物件データ
リタイアしたご夫婦は、都心の眺めのよいマンションを購入。目前に迫るような大きな空と、美しい街並みをインテリアに活かせるようにリフォームしました。独立型のキッチンは、LDKと一体にし、キッチンからも眺めをたのしめるように。さらにもともとは玄関ホールから見えていたリビング側の眺望を、あえて隠すように廊下をクランク。ドアを開いた瞬間、視界が一気に開けるようになっています。また夜は、昼とは違ったたのしみ方をご提案。間接照明やダウンライトの配置にこだわり、夜景が幻想的に浮き上がるように。夕暮れの街に少しずつ明かりが灯る様子は、とても和やかな気持ちにさせてくれます。お持ちだった絵画や家具を配置できるスペースを設け、眺望もアートとしてインテリアに取り入れながら、Sさんご夫婦のお好みの空間に仕上げています。
壁面を設けて、クラシカルな家具や
大切な絵画を飾ることができるように
海外生活が長かったSさん。ご自身がお持ちの物をきちんと把握していて、必要な収納量が明確でした。そこで、「家具を置く場所」「荷物をしまう場所」を1つひとつ決定していきました。通常は壁を撤去することに主眼を置きがちですが、今回はお手持ちの家具や絵画を飾ることができるよう、壁面をできるだけ増やしています。海外で購入したクラシカルな家具を引き立たせるため、フローリングやキッチンの扉は、家具よりもやや明るめのブラウンに。収納を充実させながら、お好きな絵画や家具に囲まれて暮らせるよう、綿密な打合せを繰り返してきめ細かなプランを考案しました。
リビング・ダイニング
リビング・ダイニングの床には、経が経つほどに深みを増すブラックチェリーのフローリング材を張りました。当初はダークトーンのフローリングをご希望だったSさんですが、お持ちだった家具の深い魅力を考慮して、家具よりもワントーン明るめのブラウンをご提案。木肌がやわらかであたたかい床に、クラシカルな家具の趣が引き立っています。
キッチン
独立していたキッチンの壁を取り払い、リビング・ダイニングと一体のLDKにしました。キッチンはバッグスペースの奥行きを広げて使いやすくし、さらに収納を増やして整頓された状態を保てるように。また、インターホンの存在をやわらげるために、壁の一部を凹ませています。背面にはレシピやメモを貼れるようコルクボードを貼り、冷蔵庫を開けたときに扉が壁に当たらないように壁の一部を凹ませるなど、ビジュアル面に配慮した細かな工夫を施しています。
リビング・ダイニング
夜になると窓に浮かび上がってくる夜景。この眺めをより魅力的に見せるため、窓側のカーブを描く天井に沿ってダウンライトを等間隔で配置しました。ほかの照明を落とせば、夜景がさらに引き立ち、その幻想的な夜景が見る人の心を癒してくれそうです。毎日見ても飽きることのない眺めが、インテリアとなって空間を贅沢に彩っています。
寝室
寝室に配置するベッドやチェストに合わせて部屋の大きさや間口の寸法を決定したため、家具がぴたりと収まったすっきりとした空間に。照明スイッチは、ベッドから手の届くちょうどよい位置に設けました。また、寝室からWIC、洗面室、浴室をひと続きにしてプライベートの空間をまとめたことで空間の無駄をなくし、生活動線を向上させています。
トイレ
トイレはLDK側からも入りやすいよう位置を変更。動かせない配管スペースがあった壁際には手洗いカウンターを設けています。天板には大理石を使用し、配管ルートであることを感じさせないように。床やカウンターの天板には艶感がうつくしい重厚な大理石を使用。壁に貼った溶岩石の素材感や凹凸が、スポットライトの光を受けて異なる表情を見せ、モダンな印象を与えています。カウンター下部の収納扉には、リビングと同じくやわらかな木肌のブラックチェリーを貼って、全体に統一感を持たせました。
玄関
お持ちの絵画や季節のディスプレイができるように、玄関ホールの正面に壁を設けました。丸見えだったリビングをあえて隠すことで、その先に広がる空間への期待を高めています。左側の壁一面には大容量の収納を造作。靴だけでなく、お持ちのスーツケースがきれいに収納できるスペースや、コート、傘収納を造作。さらに、下部に間接照明を入れて空間を明るく見せています。
絵画や家具が
引き立つ配色
海外の在住経験をお持ちのSさんは、世界各国で購入したさまざまな家具や絵画をお持ちでした。そこで、それらの濃い飴色の家具が引き立つよう、空間をシンプルに構成しています。床には家具よりもワントーン明るい色調のフローリング、壁と天井は白で統一して、クラシカルな家具の重厚さや、深みのある艶・色彩に自ずと目が向けられるようにしています。
モノのサイズ・量に合わせた収納
必要な収納のサイズと量が明確だったSさん。そのため、キッチンにはごみ箱や炊飯器などの家電類がミリ単位で収まるサイズの収納を造作することができました。キッチンだけでなく、お持ちの箪笥が収まる寸法のWIC、寝室には書籍量に合わせたサイズの本棚を設けています。収納量を無駄に広げすぎないことで、居室の広さを十分に確保することができました。