物件データ
10年ほどのヨーロッパ赴任を終え、日本に帰国したKさんご夫婦。海外赴任の間は賃貸に出していたマンションをリフォームして暮らすことにしました。インテリアやテーブルコーディネートがご趣味だという奥さま。家具や小物、食器をたくさんお持ちで、それらが美しく調和する空間をご希望でした。そこで、家具や小物に合わせて部屋ごとのテイストを変えるプランをご提案。たとえば「LDKの入り口に黒い組子の建具を使いたい」というご希望から、玄関~LDはシノワズリーモダンに決定。また寝室は、お気に入りのチェストに合わせてクラシカルにまとめています。テイストが違ってもトーンをシックにすることで、邸内全体の統一性をつくりました。使わない和室を取り込み、ゆとりのあるリビング・ダイニングに。玄関からLDKへの動線を直線にし、ギャラリーのようなスペースにすることで、全体の間取りを見直しています。ゲストにサプライズとくつろぎを与える、美しい住まいが誕生しました。
お持ちの家具や小物が調和する空間。
スペースごとにディスプレイをたのしむ
センスがよく、たくさんの家具や小物をお持ちの奥さま。ご結婚時にお母さまから贈られたというキャビネットやコンソール、また10年間のヨーロッパ赴任の間に北欧やオランダやで集めた食器や小物。どれも思い入れのある大切な物でした。そこで、玄関~LDにかけてはシノワズリーモダン、キッチンは北欧、寝室はクラシカルとなど、飾るアイテムによって各スペースごとにテイストを変えるプランをご提案しました。デザイナーは奥さまと一緒に、素材やデザインをじっくりと選んでいきました。奥さまのこだわりと世界感が詰め込まれた住まいとなっています。
LDK
季節感を取り込んだインテリアコーディネートがお得意な奥さま。帰国後も食卓にゲストを招き、食事会をするのをたのしみにしてたそうです。いかにお持ちのアイテムが調和するかを考えながら、テイストを決めていきました。ご希望だったシノワズリー調の格子建具に合わせ、リビング・ダイニングはシノワズリーモダンに。お手持ちの家具を置くスペースを確保しつつ、スペースの邪魔をしない程度に収納を設けています。飾るモノ・しまうモノを明確にし、整頓しやすい状態に。いつもすっきりとしたインテリアをキープできるようになりました。
リビング
LDKの隣の和室をリビングに替え、ゆったりとした空間に。天井を上げ、ダイニング側と高さをそろえ、ダウンライトを埋め込んでいます。正面の壁は、大切にしている絵の色合いに合わせて明るい赤茶の珪藻土に。〈ストリーム仕上げ〉というラフな横縞模様によって、おだやかな表情をつくりました。ライトが当たると凹凸が強まり、より珪藻土の素材感を感じることができます。光の方向を調節できるダウンライトにより、どのような絵を飾ってもきれいに照らせるようになりました。
キッチン
海外赴任中に北欧やオランダで購入したという食器や小物になじむよう、北欧テイストでまとめました。キッチンの背面の壁には、灰茶色の菱形のタイルを。北欧らしい素朴な色と形のタイルで、シックな雰囲気をつくりました。奥には家電置き場を兼ねたパントリーを設け、手前に壁を立ち上げてLDから見えないように。腰壁収納にもカップやご主人さまの単行本をしまえるようになっています。カウンターや腰壁のニッチにはお好きな小物だけを並べるなど、生活感のない状態を保ちやすくなりました。
寝室
お持ちの家具に合わせ、寝室はクラシカルなテイストにまとめました。床・壁・天井はライトブラウンでまとめたシックな空間に、白地に淡いグレーの花模様がぱっとさわやか。ライトブラウンと白のコントラストによって、モダンな印象も生まれました。素足になることの多い寝室には、カーペットを敷いて過ごしやすく。右手には納戸を新設し、大きなツリーやオブジェなどをしまえるようにしました。ご希望のクラシカルモダンな寝室となっています。
セカンドルーム
クラフトの自由が丘モデルルームを見学し、その雰囲気が気に入ったというお2人。ご主人さまの書斎を兼ねたセカンドルームに取り入れました。ベースカラーは茶色でまとめ、他の居室とイメージを統一。ウッドブラインドから注ぐかすかな光は、籠ったようなくつろぎを演出します。既存のドアは焦茶色に塗り、重厚な趣をプラスしました。また、ご主人さまの趣味の飛行機の模型を飾るため、オープンの棚をリズミカルに設けています。ご主人さまの心がはずむ、隠れ家のようなスペースに仕上げました。
廊下
クランクしていた廊下を直線に変更。動線を短縮するだけでなく、縦と横のラインが美しい空間に生まれ変わりました。日本の伝統的な大谷石を貼った壁にはピクチャーレールを設け、絵や掛け軸を飾ることができるように。正面の建具はシノワズリーを意識してオリジナルで製作。格子の隙間からおだやかな自然光がこぼれます。リビングや窓の外の景色も映り込み、幻想的な雰囲気。春には桜も眺めることができるとか。光に誘われるように一歩一歩進むたび、その先に展開する空間への期待が高まっていくようです。
ゲストをもてなす
ダイニング
ダイニングの上部には、ガラスと真鍮がクラシカルなペンダントライトを3つ。奥さまがお母さまから贈られたというキャビネットとコンソールに合わせて、奥さまがセレクトしたものです。キッチンの腰壁収納の奥行きは、ご主人さまの文庫本や、奥さまのティーカップのサイズに合わせて設定。必要な収納を設けつつ、ダイニングスペースの広さを確保しています。家電が見えないように目隠しの壁を設けるなど、ゲストの心地よさにこだわりました。
雅やかな空間で魅せる
ギャラリーのように静寂な廊下。壁の一部に貼った大谷石が和の雰囲気を醸しています。その様子がリビングからも見えるよう、ドア横にはFIXガラスを入れました。大谷石は、ガラスを越えてリビング側にせり出すように設け、石の厚みや質感を強調。同時にリビングと廊下とのつながりを演出しています。戸当たりの部分は、建具の色に合わせて現場で塗装。和の質感が入り交じる、雅やかな空間に生まれ変わっています。
素材感で趣のあるトイレ
壁と天井にはダークグレーのクロスを張りました。一部にはレンガ調のタイルを使用。焼きムラや変色、凹凸といったヴィンテージ感のある素材によって、ご希望の趣ある雰囲気をつくりました。ライトを壁際に設置し、タイルのラフな質感が際立つように。手洗いカウンター部分の壁を凹ませたことで、レンガタイルの壁のボリューム感が生まれました。カウンターは奥まで伸ばし、ゲスト用のタオルを並べることができるようにしています。