物件データ
壁紙や天井など、白を基調にしたありがちな内装のマンションにお住まいのご夫婦。入居から13年が経って飽きはじめたことから、クラフトでデザインリフォームをすることにしました。モード系のファッションが好きなおふたりは、黒をベースにすることに。またフランスの近代絵画家「ラウル・デュフィの10枚連作のリトグラフを飾りたい」との希望から、これを並べて一か所に飾ることができる6.6mの壁を設けることに。飾る部分の背面には石を貼ってライトで照らし、美術館の展示のように絵画を引き立てるようデザインしました。また、ダイニングとキッチンの間には、天井まで届く高い書棚を造作。たくさんの洋書を飾るように収納し、インテリアのハイライトとしました。対面式だったキッチンはあえて奥に移動させ、生活感のないリビング・ダイニングとしています。
BEFORE写真
石が黒い空間にやすらぎをもたらす
クラフトの新宿モデルルームを訪問した際にシックなデザインが気に入り、オーダーを決めたというご夫婦。そんなおふたりのファッションやお持ちの家具は、その大半が黒色でした。そして今回、住まいそのものも全て黒を基調にした雰囲気を希望。間取りは大きく変えず、内装全体を黒をベースとすることにしました。生活感が溢れがちなキッチンは独立させ、リビング・ダイニングをスタイリッシュに。またダークな色合いの石など自然素材を随所に取り入れることで、ただ黒いだけではなLく、上品で落ち着きある雰囲気としました。寝室や書斎の収納などはもとあった設備などを活かしつつ、全ての部屋を黒でまとめて統一性を図っています。
石壁や本を際立たせる
家全体の床は黒のフローリングで統一。壁や天井、造作した書棚も全て同じトーンで揃え、非日常的な雰囲気に仕上げています。折り上げ天井にして間接照明を入れることで、3mを超える天井高をより強調。さらに天然石を貼った壁面や、洋書が並ぶ書棚には、角度をつけたダウンライトでライティングしました。ディスプレイした絵画や本を美しく見せています。
名作家具がなじむ空間
ご愛用のデザイナーズ家具の数々が合う空間をイメージ。リビングの大きな出窓は、真っ黒ではなくチャコールグレーのバーチカルブラインドとし、出窓の天板は黒の大理石に変更しました。また天井の高い部屋でもあたたかく過ごせるよう、床暖房も入れ替え。天井に埋め込んだエアコンも、その表面を黒に塗装して空間になじませています。
洋書の本棚をアイポイントに
ダイニングには、正方形を基調として天井まで届く書棚をオリジナルで造作。キッチンを目隠しする役割も兼ねています。お持ちの本の中で最も背の高いサイズを確認した上で、必要なサイズを設定しました。強度を保つ厚めの板は、ダークグレーで塗装することで、数々の洋書の存在を引き立てます。それまでは飾る場所がなく、大半が段ボールの中にしまわれたままだったという洋書。美しいコレクションに相応しい書架が完成しました。
モノトーンの寝室
寝室もまた他の居室と同様、黒をベースに計画しました。壁は、布のような凹凸をもったアクセントクロスを張ることでテクスチャーに変化をもたせ、落ち着いたベッドルームに。ご夫婦がお持ちの数ある絵画の中から、この部屋に似合うモノトーンの作品をセレクトしています。リビングと同じように天井のエアコンパネルも黒で塗装し、部屋全体をシックな雰囲気としました。
クールな2ボウルの洗面室
浴室にはガラス製の窓とガラスのドアを設置し、洗面所と浴室を一体としました。またゲストにも気持ちよく使ってもらえるよう、洗面台の横幅を拡大。朝の渋滞も起こらない2ボウルとし、正面にはそれぞれ専用の収納付き鏡を設置しました。洗面台の天板はリビングの出窓と同じ黒の大理石を使用。正面には黒のタイルを貼るなど、水回りも全て黒系統で統一しています。洗濯機置き場を別の場所に移動させることで、生活感を排除しました。
ギャラリーのような玄関
玄関〜突き当りの書斎の廊下には、SIC(シューズインクロゼット)や洗面室、トイレ、洗濯機置き場をレイアウト。そのドアは全て同じサイズ、同じ方向の開き扉に統一し、壁と同じ黒系統色で塗装しました。さらに蝶番の突起が出ないよう、隠し丁番を使ってフラットに。等間隔で並んだダウンライトや、床の大理石とともに、厳かな雰囲気を醸し出しています。人感センサー付き照明を採用するなど、利便性もアップしました。飾ったアートが際立つギャラリーのような空間です。
デュフィの連作が彩る6.6mの壁
デュフィの連作は10枚1組となっており、並べて飾るためには幅6.6mの壁面が必要となります。既存の間取りにその長さはなく、別々の場所に飾るしかありませんでした。そこでリビングの扉の位置と収納の配置を見直すことで、展示スペースを確保。新たに誕生した大きな壁面には、絵画のサイズを考慮した横長の天然石を貼り、ダウンライトを設置。「しばらくは絵画を飾らず、壁を眺めていたい」と語るほどお気に入りとなった空間となりました。
生活感を出さないようあえて
クローズドとしたキッチン
クローズドだったキッチンをオープンなアイランドとするリフォームが多い中、今回はあえて逆のレイアウト変更。生活感が出てしまうことを避けるためにキッチンを隠し、リビング・ダイニングをパブリックスペースとして確立させました。キッチンスペースは3m近い天井高を活かして吊戸棚を2段重ねて設置し、収納力をアップ。既存のシステムキッチンと同じデザインで一体感をもたせています。食洗器も取り入れて、暮らしやすさにも配慮しました。
住宅設備の細部まで黒を意識し
邸宅全体のトーンを統一
今回のデザインリフォーム最大のポイントは、モノトーンで統一した空間づくり。これを徹底するため、住宅設備の細部に至るまで色合いを統一しました。リビングのバーチカルブラインドは各社の製品を比較し、スラットを繋ぐチェーンやレールまで確認。空間に適合する色をセレクトし、各スイッチやコンセントも、全て黒で統一しています。天井に埋め込んだエアコンパネルや、ダウンライトの周辺パーツも黒で塗装。キッチン脇の壁は、浅く凹ませるニッチ棚を設け、白いインターホンが目立たないようにしました。