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昨今、にぎわいを見せるサウナ業界。ブームを牽引しているのは「中高年」ではなく「若い世代」です。完全個室やコワーキングスペースなど、ユニークなサウナ施設がつぎつぎと誕生しています。
なかには「やっぱりプライベートサウナが一番!」と自宅や別荘にサウナをつくる方も。ジムや銭湯と同じくらい暮らしの基本になりつつある、サウナの魅力に迫ります。
ロウリュサウナとドライサウナの違いは?
サウナー(サウナ愛好家)が増えたのは「ととのう」「ロウリュ」「アウフグース」という行為が一般の人に知れわたったことがきっかけ。これまでのサウナと、ロウリュのできるサウナ(ここでは「ロウリュサウナ」と呼びます)の違いは以下のようなこと。
ちょうどよい湿度と温度
これまで日本で一般的にサウナと呼ばれていたのはドライサウナで、湿度は10%前後、温度80~100℃。まるでサハラ砂漠にいるみたいで「サウナは苦手」という人が多かったのは納得です。これに対して、「ロウリュサウナ」は心地よい湿度が保たれます。ロウリュ直後の体感温度は高くなるものの、そのまま温度が安定して気持ちのよい空間となり、しっかりと汗を流すことができます。
エンターテインメントとしても最高!
〈ロウリュ〉
フィンランド系サウナのたのしみのひとつがロウリュ。フィンランド語で【löyly】と書き、「あつあつに温められた石の上に水をかけて生まれる蒸気」のこと。これによって湿度を調整できるのです。このロウリュはサウナにおけるエンターテインメントのひとつ。天井からゆっくりと降りてくる水蒸気に満ちた「心地よさ」のことをロウリュという場合もあります。最近では、セルフロウリュといって、自分でロウリュができるサウナ施設も増えてきました。オートロウリュといって、一定の時間ごとに自動でロウリュが行われる施設もあります。
〈アウフグース〉
そんなロウリュをより盛り上げるのがアウフグース。ドイツ語で【AUFGUSS】と書き、熱波師がタオルを振って、利用者ひとりひとりの体を熱波で包み、発汗させます。私は、大きな団扇でゆったりとあおいでもらうタイプが好きです。ある意味神聖な行為とも言えるデモンストレーションによって、「じっと耐えるサウナ」は「たのしむサウナ」となっていきました。有名なプロの熱波師もいて、「熱波師検定で資格を取得して、プロの仲間入りをしたい」という方はたくさんいるそうです。
思考を整理したり、仕事をしたり…マルチユースな場所
そんなサウナは、もはや多様な場所へと進化しています。サウナ本来の目的「血行を良くするために」というのはもちろん、多忙な経営者がスポット的に訪れ「思考を整理する」「自分と向き合う」場所として。さらにテレワークの人、フリーランスで働く人の「働く場所」。サウナ→仕事→休憩→仕事→サウナとエンドレスルーティーンを繰り返しながら、ストレスフリーで働く人もいるようです。
ちなみにサウナーたちの言う「ととのう」って?
「ととのう」とは、ざっくり言うと気持ちよくなること。サウナ→水風呂→休憩をワンセットとした温冷交代浴を繰り返すことで、自律神経が安定します。このとき脳内分泌されるのが幸せな気分を誘う「β-エンドルフィン」、ストレスを緩和する「オキシトシン」、精神を安定させる「セロトニン」。この3つが「ととのう」状態にしてくれるのです。でもその日の体調や入り方で「ととのわない」日だってあります。他人や自分に強要しないようにしましょうね。
エストニアのサウナカルチャーに学びたいこと
最近注目されているのがエストニアのサウナ。ストーンサウナ、ロウリュなど隣国フィンランドとの共通点が多いんです。実はエストニアには紀元前2000年のサウナの歴史があり、フィンランドに負けないサウナ大国。バスルームの横にミニサウナのあるマンションも珍しくありません。むしろキッチンのように、「サウナが家にあるのが当然」なのだそう。
そんなエストニアには公共サウナやホテルのサウナがありますが、やっぱりナンバーワンで人気なのはバレルサウナです。「ひとりで静かにサウナに入りたい」という気持ち、すごく共感できます。
軽井沢や伊豆など別荘におすすめ、北欧・エストニア発のバレルサウナ
バレルサウナとは、樽型のサウナのこと。
筆者も先日バレルサウナを体験してみました。本当に樽の中に入ったワインが熟成していく気持ちがよくわかります。天井が丸いためか、まろやかに熱がまわっていくから苦しさがまったくありません。木の香りを感じたりして無心になっていると、いつのまにか気持ちよく汗がでてきました。
ちなみに北欧のエストニアからバレルサウナを輸入する〈totonoü〉では、薪ストーブと電気ストーブを取り扱っています。薪に火をつけて、その熱が石に伝わるまでだいたい1時間ほど。燃えあがる薪を見ながらじわじわと体があたたまるのを待つ。別荘に非日常感を付け加えてくれますね。
手軽に使いたいなら電気ストーブがおすすめ。外から温度をコントロールできるなど、IoT化された住まいにも対応できます。
薪でも電気でも、大切なのはロウリュで湿度を保つこと。いつもより手間ひまをかけてサウナの準備をすることも、別荘でのたのしみになるはすです。
〈totonoü〉ではカスタマイズの相談も可能。半円にくりぬいて景色をよりたのしめる仕様にするなど、希望に応えてくれることも。北欧の文化をベースに、西欧とロシアの影響を受けた素朴でモダンなデザイン。軽井沢の森や伊豆、葉山の海…どんな風景にも溶けこみそうです。
自宅のサウナならキャビン型サウナ
都内の戸建てやマンションなら、屋内型のキャビンサウナがよいでしょう。もちろんこちらもロウリュをたのしむことができます。
ベンチやストーブも付属していて、2~3人で座ることができます。「家族でサウナ」「仕事の合間にサウナ」なんてことが気軽にできちゃいます。忙しすぎて別荘なんかに行けない、すぐにでもリフレッシュしたい!という方にはこちらがおすすめ。
プライベートサウナの費用はどのくらい?
〈totonoü〉では100万円程度の4人用のバレルサウナから、5~7人用のビッグサウナまでの取り扱いがあります。屋内用のキャビンサウナも2~3人用で120万円程度。(*)
北欧品質のサウナをお手頃な価格帯で購入できるのは、エストニアの物価が日本の7割程度だから。隣国フィンランドに比べても低いため、ハイクオリティで手頃なサウナを購入できるのです。
ちなみに「個人利用でのサウナ」は「事業用のサウナ」に比べて法律はきびしくないようなので、ご自宅に取り入れやすいこともメリット。リノベーションの予定がある方は、同時に計画するとよいでしょう。
*本体価格は航空便や船便といった輸入方法で多少変動します
*施工費は別途(バレルサウナ40万円〜/キャビンサウナ20万円〜)
まとめ
エストニアのバレルサウナについてご紹介しました。
都心では個室の予約制サウナも増えてきたけれど、行きつく先はやっぱりプライベートサウナ。混雑も制限時間もなしで、好きな湿度と温度で「ととのう」ことは、やっぱり魅力的です。眺めのよい別荘なら、お庭にバレルサウナを置いて海や山を見ながらサウナに入る。…至福としか言いようがありません。
別荘に「温泉」があるといいけれど、「サウナ」もあればもっと素敵。
この記事を書いていると、またサウナに入りたくなってきました。自宅にサウナがあるなんて最高にうらやましいですね。これからリノベーションする方は、豊かな暮らしを実現するエストニアのサウナ文化をとりいれてみませんか?
写真提供:totonoü Japan
totonoü
高品質・低価格・スタイリッシュな北欧デザインの、エストニアサウナを輸入販売しています。
<著者>中野 瀬里乃
大学卒業後、出版社・フリーライターを経て、2013年リノベーション会社CRAFTへ入社。自社HPやオウンドメディアにてリノベーション・不動産・建築・インテリア関連の事例紹介やコラムを多数執筆。