物件データ
お子さまが生まれ、より広い家で暮らしたいと住み替えを決めたSさん。クラフトでマンションの売却から物件探し、リフォームまでを行いました。新たに購入したのは、築16年のメゾネットマンション。デザインリフォームによって子育てしやすい間取りに一新しています。まずは、壁向きでリビングから隔てられていたキッチンを移動し、対面式に。かつてキッチンがあった場所を子ども部屋とし、家事をしながら、お子さまがリビングや自室で過ごす様子を見守ることができるようにしました。また、ご夫婦や友人たちと、趣味である音楽セッションが楽しめるよう、防音性の高い地下に音楽室を設置。ここにカウンターも設けて書斎も兼ね、さまざまな活用ができるスペースとしました。さらに玄関脇の洋室は和室に変更し、電気炉を設けて茶室に。来客時は客間とするなど、さまざまな使い方ができるようになっています。LDKから子ども部屋、和室とがゆるやかにつながり、家のどこにいても家族の気配を感じられる住まいに。
家族の気配が伝わる間取り
2LDKを3LDKに変更。使わない納戸などデッドスペースを整理することで、広さをキープしつつ部屋数を増やしています。広いLDKには、対面式のペニンシュラキッチンを設置。南の窓からは高台の景色が、キッチンの後ろにある東の窓からは桜の景色を望む、開放的なLDKが誕生しました。キッチンからはリビング・ダイニングはもちろん、その横に設けた子ども部屋までを見通すことができ、お子さまを見守りながら料理ができるように。友人を招待するのがお好きな奥さまは、「ゲストをもてなしやすくなった」と語ります。子ども部屋と隣り合った茶室との間には上部に小窓を設けるなど、別々の部屋にいても家族の気配が伝わるよう工夫しています。
家具を引き立てるリビング
床には落ち着いた色合いの無垢のナラ材の幅広フローリングを使用。木の美しさを引き立てる白い壁とともに、ゆったりとしたイメージに仕上げました。レコードプレーヤーやヴィンテージのミシンなど、ご愛用のアイテムからご夫婦のこだわりをデザイナーが取り入れ、シンプルで控えめな素材使いを心がけました。またキッチンは南に大きく移動させ、オープンで見通しのよいLDKに。南の窓から注ぐ光が家中に広がり、明るい空気で満たしてくれます。
天井からも木のぬくもりが
ダクトが通る下がり天井は移動させることができないため、フローリングと同じ色合いのウッドパネルを張り、間接照明を設置。デザイン性を持たせることでデメリットをなくし、インテリアの一部として活かしています。リビング・ダイニングに自然のぬくもりを添えるため、あえて波形の木目の板目を使用。さらに小さなお子さまがいることから、戸境壁で遮音性を高めています。自然に木の存在を強調しつつ、キッチンの腰壁の上端にも板目の木を使い、統一感をもたせました。
ピクチャーウィンドウに映る桜
ご夫婦の希望に合わせ、キッチンは手元が隠せるタイプに。そのサイドにはカウンタースペースを設け、家事の合間には食事をしたり、仕事もできるように。そしてキッチン背面には大きな壁面収納を設けると同時に、冷蔵庫を壁で目隠し。オープンキッチンをすっきりと見せています。背面のカウンターの上にある腰高窓は、フローリングと同じナラの窓枠を設けてやわらかなイメージに。春は目の前の桜が咲き誇り、リビングから美しいピクチャーウィンドウを楽しむことができます。直床構造であるためキッチンを移動するには床の一部を高くする必要がありましたが、収納内に段差を隠すことでフラットなイメージを生み出しています。
和の雰囲気で統一した茶室
もとあった洋室は和室に変更。4畳半の中央にお湯を沸かすための電気炉を設け、茶室を兼ねた客間としました。和の雰囲気に合わせて壁は漆喰とし、正面の壁は珪藻土の櫛引き仕上げに。その上部の壁は床の間の落とし掛けのように一部を手前に引き出し、スポットライトを設置。天井には木のパネルを貼り、部屋全体を和のイメージで統一しました。茶器を納めることができるよう設けた大きめの収納は、ベンチとして腰掛けたりお雛様を飾ったりすることもできます。和の要素をふんだんに取り入れた、茶室らしい趣ある空間となりました。隣り合う子ども部屋との間には高窓を設け、お子さまの気配が感じられるようにしています。
音楽室、書斎として使える
地下のオープンスペース
メゾネットタイプで地下があるという特性を活かし、地下に書斎兼音楽室を設置。床と壁は黒で統一して、まるで音楽スタジオのような雰囲気に。その一方で棚やカウンターには明るい色合いの木を使い、ぬくもりもプラスしました。扉で仕切るのではなく、リビングから階段を通りそのまま音楽室につながるようにレイアウト。リビングからの光が届き、地下であることを感じさせない空間となっています。また、階段の下2段目まではあえて手すりを設けず、ベンチ代わりにして座れるように。仲間と音楽セッションをしたり、仕事をしたり、お子さまと遊んだりとさまざまな使い方ができます。
地下の寝室には
広い収納とトイレを新設
地下にあった納戸と和室をひとつの部屋とし、ゆとりのある寝室としました。排水圧送ポンプを使用し、排水の経路を確保することで、これまでなかった場所にトイレを新設。また、家族の洋服や季節用品などは、壁一面に設けたクローゼットへ。床には素足に心地よいカーペットを採用しています。ベッドヘッドは壁を凹ませてアクセントクロスを貼り、間接照明を設置。寝室ならではの落ち着いた雰囲気づくりと同時に、ベッドサイドランプとしての役割も兼ねています。
ワンフロアで過ごすような
左のドアは子ども部屋から和室へ、右のドアは廊下から地下の音楽室と続いています。過ごしやすい季節はドアを開け放せば、家全体がひとつの空間に。奥さまがキッチンに立っていても子ども部屋や地下の音楽室の気配がわかり、大きな声で呼びかければ地下のご主人さまにも声が届くそう。メゾネットでありながらもフロアや部屋で分断されることなく、ワンルームのように邸内がつながります。
排水管を柱のように
収納の位置を見直して、玄関の土間は広めに。リビングへとつながる長い廊下は、開放的な印象を与えています。リビング前の廊下はその幅を拡大し、天井のライトはダウンライトにして、地下に続く階段の上に配置。階段の腰壁はアイアンに変更し、地下との統一感を図りました。正面に見える柱は、実は地下の寝室に設けたトイレの排水管。板目の木材で化粧することにより、玄関ホールに自然に馴染ませています。
こだわりの洗面室
洗面室の床は耐水性の高い塩ビタイルを、ヘリンボーン張りにしました。濃い色合いの木目で、モダンな雰囲気に仕上げています。洗面台は木と白色で、キッチンと同じテイストに。ぬくもりある木目の扉や丸い洗面ボウルなど、オリジナリティにこだわりました。その脇の壁は天井まで立ち上げて洗濯機を隠し、生活感を抑えられるよう配慮。向かいの壁にはタオル乾燥ラックも設置しています。また浴室にはスピーカを入れ、入浴しながらお好きな音楽を楽しめるように。一日の疲れをいやしてくれるバスルームが完成しました。