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マンションのリフォームは勝手にできない!
リフォームできる場所・できない場所
いくら自分が居住している部屋だからといって、勝手にリフォームしていいわけではありません。禁止されている場所を勝手にリフォームしてしまった場合、工事を途中で中止するだけではなく、原状回復命令がでることもあるのです。そこで、マンションリフォームができる場所、できない場所について紹介してきます。
●マンションリフォームできる場所
自分に所有権がある「専有部分」、具体的には天井と壁、床からなる居住スペース内
ならは基本的にリフォームができるとされています。
例えば、
・フローリング材の交換
・壁紙の交換
・3LDKから2LDK+Sへの間取り変更
・玄関扉の内側(居室側)
などのリフォームが該当します。
●マンションリフォームできない場所
反対に自分に所有権はない「共用部分」はリフォームができません。
たとえ、自室の設備であっても
・ベランダやバルコニー
・窓や窓枠
・玄関扉の外側
・住戸間をまたぐ壁の加工
・床下のコンクリート部分の工事
上記のような場所はリフォームNGとされています。
マンションリフォームしたい場合はどうすれば良い?
専有部分と共有部分の区分をしっかり把握しておくことが何よりも重要です。
そのため、リフォーム前にはマンションの管理規約をよく読み、不明点があればマンションの管理組合に相談するとよいでしょう。
間取りでリフォーム不可!?購入する際に気を付けること
リフォーム可能な占有部分においても、構造上の問題からリフォームができない場合もあります。具体的にどのような間取りなのか見ていきましょう。
マンションのリフォーム不可の間取りとは?
上記でリフォームができる場所として「3LDKから2LDK+Sへの間取り変更」をあげましたが、構造上の問題でリフォームができない場合もあります。
そのひとつが、「壁式構造」と呼ばれる、柱や梁を使用していない構造です。壁式構造の場合は、壁を撤去できないため間取りに制限が出てきてしまうのです。
リフォームで間取りを変更したい場合は、外したり移動したりできる壁か調べるようにしましょう。
マンションリフォームでは水まわりの移動は難しい場合も
また、マンションはキッチンや浴室、洗面所やトイレなどの水まわりに関するリフォームにも制限がかかる可能性があります。
これは、換気扇のダクトや配管の設置の関係から、ある程度、天井の懐や床下の空間が必要になるからです。空間に余裕がない場合は移動が難しくなります。
ダクトや配管は普段目にすることがないため、なかなか意識がまわらないかもしれませんね。
費用が膨大に!?リフォームに適していないマンション
個々の場所としてはリフォームができたとしても、マンション自体がリフォームに適していないケースもあります。代表的な例として2点紹介します。
「新耐震基準」を満たしていないマンション
まず、「新耐震基準」を満たしていないマンションです。この場合、リフォームとは別に耐震工事も行う必要があります。その場合、修繕積み立て金とは別に、「一時金」として追加徴収されることもあります。
登記上では1982年以降に竣工した建築物は、新耐震基準を満たしているとみなすことになっています。そのため、築年数が経過しているマンションのリフォームを検討する場合は、本当にその建物が新耐震基準を満たしているかを確認した方が安心といえます。
防火地域内のマンション
防火地域内に建てられているマンションは、建築基準法で建築物の細部にまで厳しくルールが定められています。
これは火災を防ぎ、命を守るために重要なことではありますが、場合によっては希望のリフォーム内容にはならなかったり、費用がかなり高額になったりすることもありえるのです。
自宅が防火地域に含まれているかは、都市計画図などでも調べることができます。
近隣住民にも配慮を!マンションリフォーム工事の際の注意点
リフォーム中は、普段の生活にはない振動や音、ニオイなどが発生します。また、業者の出入りがあるため、駐車問題やセキュリティへの不安を感じる住民の方もいるかもしれません。
そのため、リフォーム工事の場合は近隣トラブルが発生しやすくなってしまうのです。トラブルを未然に防ぐために事前に以下のような対策を徹底しておくことが重要といえます。
まず、リフォーム工事前に必ず近隣住民に挨拶をしましょう。最低でも両隣、上下、斜めの部屋には工事内容や工期、工事の時間などを伝えることが必要です。
なお、施工業者が近隣に挨拶まわりをしてくれることもありますが、必ず自分たちでも挨拶するようにしましょう。マンションという共同生活の場だからこそ、相手への配慮も忘れないことが大切です。
さらに、リフォーム工事は、思わぬ遠い部屋にまで影響が及ぶ場合もあります。そのため、マンションの掲示板など全住人の目の届くところに、上記の内容に加え、自宅と施工業者の連絡先を入れた挨拶状も掲示するようにしましょう。
その他、マンションリフォームの注意点
上記のように一部屋のリフォーム工事でも、そのマンションに住む住人にとってはなにかしらの不便が生じるものです。もし同時に何部屋もリフォームが重なってしまったら、他の住民への負担はより大きくなってしまう可能性もあります。さらに、材料の搬出入や駐車スペースなどの問題も発生してしまうかもしれません。
そのため、共用部分のリフォームや大規模修繕、さらには近隣の人のリフォームとは極力かぶらないようにしましょう。
事前に注意点を確認して、満足できるマンションリフォームを
これまで5つの注意点を見てきましたが、いかがでしたか?中には複雑なことも含まれていたため、自分たちだけでは本当にリフォームできるのかがわからないケースもあるでしょう。
そういった場合は、信頼できるリフォーム専門の会社への相談をおすすめします。これまで対応してきたリフォームの実績が多ければ多いほど、より提案の数も増えるかもしれません。
プロの場合、法的にまた構造的に対応が難しければ無理にリフォームを勧めることはありません。反対に対応可能な範囲で別の提案をしてくれることがほとんどです。
リフォームも大きな買い物のひとつです。満足できるマンションリフォームができるように、まずは、安心して任せることができるリフォーム会社を探すことからはじめてみましょう。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。