目次
「とりあえずキッチンのショールームに行ってみよう!」と思った方。ご自身がどのメーカーのショールームに行くべきかをおわかりでしょうか。
東京にはたくさんのキッチンのショールームがありますが、各社でコンセプトもデザインも機能もまったく違います。ご自身の理想をはっきりしないままキッチンのショールームに行くのは危険。スポーツカーが欲しいのに、トヨペットに行ってしまうようなものです。
そこで今回は
〈1〉大手キッチンメーカー(パナソニック/リクシル)
〈2〉オーダーキッチンメーカー(クチーナ/キッチンハウス)
〈3〉独自路線のキッチンメーカー(アムスタイル)
それぞれの違いをご紹介します。ご自身が求めているキッチンを明確にすれば、行くべきショールームが明確になるはずです。
(TOP画像出典:kitchenhouse)
■誰もが知る、大手キッチンメーカー2社
「とりあえず」といって多くの方が訪れるのが、大手メーカーのショールームです。やはり抜群の知名度と安心感があるからでしょう。キッチン以外に浴室やトイレ、洗面台なども一緒に見ることができる、というメリットもあります。
1_パナソニック/オーソドックスからハイクラスまで幅広い
「予算に限りがあるけど高機能なキッチンを選びたい」という方におすすめなのがパナソニック(panasonic)。手が届きやすい価格帯のキッチンから、扉の面材や天板の素材を幅広くセレクトできる〈L−クラス〉まで、バリエーションが豊富です。車で言うとカローラからレクサスまで扱うTOYOTAといったところ。シリーズによって、選べる部材や素材が異なります
価格帯や機能がわかりやすく表示されており、一般ユーザーに配慮したショールーム。まずはここで価格帯とグレードの感覚を身につけておけば、その後に見るキッチンを比較しやすくなります。
〈キッチンのショールーム案内〉
パナソニックショールーム東京
パナソニックショールーム横浜
2_リクシル/デザイン性の高い〈リシェル〉シリーズが人気
「予算は抑えたいけど、高機能でかっこいいキッチンにしたい」という方にはおすすめなのがリクシル(LIXIL)。10万円台~200万円台まで幅広い価格帯とニーズに対応しています。抜群の知名度と信頼性はキッチン界のNISSANといったところでしょうか。
中でも最近注目度が高いのが、セラミックトップの〈リシェル〉シリーズ。〈Richelle PLAT〉は木のぬくもり感じる家具のようなデザイン、〈Richelle SI〉は高温に強いタフなセラミックトップと、無骨なデザインが人気。シリーズによっては、オーダーメイドに及ばずともかなりのこだわりを追求できます。
〈キッチンのショールーム案内〉
リクシルショールーム東京
■オーダーメイドの2大キッチンメーカー
次にご紹介したいのが、オーダーキッチンメーカーです。高級キッチンの部類に入ります。デザインの自由度が高く、お好きな高級素材を使って、ディテールにこだわって仕上げることができる。パナソニック・リクシルと、こうしたオーダーキッチンとの違いは、まさに〈デザインの自由度〉と〈選択肢の多さ〉にあると思います。
予算に余裕があり、キッチンにこだわりたい方は、こうしたオーダーキッチン専門のショールームを訪れるのもよいでしょう。
3_クチーナ/高級オーダーメイドキッチンの代名詞
長い歴史と高い技術、そして美しさ。クチーナ(CUCINA)は”キッチン界のメルセデス・ベンツ”と言っても過言ではありません。
まず第一に、日本のオーダーメイドキッチンの中で、圧倒的に歴史が古く知名度が高い。100%受注生産で、材料の加工~組み立て~塗装まで自社で一貫生産しているキッチンメーカーです。多様なニーズに応えてくれるので、世界にひとつだけのキッチンをつくることも可能。そのためクチーナのキッチンを使う方は、対面やアイランドでリビング・ダイニングから見えるようにレイアウトするケースが多いです。もはや設備ではなく、家具のような美しさに達しています。
オーダーメイドのため、やはりパナソニックやリクシルに比べて価格帯が高くなります。とは言ってもそれなりのグレードの素材を使っているからで、決して割高なわけではありません。
住まいに特別なこだわりのある方は、ある程度の費用をかけて空間の主役になるキッチンをつくってみてはいかがでしょう。
〈キッチンのショールーム案内〉
CUCINAショールーム代官山
【関連記事】
トップインタビュー『CUCINA/クチーナ』
クチーナの陣内社長にインタビューしています。
4_キッチンハウス/クチーナに並ぶ老舗メーカー
クチーナがキッチン界のベンツなら、キッチンハウス(kitchenhouse)はBMW。こちらもクチーナと並ぶ老舗キッチンメーカーです。
天板の色や材質、シンクの形、素材、扉の色と材質…インテリアに合わせて一つひとつセレクトできます。またキッチンの天板はステンレスや人造大理石が一般的ですが、ここ数年キッチンハウスのいち押しはメラミン天板。高い耐久性で側面と天板をメラミンでそろえ、四角い箱のオブジェのように仕上げるといった、玄人好きのするデザインなども実現できます。
ちなみに〈Miele(ミーレ)〉〈GAGGENAU(ガゲナウ)〉〈LIEBHERR(リープヘル)〉といったドイツの家電を入れる場合は、クチーナ(CUCINA)やキッチンハウス(kitchenhous)のようなオーダーメイドのキッチンでしか対応できません。使い手のニーズにきめ細かく対応できるのは、オーダーキッチンの最大の魅力です。
※ドイツのキッチン家電の魅力については、〈ドイツのキッチン家電、一流メーカー3種の神器〉の記事をご覧ください
〈キッチンのショールーム案内〉
kitchenhouse世田谷ショールーム
■唯一無二!?独自路線のキッチンメーカー
これからご紹介するのは、独自路線を貫き、キッチン業界でも一目置かれるキッチンメーカー。キッチンへの並々ならぬこだわりがあるなら、こうした職人技が光るキッチンを選びましょう。
5_アムスタイル/楽器のように美しく輝くキッチン
ピアノのような光沢あるキッチンが特徴的なアムスタイル(amstyle)。アムスタイルの魅力は、この塗装技術にこそあります。
”オーダーキッチン”という点ではクチーナやキッチンハウスと同じですが、こちらはちょっと別の土俵にいるイメージ。クチーナやキッチンハウスが使い手の好みに合わせて姿を変えるのに対し、アムスタイルは確固としたスタイルを持ち、買い手に共鳴を求めます。同調するなら買えばいいし、好みじゃなければ買わなければよい。アムスタイルのコンセプトに共感した人だけが、さらに自分らしくカスタマイズしていく。ちなみにディテールへのこだわりも半端ありません。
驚くほどシンプルな造形ですが、エナメル塗装に自然光が映り込む様子ははっとするほど。圧倒的な美学と突き抜けた存在感は、まさにキッチン界のフェラーリです。
〈キッチンのショールーム案内〉
アムスタイルショールーム東京
【関連記事】
トップインタビュー『amstyle/アムスタイル』
アムスタイルの清水社長に、ものづくりのこだわりをうかがいました。
オーダーキッチンにリノベーションした事例
マンションを購入し、セカンドハウスにリノベーションしたIさんご夫婦。
青空と海に面した大きな空間に、アムスタイルのアイランドキッチンをレイアウト。オークの落ち着いた色合いと上品な木目、ステンレスバイブレーション仕上げの天板で、スタイリッシュな家具のような趣に。その他をシンプルに抑え、キッチンが住まいの主役になるようにプランしました。ミーレの食洗機とガゲナウのコンロは、ビルドインですっきりと設置しています。
まるでLDKを彩るオブジェのように、キッチンにスポットライトを当てる。そんなキッチンにリノベーションするのもおすすめです。
〈まとめ〉キッチンで重視するのはデザイン性?機能性?目的に合わせてセレクトしよう
キッチンのショールームを巡る前に知っておきたい、各キッチンメーカーの特徴をご紹介しました。
ひとつ注意したいのは「CUCINAは高い」「LIXILは安い」と決めつけないこと。モノによっては「CUCINAの方がお手頃」ということだってあり得るからです。イメージにとらわれずに、しっかりと比較しながら好みのメーカーを選びましょう。
キッチンを価格と機能性で選びたい
→〈A〉パナソニック、リクシル、TOTO、タカラスタンダード、クリナップのような一般的なキッチン
キッチンのデザイン性・機能性を追求したい
→〈B〉クチーナ、キッチンハウス、アムスタイルといったオーダ―キッチン
どのショールームに行く時も、必ずお住まいの図面を持参してください。LDK全体の雰囲気と調和する、主役級のキッチンを一緒にセレクトをしてくれます。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。