物件データ
3人暮らしのSさんご一家。住み替えを考えて新築マンションを探したものの、気に入った物件が見つからず、今のお住まいをリフォームして暮らすことにしました。コンセプトは、”ホテルライクなワンルーム”。最上階で最大3mという切妻の勾配天井を活かし、ダイナミックな2LDKに間取りを変更。LDKと寝室は大谷石の壁で仕切り、パワンルームのように仕上げました。白くモダンな空間に、趣ある大谷石がアクセント。またスペースは広くとったキッチンには、お気に入りのアイランドキッチンをレイアウトしました。上部のFIXガラスの向こうには、洗面・浴室・トイレが広がっています。ガラスで仕切ることにより、伸びやかさを演出しました。各スペースをコネクトすることで、ホテルライクな開放感、心地よさを実現しています。
BEFORE写真
天井に断熱材を増し吹きするとともに、
予備スリーブを利用して吸気口を設けて通気性をアップ
「キッチンを主役にしたい」「ホテルライクなバスルーム」など、理想のライフスタイルが明確だったSさん。デザイナーは５つのプランをご提案し、その中から選んだプランを、打合せを繰り返しながらよりブラッシュアップしていきました。和室をなくして大きなスペースを設け、大きな空間にLDKと寝室をレイアウト。それぞれをおだやかに仕切り、ワンルームのような広がりのあるスペースに。また洗面室・浴室・トイレもワンルームスタイルとし、ホテルライクな伸びやかさとハイクラス感を演出。住まいの中心にファミリークロークとロフトを設け、収納量もカバーしています。天井に断熱材を増し吹きするとともに、予備スリーブを利用して吸気口を設けて通気性をアップ。限られた空間でご希望を叶えるため、各スペースをコネクトしたことが大きなポイントです。
LDK
最大天井高が3mというポテンシャルの高いマンションでしたが、解体後に天井の断熱材が不足していることが発覚し、断熱材を増し吹きすることに。また「天井の梁の凹凸が気になる」ということから、フラットな天井を設けて間接照明を入れました。段差にデザイン性を持たせるとともに、光のラインが梁の存在を隠し、天井高を印象付けています。眺めのよい最上階。キッチンに立つと窓の景色が視界に入り、心地よく過ごせているようです。吸気口がなかったことから、エアコン用に設けられていた予備スリーブを吸気口とし、通気性を高めています。
LDK
空間に広がりをもたらすため、LDKと寝室の間に壁を立ち上げゆるやかに仕切りました。フラットな天井をリビング～寝室へ連続させ、異なるスペースのつながりを強調。寝室にはあえてドアを設けず、リビング～寝室の３つの窓から連続した採光面を確保しました。間仕切り壁には大谷石を採用。面として大きく見せることにより、大谷石にシンボリックなイメ―ジを与えました。壁はWICの入口ドアの高さでそろえるなど、ラインの美しさにも配慮。細かな納まりのこだわりが、洗練された心地よさへとつながっています。
キッチン
ご夫婦ともに料理がお好きだということから、大きなアイランドキッチンをレイアウトしました。夫婦でキッチンに立てるよう、通路はゆとりのある幅に。ガゲナウの冷蔵庫やミーレのオーブン・食洗機、そして大きなシステム壁面収納により、生活感のないキッチンを実現しています。また天井高を活かし、収納の上部にFIXガラスを入れました。シームレスな１枚ガラスが異なる空間をつなげ、広がりを感じさせる効果が。ガラスの先にはゆったりとしたバスルームが広がっています。シンプルながらも存在感の大きなキッチンは、住まいの主役となっています。
寝室
寝室は、ベッドを置けるミニマルサイズをご希望。大きな窓のある空間にはオープン棚とPCスペースを設け、読書や仕事ができるようにしています。寝室横のファミリークロークは天井高が必要ないため、上部にロフトを設けて収納量をカバーしました。階段はシンプルなデザインをセレクトし、NYのSOHOのようなスタイリッシュな雰囲気に仕上げています。LDKとひと続きのプライベート空間。閉鎖的な寝室ではなく、フリースペースのような開放感と気軽さで、様々な過ごし方ができるようにしています。
洗面室・浴室・トイレ
「ホテルのような雰囲気」というご要望から、ワンルームスタイルの水回りをご提案しました。床と壁はグレーのタイルで統一し、オーダーユニットバスでラグジュアリーな雰囲気に。ガラスの間仕切りで、ホテルライクなスケール感を与えました。浴室～洗面室～トイレは目地がつながるように同一タイルを貼り、ガラス越しに整然と見せています。洗面室は4カ所に収納を設け、洗濯機置き場を壁で隠し、生活感が出ないように配慮。洗面台の上部のFIXガラスで抜け感が生まれ、リュクスな気分でバスタイムを愉しめるようになりました。
玄関ホール
玄関ホールが暗かったことから、リビングの入り口にはフレームのないテンパードアを使用し、抜け感と採光を高めました。リビングの自然光は玄関まで届き、やわらかな光でゲストを迎え入れます。玄関ホール～LDKの床には600角の大判タイルを貼り、豊かなシークエンスを感じられるように。リビング以外のドアは引き込み戸とし、開放したままゆったりと過ごせるように計画しています。
ダイニングテーブルの天板はオリジナルで製作
以前から家具をLCシリーズで統一するなど、モダンなインテリアがお好みだったSさん。ただしテーブルのガラス天板の汚れやすさが気になっていたことから、天板のみをクラフトで製作することに。社内の家具デザイナーがお持ちのテーブルのフレームに合わせてデザイン。落ち着きのある重厚なナラに、テーパー（先細りの角度）を付け、モダンに仕上げました。ご愛用のLCシリーズの家具も美しく調和。シンプルな空間に、あたたかいナラの木が上質なぬくもりを添えています。
オーブンはビルドイン、冷蔵庫はフラットに
冷蔵庫は〈LIEBHERR〉、コンロは〈GAGGENAU〉、食洗機とオーブンは〈Miele〉と、キッチンの設備はご主人さまのお好きな海外メーカーを採用しました。ワインセラー付きの質実剛健な冷蔵庫は、壁面収納にフラットに納め、サイドから見ても凹凸がなくシャープな印象に。フレームに段差を入れることで、全開放できるようにしています。ゆとりのある通路や、両サイドから行き来ができる動線により、ご夫婦２人でにぎやかにキッチンに立てるようになりました。
飾って魅せる収納棚
アイランドキッチンを基準として床にタイルを貼り、空間の中心に据えました。フラットドアを大きくスライドさせると、たっぷりとした収納棚が現れます。ワインを飲んだり、お茶を点てたりするのがお好きなSさん。棚板には上質なウォールナットを使用し、とっておきのワイングラスや茶器をディスプレイできるようにしました。開けたままでもインテリアになる贅沢なスペースは、ゲストにちょっとしたサプライズを与えることができそうです。