物件データ
ご両親から譲り受けた築42年のお住まい。老朽化の進行と、夫婦2人には多すぎる部屋数、また細かく仕切られた間取りのせいで自然光が届きにくいことが気になり、リフォームすることにしました。暗かった1階リビングは、上部を吹き抜けに変え、リビングに面した庭の窓と吹き抜けの窓からたくさんの光が注ぐようにしました。また、お持ちの美術品の数々をいつでも鑑賞できるように、吹き抜け部分の壁を作品が映える白い珪藻土にし、その壁に沿ってキャットウォークを設け、ギャラリースペースにしました。リビングでくつろぎながら作品が何気なく目に触れるよう、階段の位置を変更したこともポイントです。吹き抜けを設けたことで光と風、緑、そして大切な美術品に触れながら、伸びやかに過ごせるようになりました。
RC造の地下部分を流用し、1・2階を大規模リフォーム。
柱と梁の補強で耐震性もアップ
地下1階と2階建ての住まいを建て替えるとかなりのコストになるため、RC造で耐久性のある基礎と地下部分を流用し、木造軸組の1・2階を全面改装することにしました。入念な構造計算にもとづいて柱と梁を補強しながら耐震性を高め、新築のように堅牢な住まいに生まれ変わっています。また断熱材を入れ直し、床暖房を導入するなどし、寒くなりがちな大空間でもあたたかく過ごせるように配慮。また、細かく仕切っていた壁を撤去し、大空間のLDKを設け、光を遮っていたバルコニーを吹き抜けに変えて上下からの採光を確保しました。庭や空を眺めながら安らぎのひとときを過ごせる、明るい空間となっています。
リビング・ダイニング
暗く狭い1階のリビングは、間仕切りをなくして1つのLDKにし、上部に大きな吹き抜けを設けました。リビング・ダイニング側の庭の窓を全開放サッシに変え、その先にウッドデッキを設けたことで大量の自然光が注ぎ込むようになり、また庭の景色を広範囲からたのしめるようになりました。上部の吹き抜けの窓からもルーバー越しのやわらかな光が届きます。
リビング・ダイニング
2階部分を吹き抜けにしたことで露出した梁は構造上撤去できなかったため、表面をダークブラウンに塗装して木製のルーバーを造作し、デザイン性・機能性を与えて存在感を抑えました。吹き抜けの窓から注ぐ光を一旦ルーバーで受け止めて、リビングにはやわらかい光を落とします。直接光が注ぐよりもやさしい雰囲気が生まれています。
リビング・ダイニング
リビング、ダイニング、キッチンがそれぞれ独立していた間取りは、壁をなくして対面式のオープンキッチンを設け、ゆったりとしたLDKにつくり変えました。また玄関からキッチンは2つの動線を設けて家事効率を向上。以前は玄関横にあった階段をリビング横に移動し、上部にお持ちの美術品を飾るキャットウォークを新設していつでも作品に触れられるようにしました。
玄関
玄関ホールは明るさや伸びやかさを感じられるよう、床に光沢のある大判タイルを敷き、壁と天井を白で統一。さらに、収納扉の一面を天井までの鏡張りで仕上げています。また、廊下と玄関ホールの間の壁の一部にガラスを入れて、リビングの光が届けられるように工夫。控えめで上品なインテリアは、帰宅とともにゆったりとした気分をもたらしてくれそうです。
洗面室
洗面室と浴室は白を基調としたさわやかなインテリア。大きな窓から風と光が通り抜け、すがすがしさを感じさせます。洗面台には大きな鏡を取り付け、下部にはあえて収納を設けずにゆとりと軽やかさを演出しました。洗面室と浴室の間をガラス張りにし、視覚的な開放感を高めるなどして、居心地のよさにこだわっています。
バルコニー・エクステリア
玄関ポーチの上部が道路側にせり出したフォルムは、連なる家々のなかでも独特の存在感を放っています。せり出した正面は窓を設けず、塗り壁で仕上げたことで、うっすらとしたコテむらにあたたかみを感じられるようになりました。シンプルな色使いながらもインパクトのあるファザードは、アーティスッティックな印象を醸し出しています。
吹き抜けは美術品を飾るギャラリースペースに
画家だった御祖父さまの遺した作品や、お母さまが手掛けたタペストリーなど数々の美術品をお持ちでした。収納にしまい込むのではなく、目に触れる場所に収納していつでも鑑賞できるように、上部にキャットウォークを設けてギャラリースペースに。手すりを細いスチールでつくり、壁を白く塗装して背景の存在を抑えることで、美術品の魅力を引き立てています。
リビングの上部を吹き抜けに変えて採光
2階のアトリエ部分をなくし、1階のリビング上部に大きな吹き抜けをつくりました。リビング・ダイニングに面した緑豊かな庭の景色をインテリアに取り込むため、窓を全開放サッシにし、ひと続きとなるようにウッドデッキを敷設。庭の窓と吹き抜けの窓から自然光が降り注ぐ、圧倒的な明るさと伸びやかさを持つLDKが誕生しています。日の入りも眺めることができる、特別な空間になりました。
自然素材を散りばめて、ぬくもりと経年変化を
床にはうねるような木目と深みのあるブラウンがうつくしいアカシアの無垢材を敷設。家中に広がる木のぬくもりとやわらかい肌ざわりが、おだやかな心を育んでくれます。また、吹き抜けの壁には白い珪藻土を塗り、飾る美術品をより印象深く見せるようにしました。経年とともに趣と味わい深さを増すような素材を散りばめています。