物件データ
自社ビルのワンフロアにご夫婦で暮らしていましたが、細かな間取り、採光と通風の悪さを解消するためリフォームすることに。トップライトの光が注ぐらせん階段を住まいの中心に位置づけるプランが特徴です。壁を撤去し、その間にスリットガラスを設け、階段ホールに抜け感をもたらしています。LDKからガラス越しに見える階段の曲線が、まるでオブジェのように空間を軽やかに彩ります。トップライトから注ぐ光が回廊を通じてLDKまで届くようになり、明るさと開放感も生まれました。階段を回遊するように設けた生活動線は、ストレスフリーの暮らしを実現しています。
既存魅力を引き出し
採光と通風をアップ
もともとデザイン性の高い住まいだったことから、建物が持つ魅力を最大限に活かして空間構成しています。たとえばトップライトの光が、らせん階段へ落ちる様子が印象的だったため、らせん階段を中心に回遊する間取りを提案。壁をできる限りなくして空間をつなげ、視線が横にも上にも抜けていくようにしました。空間に伸びやかさをもたらしただけでなく、これまで階段やダイニング・キッチンだけが独占していたトップライトの光がフロア全体に行き渡り、明るい空間に一新しました。デザイン性をより高めながら、採光と通風を確保しています。
廊下
白で統一した軽やかな階段ホールは、トップライトの光を鏡面タイルが拡散させて、より明るい印象となっています。リビングとの間には重厚感のある木のドアを設け、空間を引き締めました。両サイドにテンパーガラスを入れ、階段ホールと同じ白いタイルをリビング側へ一枚分続けて貼ったことで、視覚的な空間のつながり、伸びやかさを感じられるようになりました。
リビング・ダイニング
階段とダイニング・キッチン、リビングが独立していた既存の間取りは開放感に欠け、生活動線も不便だったため、トップライトから光が注ぐらせん階段を中心に回遊できるよう再構成。そうしたことで部屋間の移動がスムーズになったうえ、トップライトからの光が広範囲に広がるようになりました。階段を一段上がればLDK全体を見渡すことができるほど、見通しのよい空間に生まれ変わっています。
らせん階段
壁に囲まれていたらせん階段は、できるだけ壁をなくしてフロアと一体の空間にしました。強度上撤去できる壁をなくし、必要な躯体のみを残して塗装。壁の一部にスリットガラスを採用し、フラットバーの手すりに変えて、すっきりとシンプルな印象に仕上げました。トップライトの光を受けた階段が、オブジェのように優美な曲線を描いています。
リビング・ダイニング
和室をリビングに取り込み、ゆったりとした広さのLDKを設けました。さらに視覚的な奥行きを感じさせるため、ペンダントライトやダイニングテーブルを長手方向に配置し、折り上げ天井の間接照明も同方向に入れています。配置や間取りを工夫することで、限られた空間にゆったりとした印象を与えています。
キッチン
料理好きのYさんご夫婦は2人でキッチンに立つことが多いため、各自のシンクカウンターを設けました。ガストップのある黒いメインカウンターとダイニング側の白いカウンター、背面の壁には白いタイルを貼って、明暗のコントラストでインパクトのあるキッチンに仕上げました。奥には家電収納やパントリー、ワインセラーまで備えています。
サニタリー
窓がなく暗い印象だった洗面室は、光沢のあるタイルに階段上のトップライトを反射させて、明るさと開放感を高めました。引き戸を開放すれば昼間は電気が必要ないほどの明るさに。以前は窓だった部分に鏡を配し、通常は鏡として、必要時は鏡を開けて通風できるようにしました。風も光もたっぷりと巡る、心地のよい空間です。
フロア全体がつながるように
以前はリビングとダイニング・キッチン、寝室の3つに分かれていましたが、今回はらせん階段とこだわりのキッチンを中心に構成しました。壁はできる限りなくしてスリットガラスを採用し、フロア全体がつながっているような開放感を演出。らせん階段上にあったトップライトの光が広範囲に広がるようになり、引き戸を多用したことで全体に風が吹き抜けるように。
ダイニングテーブルに合わせた配色
完成後に購入すると決めていたダイニングテーブルに合わせて空間をデザインし、配色を決定しました。フローリング、建具、収納やキッチンカウンターの引き出しなどは木目のある濃茶でまとめ、テーブルが調和するように計算しています。また、照明の大きさや位置、光の向きまでテーブルに合わせて決定し、料理がおいしく見えるように配慮しました。
趣味をたのしむスペースを
テレビだけでなく、ターンテーブル、アンプ、スピーカーが収まるように大きなTVボードを造作。配線の収納スペースも裏側に設け、すっきりと仕上げました。背面には黒のクロスを貼って、ややクールな印象に。ほかに、これまで集めたレコードをしまう棚や、PCデスクも設け、リビングに居ながら趣味をたのしめるスペースを確保しています。