物件データ
築21年の一戸建て。陽当たりの悪いダイニング・キッチンと、居間は居心地が悪く、「家族みんなでくつろげるLDKにしたい」というご希望がありました。またご年配のお母さまには階段の上り下りがご負担に。そこで、1階にはそれぞれの個室を、2階にはLDKをレイアウト。住まいの中央にエレベーターを設け、随所に手すりを取り付けるなど、お母さまの暮らしに配慮したプランとなっています。住まいのデザイン性を損なわないように、バリアフリーを意識したこともポイントです。床は床暖房対応のアッシュ無垢フローリング、壁と天井は珪藻土。控えめなコテ跡により、控えめで上品な印象に仕上げました。構造躯体のみを残して解体するスケルトンリフォームにより、基礎や柱の状態をチェックしながら耐震補強し、断熱材を入れて性能アップ。屋根は既存を塗装しコストダウンを図りつつ、内側から新築のように生まれ変わりました。
新築ではなくスケルトンリフォームで、
間取り・デザイン・性能を一新。耐震補強も
当初は新築も考えていたものの、構造躯体のみを残すスケルトンリフォームで、ゼロからプランニングすることに。柱だけ残し、家族構成とライフスタイルに合わせて間取りを決定しました。ご年配のお母さまは階段を使って2階の個室に上がるのが大変だったことから、1階を個室に、2階をLDKに変更。柱を抜いて開放的な空間にしつつ、間取りに合わせて柱を追加し、梁を補強しています。南の窓に面した明るいLDKでは、家族みんなでさわやかな気分でくつろげるようになりました。住まいの中央にエレベーターを設置し、食事のときはご自身で上がってこられるようになっています。スケルトンにしたことにより、間取りやデザイン、耐震補強や断熱工事などもスムーズ。内側から新築のように生まれ変わりました。
LDK
南に面した2階のLDKは、たくさんの自然光が届く居心地のよい空間です。アッシュ無垢のフローリングと、うっすらとコテ跡が残る珪藻土でやさしい雰囲気に。間取りを変えたことにより露出した柱を撤去し、見通しのよい空間をつくりました。ただし、新たな間取りに合わせて柱を入れ、梁を補強するなどし、耐力性をキープ。エレベーターは玄関前からLDKにつながっており、お母さまの行き来もスムーズに。南側一面に設けたバルコニーには、LDKと和室のどこからでも出入りができるようになっています。
キッチン
オープンながらも生活感のないキッチン。正面には石調のうつくしいタイルを貼り、間接照明で照らしてスタイリッシュにまとめました。キッチンカウンターにはキッチン用具や食器、アイランドカウンターにはレンジやゴミ箱を納めるなど、収納を充実させてすっきりと。さらにLDから見えないところに、コンロや冷蔵庫をレイアウトしました。西側のキッチンは小さな窓を2つ。日差しと隣家の視線を避けながら通風できる最低限の大きさです。ご希望により、南側には長いバルコニーを設けました。
和室
リビングに続く和室。正面の壁をワラ入りの珪藻土で仕上げて素朴な和の趣を演出しました。対面側のモダンなキッチンと対比するような和のしつらえで、気持ちを切り替えほっと一息つけるようになっています。通風のために設けた地窓。畳の上に座ったり、寝そべったりしていると、気持ちのよい風が通り抜けていきます。上部のカウンターには小物を飾ってアイポイントに。引き戸を閉めるとご夫婦の寝室に。引き戸を開放すると、LDKを和の趣で彩り伸びやかさを演出します。右手の窓からは、リビングから続くバルコニーへと出られるようになりました。
階段
全体の間取りを大きく変えたことによって生じたスペース。そこに本棚を兼ねたディスプレイスペースを設けました。棚板はランダムに配置し、リズミカルなイメージに仕上げています。お気に入りの画集やオブジェ、思い出の写真を飾るスペースは、階段を上がり下りたりするたびに目に触れて、たのしい気分になるそうです。また、ちょうどこちらは隣家のバルコ二ーにあたりますが、地窓で視線が合わないように配慮。隣家を気にせず南北通風ができるようになっています。
玄関
ゆったりと流れるような石目模様が大らかで上品な雰囲気。ライトで照らして陰影をつくりました。手すりは、タモの無垢材を使用。無垢ならではのやわらかな質感で、さらに角を面取りしているため手のひらにすっぽりとなじみます。横の手すりは移動時、縦の手すりは段差を上り下りするときに使用します。生活シーンに合わせて高さやサイズを検討し、使いやすさにこだわりました。水まわりに近く、玄関から直進できる位置にお母さまの部屋を配置し、生活動線を短縮。空間の美しさを損なわないよう間取りや素材にこだわりながら、さりげなくバリアフリーを取り入れています。
アプローチ
駐車場とアプローチの間には段差と門扉がありました。そこで門扉をなくし、玄関までゆるやかなスロープ状に続くように。床には天然石調の凹凸のあるタイル、サイドには手すりを設けて転びにくくしました。玄関の先の自転車置き場まで自転車を運ぶのもラクになりました。門柱は奥さまのお好きなテイストでデザインしました。白いブロックにモザイクタイルを貼り、あかるい雰囲気に。外壁も一新し、屋根や雨樋は既存を塗装。存を活かしながら、外観も新築のようにつくり替えています。
スケルトンリフォームで内側から新しく
スケルトンにして躯体の状態をチェックし、必要と判断したため耐震補強を行いました。そのほか断熱材やインナーサッシ、床暖房を入れて性能アップ。ご夫婦たってのご希望で、セルロースファイバーという新聞古紙からつくられた自然素材の断熱材を使用。さまざまな太さの繊維が空気の層をつくり、断熱、吸音効果を発揮します。スケルトンリフォームにより耐震性や性能を見直したことで、これからも長く、心地よく過ごせるようになりました。
バリアフリーを意識したやさしい空間
住まいの中心にはエレベーターを設置。玄関前とLDKをつなぎ、お母さまの階段移動の負担をなくしています。畳一畳よりも小さなコンパクトモデルで場所をとらず、白いドアで存在感を抑えています。スケルトンリフォームだったため、自由にレイアウトすることができました。また、1階のトイレは幅を広げ、介助者も一緒に入れるように。手すりを付けたり段差をなくしたりと、バリアフリーも意識しています。
快適に過ごせるトイレ
2階のトイレの壁にはエコカラットを使用。ボーダー柄でインテリア性を高めつつ、匂いと湿気、有害物質を吸収して空気の清浄さを保ちます。汚れと水を吸収しにくく、掃除がしやすいというメリットも。正面の壁には茶色いアクセントクロスを張りました。勾配屋根の形状が際立ち、モダンな雰囲気に。また手すりを設け、座ったり立ち上がったりをラクにしています。