物件データ
「無機質な空間にしたい」というNさんのご要望に応え、すべてを白で統一。ただ白でまとめるのではなく、部分的に光と陰、壁が重なる場所をつくり、無機質になりがちな空間に表情を与えています。独立型のキッチンをオープンにし、廊下の一部をとりこんで拡大したLDK。リビングにシンボリックに鎮座する大きな白い箱は、TVボードと暖炉です。2つの箱を重ねるようにレイアウトし、凹凸をつくることで空間に奥行きを。直線による整然としたシルエットと凹凸と陰影による深い表情。無機質と同時にあたたかさを感じる、オリジナルの住まいが誕生しました。
都心にふさわしいモダニズム
暮らしに必要なぬくもり
デザインリフォーム前提で中古マンションを探しており、最終的に3物件に絞ったNさん。最終判断に悩んでいたため、クラフトのデザイナーが内見に同行し「無機質な空間」を実現しやすい物件をおすすめしました。テーマカラーとした「白」は少しの光を拡散するため、窓を確保しづらいマンションに最適。ただし、ただ明るい空間だと落ち着かないため、光の陰影により心地よさを追及しています。またポイントとして明るい木を使用。都心にふさわしいモダニズムと、暮らしに必要なぬくもりをつくることができました。
廊下を取り込みリビングを拡大
既存はリビングや寝室への分岐点でしかなかった廊下。今回のデザインリフォームにより、廊下の一部をLDKに取り込みスペースを拡大しました。リビングの一部が、寝室やバスルームへの導線を兼ねています。既存の建具を撤去したことで、南北の心地よい風が家中を巡るように。「通過するだけ」という廊下の立ち位置を見直したことで、開放感あふれるリビングが誕生しています。
表情を与える大きな箱
リビングに鎮座する大きな白い箱。それをくり抜いたようにTVと暖炉を設置しています。耐火性を確保するため、内側は焼付け塗装したスチールに。手前にせり出している右手部分にはTV機器を収納しました。これにより面の重なりが生まれ、白で統一したリビングに豊かな表情を与えています。下がり天井内にエアコンを格納し、ルーバーで目隠ししたことも、生活感のないホテルライクな空間を実現しているポイントのひとつ。
ぬくもりを放つ大きな木箱
ダイニング・キッチンには大きな木箱。PS(パイプスペース)を活かし、収納・家電収納・冷蔵庫・洗濯機をまとめました。こちらを中心に、キッチン〜洗面室〜廊下を回遊する導線を確立。家事効率を高めています。白でまとめたリビングに対し、ダイニングは木を使ってあたたかく。ほどよい木の質感を取り入れることで居心地をアップしています。下がり天井には間接照明を入れ、奥行きを感じられるように。
リビングは廊下を兼ねて
リビングと廊下を兼ねたスペースは、白い空間に拡散するやわらかな光が印象的。天井にスリットを設け、内部にライトを入れて光源を見せないように配慮しました。左の玄関、右の洗面室からも光が注ぎ、美しいアイポイントに。リビングと寝室の間にはFIXの擦りガラスを。リビングと寝室で自然光を共有しつつ、おだやかに気配を伝えます。
キッチンはカウンターのように
壁付けにし、あえて奥行きを狭くしたキッチン。キッチンではなくシンプルなカウンターのように見せ、存在感を抑えています。もちろん上部には吊り戸棚を設けず、下部の収納量は十分に確保しつつも引き出しはフラットに。それでも収まりきらない場合は、左手の木箱のような収納にしまうことができます。
何もないけれど美しい玄関
ミニマルサイズの収納を玄関ホールまで連続させ、間接照明を入れてオブジェのような印象を与えました。壁にはスリット&間接照明を。「何もない」状態ながらも、縦横に走る直線のライトは洗練されたデザイン性を感じさせています。光と陰に彩られた邸内を予感させる、美しい玄関に。
廊下の奥まで見通せる
ダイニング・キッチン~洗面室~廊下と回遊する導線。すべてがひとつながりとなり、家事と暮らしをスムーズにしています。全開放できる引き戸を採用し、普段は開け放して開放感と風通しをアップ。廊下の奥の玄関まで視線が通り、伸びやかな印象となっています。洗濯機は扉で目隠しするなど、生活感を排除したこともポイントです。