物件データ
二世帯住宅にリフォームした後、改築を繰り返していた木造一戸建て。一世帯で暮らすには使い勝手が悪く、全体のテイストに統一感がありませんでした。そこで、内階段を設けて1~3階まで一世帯で使えるようにフルリフォームすることに。主役となるのは白いスケルトン階段。3階のトップライトからは、スケルトン階段を通じて自然光がLDKに注ぐようになりました。キッチン横の陽当たりのよいバルコニーには、洗濯室を設置。料理の途中に洗濯をするなど、家事動線を短縮しました。既存の悩みを解決しつつ、モダンな住まいに生まれ変わっています。
耐震性・耐久性に不安
基礎や柱を補強
数十年前に二世帯住宅にリフォームした木造3階建ては、その後もリフォームを繰り返してきたことから、全体のテイストの統一性がなくなってしまいました。ご両親が亡くなってからは、独立した1階のフロアが空いている状態。一世帯で使えるようにリフォームしたいと考えていました。また、築40年の木造住宅では、耐震性・耐久性に不安があったことから、構造チェックを行い、基礎や柱を補強しています。
2階/LDK
解体後、スケルトンの状態で構造をチェック。その結果、耐震性と耐久性が心配だったため、補強工事を行いました。1階から3階まで一世帯で使えるように内階段を設け、その階段に機能性とデザイン性を持たせたこともポイントです。鉄骨で蹴り込み板がないスケルトン階段は、3階トップライトの光を2階と1階へ透過させます。LDKと階段室の間の間仕切りをガラスにしたことにより、明るさと伸びやかさを確保できました。
2階/リビング・ダイニング
奥さまのご希望から、色もデザインも極めてシンプルに。直線や白がうつくしく映える、心地のよい空間となっています。リビング・ダイニングへたっぷりとした光を届けるのは既存のトップライト。また収納はLDKのテイストに合わせて既存の収納の扉を替え、再利用しました。とくにTVまわりの収納は、上部の収納を撤去し、再構築することで軽やかな印象に仕上げています。LDKと階段の間にあった収納をなくし、WICを設けました。
2階/階段
3階の光をLDKへ誘い込む階段。リビングとの間の間仕切りをFIXガラスにし、冷暖房効果を考えつつ、LDKの明るさと開放感を確保しました。階段は、3階のトップライトの光を1・2階へ落とすため、蹴り込み板のない鉄骨のスケルトン階段を採用しています。側面の稲妻ササラは、一般的な直線ササラより繊細で軽やかなイメージ。LDKから眺めたとき、独特のシルエットが目を惹きます。真っ白で伸びやかな空間のなか、あえて化粧柱を黒に塗装。柱がLDKを引き締めつつ、階段室の存在を強調しています。
3階/寝室
もともと浴室と和室があった南側のスペースに、広い寝室を設けました。南側は2階建ての住宅ばかりで窓からの陽当たりがよく、視界が開けていることが特徴。床まで届く掃き出し窓だったものを腰壁に替えて、うつくしい景色を切り取りました。LDKのテイストに合わせ、寝室もシンプルで清潔なデザインに。白い床・壁・天井が受けた光が拡散し、いっそう明るさが生まれています。引き戸を開けておけば、より開放感あふれる空間に。張り替えたばかりのウッドデッキが、いきいきと目に飛び込んできます。
1階/和室
2間続きの和室を設けました。普段は開放的な多目的スペース、親戚が宿泊するときは、引き戸で間仕切り。仏壇スペースは扉で目隠しできるようにしています。住まいの全体の統一感を考慮し、和モダンに仕上げたこともポイントです。床は縁なし畳、壁は和紙調のクロス、天井には紙布クロスを使用。正面は、黒い吊り戸棚を造作してクールに。朱色の和紙をアクセントとし、間接照明により和紙の凹凸が浮き上がる仕掛けです。また、床の間のように花や器を飾ることができるよう、壁沿いにひのき縁甲板を張りました。
1階/洗面室
洗面室~トイレ~浴室と、ひと続きのホテルライクなデザイン。浴室の間仕切りをガラスにし、伸びやかさと上質感を感じさせています。全体を白で統一しつつ、タイルの目地がモダンな印象。洗面室で化粧をする奥さまのために、長めのカウンターを造作。奥さまが椅子に座ってお化粧をする隣で、ご主人さまが洗面できるほどの余裕が生まれています。また、窓の位置を高くしたことで、十分な光を取り込めるようになりました。やさしい朝の光に包まれ、さわやかな気分で身支度ができそうな洗面室です。