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今から5年前、ご主人さまのリタイアを機に、渋谷区のマンションに住み替えたNさんご夫婦。駅のすぐ近く、周囲にはたくさんのレストランが集まる便利なエリアです。
「これから家で過ごす時間が増えるから、居心地のよさにこだわった」というお二人に、物件探し~リノベーションまでと、現在の暮らし心地についてうかがいました。
「老後は便利に暮らしたい!」都心のマンションに買い替え
CRAFT(以下C):とっても素敵な眺めですね。Nさまがこちらのマンションを買って、クラフトでリノベーションされたのは5年前になるとか。
ご主人さま:はい、2013年でした。私たちはが高層マンションが苦手なんですが、ここは中層で高すぎない。そしてなにより、この眺望が気に入りました。中身はリノベーションで変えられるけど、景色は変えられませんからね。東日本大震災の時の教訓から、”エレベーターが止まっても自力で昇り降りできる高さ”というのも安心材料になりました。
C:こちらに引っ越す前は、横浜にお住まいだったそうですね。「東京のマンションに住み替えよう」と思われたのはどうしてですか?
奥さま:横浜での暮らしが、思っていたより不便だったんです。高台で趣のあるエリアだったんですが、坂があるから買物も外食も大変。私たちは食いしん坊なので「歳をとって食事づくりが億劫になっても、豊かな食生活ができる場所に住みたい」と思いました。ちょうど夫がリタイアしたこともあり、”終の住処”を探すことにしたんです。
好条件のマンションを探すなら「中古しかない」と思った
C:”終の住処”として、新築マンションはお考えにならなかったんですか?
ご主人さま:全く考えませんでした。都心の好立地にはもう、手頃な新築物件がなかったんですよ。利便性がよく、環境もいいエリアには既にマンションが建っている。あったとしても、過去に建てられたマンションよりも条件が悪くなっていることがほとんど。私たちも昔、都内の新築マンションで暮らしたことがあります。でも敷地が狭く、無理して建てられたような窮屈な印象を受けました。
それで、立地や広さが好条件のマンションを探すなら「中古しかない」と思いました。
これから家で過ごす時間が長くなるから、眺めのよさを重視
C:こちらのマンションにたどり着くまで、何件くらいのマンションをご覧になりましたか?
ご主人さま:10件くらいは見ましたね。なかでもこのエリアは土地感があったし、私と妻のどちらの実家にも行きやすい。駅もスーパーも近く、まわりには食事処も多いので好印象でした。
C:そして、先ほどおっしゃったように”眺望”も決め手になったんですね。
ご主人さま:はい。これから家で過ごす時間が長くなることを思って、”眺めのよさ”を重視しました。頻繁にでかけられない年齢になっても、ソファに座って空を見ているだけで気分転換になりますよね。
C:高層マンションが苦手なお二人からすると、中層マンションの上層階はベストな高さだったんですね。
ご主人さま:実は昔、二人でNYの高層アパートメントの48階に住んでいたことがあります。でも快適とは言えませんでした。部屋から道を歩く人の顔が見えないし、毎朝エレベーターに乗るたびに耳が痛くなる。私も妻も戸建てで育ったので、”地面が見えない”というのはすごく違和感があったんです。
奥さま:それで他のアパートメントの17階に引っ越したら、セントラルパークを歩く人たちの姿が見えるように。顔の表情までは見えないけど、それだけでほっとしました。「このくらいの高さって気持ちいいな」と思いながら過ごせたんです。ですからこちらのマンションを内見したとき、一目で気に入りました。
「同じ希望を出したのに、デザインがこんなに違うんだ!」と驚き
C:ようやくお気に入りの物件を見つけられたんですね。リノベーションではどのようなご希望をお持ちでしたか?
奥さま:家具は「一生使えるものを」と、少しずつ集めてきた大事なものばかり。デザイナーさんには「この家具が活きるデザインにしたい」とお伝えしました。それから私たちはワインが好きなので、友人たちが気軽に集まってくるサロンのようにしたかったんです。「広いLDKをパブリックスペース、寝室をプライベートスペースにしたい」ということもお話しました。
C:はじめはクラフトも含め、いくつかのリノベーション会社を比較なさっていたそうですね。
ご主人さま:ええ。大手系のリフォーム会社やアトリエ設計事務所など、5社くらいに見積りを依頼。最終的には大手とクラフトさんに絞りました。正直なところ大手とクラフトさんは会社規模が違うので、「工事までちゃんとやってくれるかな?」と心配でした。でも、クラフトさんのご提案は他社と比べ物にならないくらいよかった。
奥さま:本当にそう。「みなさんに同じ希望をお伝えしたのに、デザインがこんなに違うんだ!」とびっくりしました。完成イメージのCGも見せてくださったから、仕上がりをイメージしやすくて。とにかくプランがとてもよかったんです。
リノベーションから5年経っても、気持ちよく暮らせている
奥さま:家具は「ここに配置する」と決めてくださったので、置いてみたらピッタリ。壁面を増やしてあちこちにピクチャーレールを付けたことで、お気に入りの絵をたくさん飾ることができてうれしいです。
ご主人さま:玄関収納にはスーツケースがきれいに納まって、片付けもしやすい。5年間暮らしていて、まったく不満はなく、むしろ感心することばかりです。こうして住んでみると、ミリ単位でこだわって設計してくださったことがよくわかりますね。
C:独立していたキッチンをオープンにして、キッチンからも景色が見えるようになっています。一方、玄関ホールからはあえてリビングが見えないように計画しているため、LDKに入った瞬間、ちょっとしたサプライズがありますね。
奥さま:ええ。お客さまもすごく喜んでくださるんですよ。ダイヤモンド富士や多摩川の両岸の花火が見える日にはお友達を呼びますし、夫の後輩たちは仕事帰りに遊びにきてくれます。
ここに引っ越してから、暮らしにメリハリが生まれました。
物件探しもリノベーションも、優先順位をつけることが大切
C:リノベーションから5年経っても、快適にお過ごしいただけているようですね。Nさまのように、50代・60代で買い替えをお考えになる方は増えています。ご自身を振り返って、なにかアドバイスはありますか?
奥さま:優先順位つけることが大切だと思います。希望はたくさんあるけど、すべてを満たすのは難しいですよね。
私たちの場合は、物件探しでは、”利便性” ”いつまでも食事を楽しめる環境” ”眺めのよさ”、リノベーションでは”家具を活かす” ”パブリックとプライベートを分ける” ”収納スペースの確保”というのが優先事項でした。ご自身で決めた条件さえブレなければ、満足できる住まいになるのではないでしょうか。
※こちらの詳しいプランは、デザインリフォーム・リノベーション事例 #338をご覧ください。
<著者>中野 瀬里乃
大学卒業後、出版社・フリーライターを経て、2013年リノベーション会社CRAFTへ入社。自社HPやオウンドメディアにてリノベーション・不動産・建築・インテリア関連の事例紹介やコラムを多数執筆。