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今回は、みなさんが知っている和室とはひと味もふた味も違う、和室のインテリア実例をご紹介します。和室の引き戸をオープンにするだけで、空間のアクセントになるはずです。
〈和室のインテリア実例1〉R(曲線)ではんなり
華やかなインパクトのある和室のインテリア実例です。
和室というと、畳や格子による直線的なイメージが強いですよね。こちらの和室のインテリア実例は、あえて壁にR(曲線)をつくり、やわらかい雰囲気を演出しました。
LDKから和室まで、Rを描きながらつづく壁。そのRの壁をさらにRにくり抜いて、弁柄色の和紙を貼っています。この壁が、ぱっと目を惹く華やかさ。和室ってここまでポテンシャルがあったのか、とちょっとおどろです。
床にもひと工夫。畳のまわりを囲むように、フローリングを貼りました。海外の家具で使われているヨーロピアンオークに波打つようなスプーンカットを施しています。ここには生け花を飾ったり、置物を置いたりと、床の間としても使うことも。
ゲストに「ちょっと見てみてください」なんて言いたくなるような、和室のインテリア実例です。
〈和室のインテリア実例2〉月夜の静謐
ほの暗く、しっとりとした和室のインテリア実例です。
北側の和室のインテリアは、ほの暗く落ち着いた雰囲気に。この暗さが、日本情緒ならではの侘び寂びを感じさせます。畳は濃淡の市松模様でクールに。
陽当たりは少ないものの、丸窓から注ぐ自然光は夜空に浮かぶ月のようにやさしい。着物の着付けをするための和室ですが、もちろん客間としても使用可能。ゲストには、静かな気分でくつろいでもらえそうです。
ちなみにこちらの丸窓には、もうひとつの役割が。こちらのマンションは共有廊下に面しているため、人通りが少し気になります。このように壁を立ち上げて丸窓を設けたおかげで、既存の古いサッシも人通りも、気にならなくなったそうです。
畳の下は収納スペースにし、着付けの道具をすっきりしまうことができるなど、デザイン性だけでなく心地よさ・使い勝手にも配慮した和室のインテリア実例です。
〈和室のインテリア実例3〉伝統的な和の雅
すっきりとしたシルエットが美しい和室のインテリア実例です。
壁にはグレーの和紙を貼り、表情ゆたかなアクセントに。天井・ドア・掘りごたつの一部には、桐を使用しました。とくに、掘りごたつのまわりには直接座ることになるため、やわらかく、肌ざわりのやさしい桐がぴったり。さらさらと流れる川のような木目が、きりりと冴えた印象をもたらしています。
赤い漆塗りの天板が目を惹く雅やかな座卓は、オリジナルで造作。脚は光沢のある黒い漆で塗装し、空間をぐっと引き締めています。その上部には灯籠? いえ、レンジフードです。
寒い冬には、家族皆でお鍋をたのしんでいるのだとか。機能性を高めて過ごしやすさに配慮しながら、デザイン性をしっかりとキープしています。
畳、障子、漆などで伝統的な和の雅やかさを演出した、和室のインテリア実例です。
〈和室のインテリア実例4〉粋な我流
粋な和室のインテリア実例です。
もともと狭く、天井の低い洋室でした。「狭い部屋って使いようがないんだよね…」なんて思われそうですが、茶室をイメージしてください。あの籠った空間に感じるくつろぎ、侘び寂び。和室なら狭くてもかえって落ち着くし、床座で過ごすため、天井の低さも気になりません。というわけで、持て余していた狭い洋室から、華麗な和室に生まれ変わったのがこちらです。
ポイントは、思いっきり和のアレンジをたのしんだこと。床には半畳縁なしの畳、そのまわりにはフローリングを貼って、ぐっと粋なイメージに。また、壁には光沢のある和紙のようなクロスを貼ったことで、艶やかな印象も生まれています。
天井はグレーの織物調のクロスで引き締め、侘び寂びを感じる和室のインテリアに。
床・壁・天井の仕上げを変えるだけで、こんなにインパクトが生まれます。
〈和室のインテリア実例5〉庭の茶室
マンションの一室に設けた和室。まるで庭にたたずむ茶室のような、和室のインテリア実例です。
和室まわりには玉砂利を敷き詰め、沓脱ぎ石を配置しました。靴を脱ぎ、低い開口からにじるように入ると、ちょっと別世界。
内部はぐっと天井が高まり、市松模様を描くように張った葭(よし)と竹の竿縁が空間を彩ります。厚いナラ材で炉縁のように仕上げた座卓、その上には囲炉裏の煙を散らす火棚を設置。とは言っても、実際に薪を使うことはないため、火棚の内部には照明と換気扇を仕込んでいます。ここでお鍋をつつきながら、お酒をたのしむ。そんな遊び心のある空間です。
外の壁は黒い珪藻土を凹凸がはっきりと出るように仕上げ、燻されたような無骨さを演出しました。お施主さまは「田舎の囲炉裏のような空間」をご希望だったことから、邸内にフィットするように工夫したことがポイントです。
お住まいの中にこんな和室があると、ちょっとたのしいと思いませんか?
まとめ
5つの和室のインテリア実例をご紹介しましたが、いかがでしょうか。
お子さまをお昼寝させたり、床でごろごろしたり、着物を着付けたり。和室は和室にしかない過ごしやすさがあり、一部屋あるととても便利です。
今回ご紹介したような、見せたくなるような和室のインテリア。引き戸を開けたままで開放的に使うことができ、さらにお住まいのアクセントにもなるので、一石二鳥です。
最近では空間を有効に使いたい→和室はオープン→いつも視界に→だからこだわりたい、という方も、増えてきたように思います。そのときのポイントは、リビングやダイニングといった他の空間のテイストに合わせること。
後回しにしてしまいがちな和室のインテリアですが、こだわってこそ粋なのではないでしょうか。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。