物件データ
ご両親が所有する物件に移り住むことになったご一家。フランク・ロイド・ライトが設計した「落水荘」のような空間をご希望でした。レッドシダーやローズウッド、杉や桐、そして珪藻土などの自然素材を随所に散りばめ、豊かな表情に。また、バルコニーに向けて大きく開いたLDKは、この家がもともともっていた魅力の一つ。LDKに面した窓をフルオープンサッシに変え、セカンドリビングとして使えるように一新しました。デザインにこだわりつつ機能性の高い素材を活用し、既存の間取りを大きく変えることなくコストバランスを重視。よく晴れた日はフルオープンサッシを開放し、リビングとテラスを気軽に行き来できるように。自然素材の質感と趣が心地よく交差する、懐かしくもモダンな空間が誕生しました。
素朴な味わいの自然素材をふんだんに
ダイニング・キッチンとリビングの間にあった壁面収納をなくして、大きなLDKに。レッドシダーやローズウッド、テラコッタタイルといった素材を随所に使用し、素朴なぬくもりに包まれた空間にしています。間取りは大きく変えることなく、壁の位置や仕上げ材を変更することで、イメージを大きく一新。リビングに面したバルコニーにはウッドデッキを張り、フェンスにもウッドパネルを設置。開口も広げ、まるでLDKがそのまま屋外につながったような開放感を感じさせます。キッチンと一体となった広々とした空間で、たくさんのゲストを迎え入れられるようになりました。
バルコニーとつながるLDK
テラス側の窓をフルオープンサッシに変えたことで、全開放できるように。バルコニーとリビングとの間に一体感が生まれました。フローリングはローズウッドをヘリンボーンに張り、高級感と重厚感がある雰囲気に。色合いの異なる素材を使い、方向性を曖昧にすることで、空間にやわらかな印象をもたらしています。
勾配天井にレッドシダー
既存の勾配天井を活かし、レッドシダーのフローリングを張りました。一枚ごとに木目や濃淡が異なり、無垢材ならではの味わいが感じられます。また、面積が広いため天井の印象が重くならないよう、床よりも明るい色をセレクト。素朴な木の味わいを活かすため、天井の照明をなくし壁面に設置したこともポイントです。
棚とローボードをオリジナルで造作
リビングから階段ホールにかけてはレッドシダーのフローリングを張り、空間の連続性を演出。出入り口のドアは、親子ドアから一枚の大きな引き戸に変更しました。これにより、開放時にはリビングから階段ホールを通って寝室へと風が抜けるように。換気対策も充分です。TVは壁面に設置し、ボードと棚はオリジナルで造作。カウンターから天井に伸びる支柱には、飛行機の羽のような曲線をもたせました。陶芸作家である奥さまの作品を飾るのにふさわしい、木の質感を活かした棚となっています。
ミッドセンチュリーなキッチン
ハンドメイドのテラコッタタイルをキッチンとダイニングの床一面に。素朴な風合いは、特に奥さまのお気に入りです。壁に対して斜めに貼る四半目地と呼ばれる方法で、リズミカルな空気をもたらしています。壁にはカウンターを設け、その上には深いグリーンのタイルを貼りました。目地は濃灰色とし、ミッドセンチュリーのようなイメージに。キッチンはクールなステンレスで、空間を引き締める役割も。奥に設けたパントリーは、階段ホールにつながる回遊動線となっています。
寝室の通気性をアップ
寝室の床には、LDKよりも明るい色をした杉のフローリングを採用しました。素足で歩く心地よさや、清潔感溢れる桐のうつくしさが、就寝前のひとときをより上質なものに。壁は珪藻土、天井は桐など、調湿と消臭機能に優れた自然素材を部屋全体に使用し快適に過ごせるように工夫しています。また北側に位置する寝室は湿気がこもりがちだったことから、FIX窓を引き違い窓に変更しました。南側のリビングに面したバルコニーと北側にある寝室の窓を開ければ、風が南北に吹き抜けるように。また、寝室とリビングの出入り口はそれぞれ引き戸に変更し、開放することで通風確保しました。
異国情緒ただようパウダールーム
洗面台正面の壁には、奥さまお気に入りのモザイクタイルを貼りました。異国情緒を感じさせる色とりどりの独特の形状をしたタイルが、パウダールームのオリジナリティを演出。またこの空間には窓がないため、ひと続きとなっている浴室から入る窓の光が拡散するよう、床・壁・天井を白で統一。洗面カウンターも白とし、ダークブラウンの収納扉で空間を引き締めています。毎朝の身支度が楽しくなりそうです。
既存を活かしてコストバランスを図る
今回のデザインリフォームは大きく間取りを変えず、既存のよいところを極力残し、コストバランスを図ったことも大きな特徴です。例えばこちらの階段手すりは、既存の白いスチールを黒に塗り、床にはローズウッドを張って壁を塗り替えることでイメージを一新。また、既存の壁の上から重ねて珪藻土を塗ることで、コストダウンにつなげています。
空が近いセカンドリビング
コンクリート床であまり使われていなかったテラス。そこでウッドデッキを張り、ウッドフェンスも設置。風を通しつつ、ご近所からの目隠し対策も万全となりました。バーベキューはもちろん、大きな窓を全開放すればセカンドリビングとしても使うことができるように。可動式のオーニングテントを開けば、強い日差しや小雨も気にせず過ごせます。