物件データ
ハウスメーカーによる2×4(ツーバイフォー)の二世帯住宅をデザインリフォームしました。家族構成の変化により、デッドスペースが多くなっていたため、二世帯住宅を単世帯住宅に変更。「2×4(ツーバイフォー)住宅の間取り変更は難しい」と言われることがありますが、2×4(ツーバイフォー)工法のルールをしっかりと理解し、自由なプランで間取りを変えることができました。また1階と2階でコンセプトを変え、いつも新鮮なくつろぎを感じられるようにしたこともポイントです。1階には和テイストのラウンジとセカンドリビング。2階には日当たりの良い開放的なLDKを配置。LDKは壁をなくし、天井をあげて、大空間を実現しています。
BEFORE写真
構造計算の上、壁を撤去
伸びやかで開放的な住まいに
建て替えも検討したものの、既存を活かせるリフォームを選択したTさん。新築当時の図面がないため、デザイナーは耐力壁の位置の見当をつけてプランニングをスタートしました。2×4(ツーバイフォー)工法を得意とするパートナーの構造設計一級建築士と協力。解体後に、安全性を確認した上で間取りを決めていきました。構造計算のもと、構造補強&壁を撤去。さらに天井高を最大4100mmまで上げ、開放的なLDKを設けています。2×4(ツーバイフォー)工法のルールを熟知しているからこそ、大胆に間取りを変更できました。
縦横に視線が抜けるLDK
LDKは自然光が注ぎやすい2階にレイアウト。解体後に天井の懐が大きいことがわかったため、天井高をアップしています。既存の勾配天井をそのまま活かし、最大4100mmもの高さを確保できました。圧倒されるほど高い天井には、アクセントとして化粧梁を設置。節のある個性的なベイマツをセレクトし、リラックスした雰囲気を演出しています。リビング側は壁をなくし、構造計算のもとまぐさと梁で補強。縦横に心地よく視線が抜け、より開放的なイメージが生まれています。
インパクトのある勾配天井
勾配天井には、レッドシダーの無垢材を貼りました。色幅の広い樹種のため、リラックスした雰囲気に。勾配に沿ってフローリングを貼ることで、より天井高を感じられるようになりました。個性的な天井が、石の壁に向かって下りていくようなイメージでインパクト大。変則的な凹凸のある石をボリュームが出るように貼り、実際に石を積み上げたような重厚さを感じさせています。
効率的なキッチン
階段を上がったスペースにキッチンをレイアウト。廊下をなくすことで、LDKを最大限に広げることができました。キッチン~洗面室~リビングを回遊できる間取りにし、家事効率がスムーズになるように配慮。カウンターでは、さっと食事を出すことができ、より奥さまのご負担が減りそうです。キッチンからも窓の景色を眺めることができ、リラックスして家事に集中。居心地と家事効率に配慮したキッチンスペースです。
和モダンなラウンジ
1階の玄関前にはラウンジスペースをレイアウト。和モダンなホテルのような雰囲気で、くつろぎを演出しました。玄関との間を仕切る引き戸は、千本格子戸。繊細な直線の木目や赤みがかった上品な杉は、空間をワンランク上質なものに。3枚の引き戸をフルオープンにし、広く堂々とした印象の玄関スペースにすることも可能です。ラウンジと手前のセカンドリビングの間には、太い無目枠を設けました。床の間の落とし掛けのように、空間の縁をさりげなく切る効果があります。
伝統的な技術
黒地の網代クロスを貼り、2060mmという天井の低さを強調。こもったような心地よさを演出しています。TVボードの背面は壁に厚みを持たせ、特殊塗装を施し、間接照明で質感を感じられるように。黒と金が入り混じり、沈み込んだような味わいとなっています。壁と天井の取り合いには、杉の廻り縁を。伝統的な技術をモダンに取り入れて、ディテールから美しさを感じられるようにしました。
趣あるバーカウンター
ラウンジには、和モダンなバーカウンターを製作しました。ウォールナットを使用し、カウンター上部の壁に厚みを持たせ特殊塗装を施しています。間接照明により、塗りムラや質感が際立つように。グラス収納は背面に鏡を仕込み、二面をガラスにしてショーケースのように仕上げています。棚受けはできるだけミニマルなものを選び、繊細なガラス棚を引き立たせたこともポイント。下がり天井によりフレーミングしたことで、バーコーナーらしさが生まれました。
カーボンブラックの外観
もともとの外壁は水色で、内装のイメージと大きくかけ離れていました。そのため外壁にはカーボンブラックのサイディングを貼り、クールで落ち着いたいんしょうに。木目模様があるため、建物全体にぬくもりある表情も生まれています。住み手のこだわりがうかがえる、個性的な外観。外壁の色に合わせ、サッシや軒先、駐車場も一新しています。
大きな意味のある隙間
リビングと階段室の間には開口部を設けています。そうすることで、リビングから見た時に視線が抜け、広がりと開放感を感じられるように。収納カウンターと石壁の間にかすかにスリットを入れ、石壁を階段室まで連続させ、空間につながりをもたらしました。石壁と天井の間にもわずかに空間を設け、石の縁を見せています。こうすることで、実際に石を積み上げたようなリアリティが生まれました。