物件データ
結婚後の新居としてマンションを購入したKさんご夫婦。立地や広さは気に入ったものの、間取りやデザインが好きになれず、リフォームすることに。ご夫婦2人と愛犬がリラックスして過ごすための、ラフで男前な空間がご希望でした。LDKと寝室の間には室内窓を設置し、自然光を共有。さらに邸内を端から端まで視線が通り、1LDKながらもワンルームのような開放感を演出しています。WICは寝室とひと続きで、ドアはなし。共働きで忙しいご夫婦がスムーズに身支度できる動線を計画しました。インパクトのあるチークのフローリング、趣ある珪藻土の壁など上質な素材を取り入れ、大人の夫婦がくつろげる空間に。もともとは旅行やゴルフが趣味だというKさんご夫婦。「引っ越してから、休日は家で過ごすことが増えた」とおだやかな笑顔を見せてくれました。
1LDKでゆとりの空間
「室内窓」で明るさを
『角部屋で、3面の窓から自然光が注ぐ』というのがこのお住まいの大きなメリット。そのポテンシャルを活かすため、間取りを大きく見直しました。既存は2LDKで、各部屋が窮屈な印象。とくに独立キッチンや納戸が、リビングを狭く感じさせていました。そこでキッチンをオープンにし、納戸をリビングに取り込むように計画。広々としたLDKには3方向から自然光が注ぎ込み、角部屋のメリットを最大限に活かせます。また、LDKと寝室の間には室内窓を設置。寝室にLDKの明るさを届けるとともに、邸内の見通しを高め、実面積以上の広がりを感じられるようにしました。
ダイニング・キッチン
リビングの納戸をなくしてキッチンをオープンにし、LDKを拡大。納戸をなくしたことでリビングに余白が生まれ、ゆとりある印象となっています。オープンキッチンからは窓の景色も眺められるようになりました。また解体時、想定していたよりも天井の梁が大きく、隠す場合は天井を5cm程度下げる必要があることが発覚。キレイな梁だったこともあり、あらわしにして天井高を確保することをご提案しました。また天井を横切る梁の存在が、控えめなインパクトと無骨な趣を添えています。
リビング・ダイニング
梁と柱による凹凸を利用し、オープン棚を造作しました。均一に分割し、方立ての幅に合わせてブラインドを設けることで、端正な印象を与えています。本や小物をさりげなく置いても絵になる、使い勝手のよいディスプレイスペース。壁と天井には、珪藻土を塗りました。光があたるとコテ跡や塗りムラが浮き上がり、テクスチャーが際立ちます。消臭効果とともに、本物素材による上質感を感じられるようになりました。
ダイニング
キッチンの直線上にダイニングをレイアウトし、料理をサーブしやすい動線に。ダイニングやリビングでくつろぐご主人さまと会話しながら、料理ができるようになりました。窓際には、おふたりで同時に作業ができるPCカウンターを造作。カウンターの天板をキッチン収納とつなげ、ダイニング・キッチンのつながりを感じられるようにしています。チークの天板のダイニングテーブル、アイアンの脚の椅子、インダストリアルなペンダントライト。空間テイストに合わせて家具やライトも提案しました。
キッチン
清掃性を考え、床にはモルタルのような質感の塩ビタイルを採用しました。壁にはサブウェイタイルを貼り、ダイニング側から見たときのさわやかなアクセントに。天井は、一部コンクリートの梁をあらわしにしてラフさを強調。床・壁・天井の質感と、Kさんがセレクトしたインダストリアルなキッチンがなじんでいます。リビング・ダイニングとは異なる素材を取り入れて、キッチンに立つのが楽しくなるように計画しました。
寝室
「シングルベッドを2つ置きたい」というご希望から、寝室のスペースを拡大。より広がりを演出するのが、室内窓。視線を通して開放感をもたらすと同時に、リビングの自然光を取り込んだり、逆に寝室の自然光をリビングに届けたりと、光を共有する役割も。室内窓の横はヘリンボーンの板張りとし、西海岸風のリラックスしたテイストに。目覚まし時計や読みかけの本を置くことができるよう、ニッチを造作。両サイドにコンセントを設け、それぞれの携帯電話を充電できるようにするなど、小さな利便性にも配慮しました。
玄関
ゴルフバッグやサーフボードをラフに置くことができるよう、玄関は広いスペースに。アンティーク煉瓦を奥まで連続させ、煉瓦の立体感と空間の奥行きを演出しています。質感豊かなモルタルの土間は奥の収納まで続いており、ゴルフバッグやキャリーケースなどをしまえるように。お持ちのサーフボードがフィットする玄関。訪れた人にインパクトを与えると同時に、この住まいのコンセプトを一目で伝えています。
本物のタフな質感
Kさんが求めているのは見せかけだけのタフさではないことから、素材感を重視。たとえば床には、木目がはっきりと浮き出たチークを採用。広い面積に貼ることで、タフな全体イメージをつくっています。リビングのドアはオリジナルで製作。床にあわせて、木目が大胆なレオという樹種を使用しました。そのほか珪藻土、サブウェイタイル、アンティーク煉瓦など、本物の素材を散りばめています。
伸びやかさと明るさをつくるWIC
これまで洋室だったスペースは、WICに変更。寝室とひと続きの動線を確保しました。朝起きてからの身支度や、帰宅後の着替えがこれまでよりもスムーズに。あえてドアを設けず、寝室と同じチークの床材を張り、空間のつながりを演出。寝室に実際以上の広がりを感じさせています。WICの窓から注ぐ自然光は寝室まで届き、より明るく心地よい空間となっています。
採光・見通しに
効果的な室内窓
LDKと寝室の間に室内窓を取り入れ、明るいリビングの光を共有。さらにリビングと寝室のどちらから見ても見通しが高まり、実際よりも広く感じられるように。空間を視覚的につなげることで、ワンルームのような開放感が生まれました。室内窓の下には犬のケージがフラットに納まるスペースを設置。いつも愛犬と一緒に過ごすことができ、就寝時も室内窓越しに気配が伝わります。