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お客さまインタビューvol.24「日本家屋を受け継いで」

お客さまインタビューvol.24「日本家屋を受け継いで」
お客さまインタビューvol.24「日本家屋を受け継いで」

おばあさまから譲り受けたという、高台にある一戸建て。

今どきめずらしい屋根付きの立派な門。格子の扉の先には、石畳や野趣あふれる樹々が透けて見えています。そんな純日本家屋に暮らすのは、30代のお若いご夫婦。都内のタワーマンションの30階から、こちらに越してきたそうです。

「ずっと憧れていた鎌倉の近くで、こうして静かに過ごせてうれしい」と話してくださいました。

子どもの頃から遊びにきていた、祖母の家。ある日とつぜん譲り受けることに

お客さまインタビューvol.24「日本家屋を受け継いで」

CRAFT(以下C):こんなに情緒のあるお住まいは、最近ではほとんど目にしなくなりましたね。

ご主人さま:もともと祖母が暮らしていて、僕も子供のころからちょくちょく遊びに来ていました。外観はその頃とまったく変わらないですね。

C:どのようなきっかけで、こちらで暮らすことになったんですか?

ご主人さま:祖母が高齢になり、階段を上り下りせずに暮らせるマンションに移ることに。それで「ここに住まない?」という話があったんです。

C:そうだったんですか。奥さまは、ご主人さまからそのお話があったときどう思われましたか? これまでお住まいだった都心のタワーマンションとこのエリアでは、ずいぶん環境が違いますよね。

奥さま:ええ。でも私はもともと鎌倉が好きで『いつかは鎌倉に住みたい』と思っていたんです。二人で湘南~鎌倉エリアの戸建てを探したこともあるくらい。ですから、主人から「鎌倉近くの家に住もう」と言われたときはすごくうれしかったですね。

家をはじめて見たとき、純粋に「とてもいい家だな」と思いました。こだわって建てられたことが一目でわかりましたから。

よくあるカジュアルなリノベーションではなく、クラス感がほしかった

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C:大切なお住まいのリノベーションをクラフトにご依頼くださったのはどうしてですか?

奥さま:よくあるカジュアルなリノベーションではなく、ある程度のクラス感がほしかったんです。たとえばarflexの家具が似合うようなモダンで上質な空間。数社のHPの事例を見て、イメージ通りだったのがクラフトさんでした。『もう、ここしかない!』と思って、クラフトさんだけにご相談させていただきました。

C:ありがとうございます。たしかに木がふんだんに使われているのに、モダンなイメージをキープされていますね。リノベーションではどのようなご希望がありましたか?

ご主人さま:祖母から「こだわって建てた」と聞いていたので、外観と間取りはそのままにしたかったんです。それに、よいパーツはそのまま使いたいと思っていて。

たとえば天井材の木板は、祖母が大工さんと相談しながら並べたそうなんですよね。祖母のこだわりを新しい空間でも残したかった。

楓の柱や聚落の壁。”どれをどのように残すか”を丁寧に話し合った

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ご主人さま:それからリビングの床の間にあった楓の柱。こちらもぜひ残したいと思いました。デザイナーさんと打合せを繰り返して「どれをどのようなカタチで残すか」をひとつひとつ決めていきました。

C:「おもしろいな」と思ったのが壁です。聚落や左官調クロス、木目がわかる塗装など。和の要素がふんだんに使われているのに、ニュートラルな雰囲気がありますね。

奥さま:この空間はおもいっきりモダンな家具をおいても、和の家具を置いても合うと思います。主人のご先祖さまが使っていた200年前の箪笥もまったく違和感がないけど、CUCINAのモダンなキッチンも似合っちゃう。まさにイメージ通りです。

二人の共通認識は「よくあるモノは入れない」「実用性は気にしない」

お客さまインタビューvol.24「日本家屋を受け継いで」

C:キッチンのレイアウトは大きく180度変えられていますね。そしてかなりの大きさです。

奥さま:キッチンは3mのアイランドキッチンにこだわりました。そして空間に”木”の要素が強いので、尖りのある”ステンレス”の天板を選んで、空間のアクセントにしています。

二人の想いとして共通していたのが「よくあるモノは入れない」「実用性は気にしない」ということでした。

せっかく一戸建てで暮らすから、キッチンもダイニングもソファも、普通じゃないサイズ感にしたかったんです。そして、洗面台ひとつにしても既製品にはしたくなかった。ふつうなら「隠したい」となっちゃうところ、あえて下部にスペースを設けて、抜け感を出したり。

C:トイレも洗面室にもお二人のこだわりが感じられます。ゲストからは見えないところでも、妥協されていないんですね。

ご主人さま:トイレも洗面室も狭い空間なので、どんなに素材にこだわっても、値段はそこまで高くならない。それでいて毎日使う場所だから、満足度が高い。「お金をかけたらそれ以上のものになるだろうな」と思い、コストをかけました。

お客さまインタビューvol.24「日本家屋を受け継いで」

「頼りになる」営業担当。迷ったときは、いつも意見を聞いていた

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C:デザインの美しさが、お二人にとっての心地よさとなっているんですね。おばあさまから譲り受けた住まいだけでなく、切り株のローテーブルや箪笥などもごく自然にとりいれていらっしゃいます。

ご主人さま:実は昔、建築会社で新築の仕事をしていたんです。でもリノベーションの方が大変ですね(笑)。リノベーションは既存を残しながらやるし、解体してみないと筋交いや梁の位置がわからないこともある。デザイナーさんも、監督さんも大変だったと思います。

C:でもご主人さまが構造にもお詳しいので、やりやすかった部分もあったのではないでしょうか。

ご主人さま:たしかに、むちゃくちゃな要望はしなかったと思うし、あきらめも早かったですね。「できないものは、できない」とわかりますから(笑)

迷ったときは、営業担当さんの意見を採用することにしていました。とにかくクラフトの営業さんは、「頼りになる」という言葉がぴったりでした。建築の専門知識が豊富で、”営業”と言うよりも”設計者”という印象ですね。押し付けることなくさらっと提案してくれたり、過去の経験談から意見してくれたり。

C:暮らしてみて変わったことはありますか?とくに都心のタワーマンションからの住み替えなので、いろいろな変化があるのでは。

奥さま:ディスポーザーはないし、ゴミ出しを気にしないといけないし、タワーマンションのような便利さはなくなりました。でもここはとても静かで、湘南の街なみや海、富士山、江の島まできれいに見えて、すごく気持ちがいい。毎日、家に帰ってくるのが楽しみになりましたね。

それと意外だったのは、キッチンを片付けるのが好きになったこと。「大切なキッチンだから、キレイな状態をキープしたい」と思うんですよね。

ご主人さま:買物はネットでできるし、宅配ボックスも取り付けてたので、僕はマンションと比べての不便さはほとんど感じていません。何もせずにソファで過ごしたり、音楽を聴いたり、本を読んだり。当たり前のことが、とても楽しくなりました。

この空間を手に入れることができて本当によかったな、と思っています。

インタビュー後記

インタビュー中も、聞こえてくるのは風の音や、鳥のさえずり。おどろくほど静かなお住まいです。LDKに面したウッドデッキの先には、おばあさまが植えた桜やカボスの木の葉が、海から届く風を受けて揺れていました。

ライフスタルにフィットする、開放的でモダンにリノベーションしたお住まい。しかしよく見ると、天井の雨染みや梁のキズ、柱の割れが経年を感じさせ、空間に趣を与えています。おばあさまのこだわりをしっかりと残しながらリノベーションしたからこそ、すぐに暮らしになじんでくれたのだと思いました。

<著者>中野 瀬里乃

大学卒業後、出版社・フリーライターを経て、2013年リノベーション会社CRAFTへ入社。自社HPやオウンドメディアにてリノベーション・不動産・建築・インテリア関連の事例紹介やコラムを多数執筆。

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