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綱島駅から歩くこと10分、川のほとりのモノトーンの低層マンション。スタイリッシュで重厚感があり、32年前に建てられたとは思えないほどモダンな印象です。今回の賃貸再生リノベーションでは、ターゲットを単身者からファミリー層に変え、13世帯から8世帯へと世帯数を減らしました。
クラフトとの窓口となった息子さんご夫婦と、オーナーであるお母さまにお話をうかがいました。
補修費とローンのことを考え「リノベーションするなら今だ」
CRAFT:まずはリノベーションのきっかけを教えていただけますか?
ご主人さま:こちらは母名義の物件なのですが、川沿いで景色が開けて、とっても恵まれた立地だと思っていました。しかし築32年となると補修費がかさみ、数年前から「建て替えようか」という話がありました。いずれは私が相続することになりますし、私が”ローンの借り入れができる年齢”で、”母が元気なうちに”と考えると、今だったんです。
建て替えには莫大なコストがかかることが判明
CRAFT:最初は建て替えをご希望されていたそうですね。
奥さま:はい。大手ハウスメーカー4社に見積もりを出してもらいました。すると27mの杭が打ってあり、建て替えには膨大なコストがかかることがわかったんです。メーカーさんから「リノベーションしたほうがいいかもしれません」と言われて。各社の関連リノベーション会社を紹介していただきました。
でも仕上がったプランを見て、「何か違うな」と…。
私たちが住むわけじゃないけれど、何でもいいわけじゃありません。それならリノベーションを専門でやってる会社はどうかな? と、ネットで検索したところ、クラフトさんのHPで〈一棟丸ごとリノベーション〉を見つけました。主人に見せると『よさそうだね』と。ただし、これまでお付き合いくださった会社さんには申し訳ないと思ったので、この時点で声をかけたのはクラフトさんだけです。
自分で住むわけじゃなくてもセンスのある会社に頼みたかった
お母さま:その後、息子夫婦と3人で青山と自由が丘のモデルルームを見学したんです。私も『シンプルでムダがないところが素敵だな〜』と思いましたよ。
ご主人さま:そうそう。やっぱりセンスがよい会社に依頼したかったんです。クラフトさんのHPの実例を見たときに、純粋に『いいな』と思いました。これは3人一致の意見でしたね。
CRAFT:『賃貸だから普通でいい』というわけではなく、ご自身の好みにもこだわったんですね。とくにこのエリアは賃貸物件の激戦区のため差別化が必要とされるわけですから、結果として正しいご判断だったのではないでしょうか。
奥さま:はい。もちろん予算がありましたけど、その中でプランもデザインもベストなものを追求してくれる会社を探していました。各社には同じ内容でこちらの希望を伝えて、提案されたプランを見て絞り込むことにしました。
想像もしていなかったプランを提案してくれたから
CRAFT:最終的に、クラフトに依頼する決め手となったのはどこですか?
ご主人さま:想像もしていなかったプランを提案してくれたことです。例えばこちらの窓を見てください。大きく窓を開口し、”たくさんの光を確保しよう”というクラフトさんの意図がよくわかりました。熱線反射ガラスなので、外から室内は見えないし、暑さも軽減できる。住み手への配慮がうがえます。
お母さま:お部屋の大きな窓からは川や空が見えて、開放感があるでしょう? こんな素敵なお部屋なら、私もお友だちに紹介したくなりますね。『ここで暮らしてみたらどう?』って。
奥さま:アイランドキッチンや大きな収納など、女性目線で提案してくれたこともよかったですね。
子どもと一緒に入浴できるサイズの浴槽や、全開できる収納ドア、会話をしながら料理ができる対面キッチン….。あげればキリがないほど細かなことですが、女性の私から見ても使いやすそうだと思いました。
インナーバルコニーやカウンター、1つひとつの提案に納得
CRAFT:2階の一室は、人通りの多い道路に面しています。洗濯物を干しづらいという理由から、『借り手がつきにくいのでは』というご心配があったそうですね。それを避けるため、デザイナーがインナーバルコニーをご提案させていただきました。
奥さま:そうなんです。位置的にはデメリットの多い部屋だったんですが、デザイナーさんが考え抜いて解決策を提案してくれていることがわかり『それならやりましょう』と。
またダイニングスペースの確保がむずかしかったことから、キッチンに食事がとれるカウンターを設けてくださいました。一つひとつの提案に、深く納得させられることが多かったです。
一回の打合せが濃密で、時間のムダがなかった
CRAFT:仕様決めなどの打合せはご負担ではありませんでしたか?
ご主人さま:いえ。一回の打合せが建設的で、密度がとても濃いものでした。私たちもどんどんジャッジすることができ、時間的に助かりましたね。
奥さま:営業さんとデザイナーさんが早い段階で私たちの好みを把握してくれていたんだと思うんです。提案されたものはどれも『いいな』と思うものだし、その中で私たちが、好きなモノを選べばよかったんですから。全く大変だとは思いませんでした。
CRAFT:そうでしたか。では大変だったことはありますか?
奥さま:私は金額の調整が大変でした。主人が理想を追いかけて、私が営業さんにコストを相談するというパターン(笑)。いつも次回の打合せまでに、みんなが納得できる提案をしてくださって助かりました。最終的には、予算の範囲でクオリティの高い家に仕上がったと思います。
ご主人さま:デザイナーさんのこだわりの強さも、私がクラフトさんに惹かれた理由の1つです。私たちの言いなりになるのではなく、住み手が本当に求めているものを考え抜いて提案してくれたことが嬉しかった。これぞ本物のデザイナーだという気がしましたね。
インタビュー後記
賃貸広告を出した後、想定していたターゲットからの問い合わせばかり。そしてつい先日、晴れて満室になりました。リノベーション後は修繕費のご負担が減り、家賃収益はアップする見込みです。加えて、固定資産税は据え置きです。
お話をうかがっていると、「お母さん、こうだったでしょ」「あなたは、ああだったじゃない」と楽しそうな場面がたくさんありました。母は子のために、子は母のために。それぞれの思いからスタートした一棟丸ごとリノベーション。
競合の多いエリアだからこそ、画一的なプランではなく、オリジナリティのあるプランときめ細かな仕様で差別化する。個人住宅のリノベーションを長年やってきたクラフトの技術とアイデアを、ここで活かすことができたのではないでしょうか。
■物件データ■
エリア:横浜市
総戸数:13戸→8戸
築年数:32年
構造:鉄骨ALC造
間取り:1LDK
リノベーション総面積:550m2
ターゲット:カップル・ファミリー(2~3人)
※こちらの詳しいプランは、デザインリフォーム・リノベーション事例 #00424をご覧ください。
<著者>中野 瀬里乃
大学卒業後、出版社・フリーライターを経て、2013年リノベーション会社CRAFTへ入社。自社HPやオウンドメディアにてリノベーション・不動産・建築・インテリア関連の事例紹介やコラムを多数執筆。