリングを選ぶ際のポイントを教えてください」
———<硬さ>
硬い樹種は耐久性が高く、生活による傷がつきにくいです。柔らかい樹種は傷がつきやすい一方、肌当たりがやさしく温もりを感じやすいという特徴もあります。
———<塗装>
オイルフィニッシュや蜜蝋ワックスなどの「浸透性塗料」は、木材に浸透する塗料です。表面に塗膜をつくらないため、無垢材本来の質感を楽しみたい人におすすめです。定期的なメンテナンスが必要になります。
ウレタン樹脂などの「コーティング系塗料」は、フローリングの表面に硬い塗膜をつくる仕上げです。浸透性塗料に比べると無垢材の質感は失われますが、水や汚れに強いというメリットがあります。
「おすすめの床暖房対応無垢フローリング、ベスト3を教えてください」
———おすすめの3製品は、すべてオイルフィニッシュ(浸透系塗料)の無垢材です。オイルフィニッシュは、夏場に汗ばんだ素足で歩いてもさらりと気持ちよく、木そのものの質感を楽しんでいただけます。
軽微な傷や汚れはご自身で簡単に補修することも可能ですし、傷を味わいと捉えることもできます。お手入れの手間はかかりますが、「無垢ならでは」の良さを存分に楽しんでいただける塗装です。
一方で、オイルフィニッシュは調湿作用が優れているため、床暖房のように熱が加わり乾燥する環境では、無垢材の性質上どうしても動き(寸法の変化)が大きくなります。
このように過酷な状態に耐えられる床暖房対応無垢フローリングは業界でもラインナップが少ないのが現状です。そんななかでも本物の無垢材で、質感を存分に楽しめる商品を多数取り揃えているのは、弊社が自信をもってご紹介できる点になります。
おすすめNo.1:【ウォールナット 床暖房対応 無垢フローリング 57mm巾】
———世界三大銘木のひとつであるウォールナット。ソリッドワンピースタイプ(「長さ」につなぎ目のない一枚もの)で「これぞ本物の無垢材」と言えるダイナミックさがあります。木本来の質感を楽しむことができるオイルフィニッシュです。
フローリングの幅は75~90mmが一般的ですが、こちらは57mmと細身です。しばらく幅広が人気の傾向にありましたが、細身の製品は上品で繊細な印象があり、密かに人気が出てきています。
おすすめNo.2:【チーク 床暖房対応 無垢フローリング 75mm巾】
———こちらも世界三大銘木として人気のあるチークで、インドネシアで植林されたものを使用しています。もともと寸法安定性が高く床暖房に向いている樹種です。木に含まれる良質な油脂分によるしっとりとした肌触りが特徴で、オイルフィニッシュで無垢材ならではの質感を楽しむことができます。
木材を有効活用できるソリッドユニタイプ(さまざまな長さの板を数枚つなぎ合わせたもの)で、比較的お手頃に無垢材を導入することができます。
おすすめNo.3:【アッシュ 床暖房対応 無垢フローリング 120mm巾 熱処理】
———高温と水蒸気による「熱処理」を施すことで、120mmという幅広×無垢×オイルフィニッシュを実現した製品です。
幅広かつソリッドワンピースタイプで、アッシュならではの力強い木目を存分に楽しむことができます。
「施工費用はどれくらいですか?」
———LDKの床を全面張り替えて無垢フローリングの床暖房にする場合、施工費用の目安は下記の通りとなります。
・ガス温水循環式
(床暖面積18㎡程度) 870,000円~
・電気式
(床暖面積18㎡程度) 650,000円~
「無垢フローリングの日頃のお手入れ方法を教えてください。」
———お手入れ方法は、塗装の種類によって異なります。
<浸透性塗料>
掃除機や雑巾による乾拭きで、フローリング表面のチリやホコリを除去してください。ドライタイプのロボット掃除機も使用できます。万が一シミや傷ができてしまった場合、ご自身で補修していただくことが可能です。
化学薬品を含むフロアワイパーやウェットモップは、変質の原因になることがあります。ウェットタイプの掃除機の使用もお避けください。
<コーティング系塗料>
掃除機や乾拭きによるお手入れに加えて、固く絞った雑巾で水拭きすることも可能です。もちろんドライタイプのロボット掃除機も使用できます。
ウェットタイプのロボット掃除機は、固く絞った雑巾で拭くタイプであれば使用可能です。水をまきながら拭くタイプは、不具合の原因になることがあるので使用をお避けください。
まとめ
無垢材専門会社のマルホンに、無垢材の特徴や魅力を教えていただきました。かつては「無垢フローリングは床暖房に使用できない」とされていましたが、特殊な処理を施すことで床暖房に対応できるようになったのですね。なかでも、木材本来のやさしい質感が楽しめるオイルフィニッシュがおすすめだそうです。
無垢材ならではのあたたかさが感じられるフローリングで、心地よい住まいをつくりませんか?
無垢フローリング・無垢材・無垢内装材|マルホン
国内外の原産地と直結して本物の無垢木材を取り扱う 木材のスペシャリスト。多様なニーズに対応するために多彩な無垢木材をラインナップしています。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。