物件データ
勤務先の近くに築14年のマンションを購入したAさん。”音楽とお酒が好き”というライフスタイルを反映したプランをご提案しています。まずは廊下の一部をとりこみ、開放的なLDKに。フローリングは幅広のチーク、バーカウンターやWICまわりの壁には古材といった自然素材を使い、リラックスできる雰囲気をつくりました。北側の窓からは隅田川方面の景色を臨めることから、リビングと北側の寝室の間に室内窓を設け、景色を共有できるように。リビングのソファに腰掛けても、美しい夜景が視界に入り、贅沢なくつろぎを与えます。昼は南北から自然光が注ぐ、さわやかな西海岸。夜は室内窓から夜景を望む、大人のブルックリンスタイル。昼と夜の異なる表情でAさんの暮らしにメリハリをもたらします。ムダなスペースを徹底的に削り、豊かな暮らしを育む要素を与えることで、自宅で過ごす時間をかけがえのないものに変えました。
BEFORE写真
室内窓でリビングと寝室につながりを。
夜ごと仲間が集う本格的なバーカウンターも
長い廊下の一部をとりこみ、LDKのスペースを拡大しました。リビングと寝室の間に室内窓を設け、空間のつながりを演出。同時に、双方の窓から注ぐ自然光や景色を共有できるようになっています。常に生活感のない状態をキープできるよう、リビング横には大容量のWICを設けました。WIC~洗面室~浴室とひと続きにし、暮らしの動線をスムーズにしています。オープンキッチンにはご希望のバーカウンターを設置。古材を使った大きな天板や、スチールのグラスラック、コンクリート打ち放しの天井にはそれぞれラフな味わいがあり、ワイングラスやボトルを並べると、贔屓にしているバーさながらの居心地よさに包まれます。週末には友人が訪れ、カクテルや手料理をふるまうことが多くなったそうです。
LDK
開放的なLDKと、コンパクトな寝室・予備室・水回りの2LDKに一新。将来のことを見据えて設けた予備室は、ゲストルームや趣味の部屋としても活躍しています。リビング正面は古材の壁で、タフなインパクトをつくりました。壁の向こうは大きなWICとなっており、WIC~浴室をひと続きにして生活動線を短縮。壁は天井まで立ち上げず、天井を連続させることでワンルームのような広がりを演出しています。1人暮らしながらも、様々なシチュエーションに対応できる間取りです。
室内窓
リビングと寝室の間には、黒い木製の格子の室内窓を設けました。開口部に抱きをつくり、見え掛かりが20mmになるように計画。スチール窓のようなシャープな印象を与えています。ベッドが見えない高さの腰壁を設けつつ、開放感が得られるように大きく開口。格子のグリットによって統制されたクールさが生まれました。寝室のカーテンを開けると、隅田川の情緒ある景色が広がりま
ダイニング・キッチン
床は、チークの幅広のフローリングをセレクトしました。木目や濃淡がはっきりとあらわれ、かすかに表面がうねり、ブルックリンテイストに馴染むラフな心地よさが。天井は既存を撤去し、コンクリート躯体を現しに。スチールの化粧パイプを設け、インダストリアルな要素も添えています。これらのコンクリートの味わいや木の素材感が映えるよう、壁は白く塗装。個性的な素材がぶつかり合うことなく、自然に調和しています。
バーカウンター
古材を使って約3mもの長さのバーカウンターを設けました。4人座ってもゆとりがあり、ダイニングテーブルとしても活躍。上部にはグラスラックを、梁型に合わせて計画しました。黒いフレームは造り付けの家具のように隙間なくフィットし、大きなグラスを掛けても整然とした美しさ。パンチングメタルを組み合わせ、ボトルを並べられるようにしました。また解体時に天井に退廃的なコンクリートの段差を発見したことから、間接照明として活かし、バーの趣を深めています。
寝室
コンパクトなベッドルームですが、室内窓のおかげでクイーンサイズのベッドを置いても伸びやか。床・壁・天井の仕上げはLDKと統一しました。ガラス越しにコンクリートの天井が連続し、独立した空間ながらもワンルームのような開放感が。建具は引き戸にし、寝室の広さを確保。ヘッドボードは引っ越し後、AさんがDIYで仕上げたそうです。住みながら少しずつ、自分らしい空間づくりを楽しんでいるご様子でした。
玄関ホール
玄関ホール~浴室~リビングの古材の壁のシークエンス。なだらかな段差が壁をよりダイナミックに重厚に見せ、リビングとは異なるイメージを楽しませてくれます。左サイドはSIC(シューズインクロゼット)に。あえてドアを設けず、使い勝手を高めました。また、ゲストのコートを預かるクローク的な役割も兼ねています。スーツケースや傘などは汚れを気にせず仕舞えるように、床はモルタルの土間で仕上げました。
ワイルドな古材チークの壁
玄関~リビングの壁には、古材のチークを貼りました。凹凸のある不ぞろいな形状、濃淡や陰影。ワイルドなイメージの底にただようあたたかな表情が魅力です。飾ったギターは古木の壁に溶け込み、淡いスポットライトの光によって浮かび上がるようです。コーナーは互い違いに貼り、リアルに積み重ねたような存在感を演出。ドアは、板目がはっきりとしたレオを使用しました。キッチンの壁やバーカウンターの側面も同じ樹種で統一し、古材の壁のインパクトに負けないように。
シンプルな素材感をさりげなく
土間は墨入りのモルタルで仕上げ、左官ならではの素朴な味わいが伝わる空間に。玄関まわりの壁・天井はダークグレーで塗装したことで、モルタルのコテムラ・塗りムラが際立つようになりました。幅木や框、またSICの見切りには黒いアルミを使い、メタリックなクールさをプラス。フローリングの端材を使って棚を設けるなど、シンプルな素材感をさりげなく取り込みました。静寂のなかに、暮らす人の個性とこだわりがただよい、ゲストの気持ちをぐっと盛り上げます。
英国製のトグルスイッチ
目につきやすい場所には、英国製のトグルスイッチを。一方、機能性重視の調光器は目につかない場所に設置しました。白い壁に、ムダな装飾のないミニマルなトグル。インダストリアルな趣もあり、インテリアとしての役割を兼ね備えています。玄関にはアメリカのEXITライトを設置。玄関まわりの壁と天井、そこに続く廊下の天井をダークブラウンで塗装し、見る人の視線がごく自然に、赤い文字に注がれるように計画しました。