物件データ
海外にお住まいだったKさん。帰国のタイミングに合わせて、所有するマンションをリフォームしました。基本の打ち合わせはメール、一時帰国時には仕様決めとショールーム巡りを集中的に。海外と日本で距離があったものの、綿密にコミュニーケーションをとることで、理想通りの住まいにリフォームすることができました。間取りは、ライフスタイルに合わせてゼロから構築。たとえば「ホームパーティーがしたい」ということから、使わない個室をとり込みLDKを拡大しました。吹き抜けやFIXガラスによって、上下左右に視線を通し開放的をアップ。ゲストを招くのにふさわしい空間となっています。インテリアは、木・石・タイルなど上質なマテリアルを絶妙なバランスで調和させ、アジアンモダンに。お兄さまやご両親から譲り受けたアイテムを活かしながら、端正な美しさのある住まいに仕上げました。
石やタイル、チークを組み合わせ
憧れのアジアンモダン
ライフスタイルを丁寧にヒアリングし、パブリックとプライベートを明確にゾーニング。たくさんのゲストを招くことができる、開放的なLDKを設けました。既存のロフトをゲストルームにするなど、これまで活用できていなかったスペースを活かしたこともポイントです。チークを使ってお好みのアジアンテイストを演出しつつ、タイルやガラス、スチールでモダンな雰囲気に。ご親族から譲り受けた、味わいのある大理石のテーブルやワインセラーを再利用したことで、より趣が増しています。
LDK
一部屋をとり込み、拡大したLDK。天井の面の重なりが、奥行きを感じさせています。梁や空調ダクトのある廊下側の天井は、一段下げてフラットに。一方でリビング側は天井を上げ、板を張りました。カーペットでバランスをとることで、木目の面積が広いながらもウッディになりすぎることなく、モダンな印象をキープ。吹き抜けにはお兄さまが愛用していた照明、階段下にはお父さまから受け継いだワインセラーをレイアウト。味わいのあるアイテムを活かせるように計画しました。
ロフト
ロフトには畳を敷き、ゲストルームとして使えるように。季節によってはご家族が休むことも想定しています。既存の階段をスケルトン階段に変更し、手すりやササラは黒スチールで製作。吹き抜けのアイポイントとしました。踊り場や段板の裏には木を使い、全体のバランスをとることでスチールの存在を抑えています。LDKのデザイン・要素を一望できる階段スペースは、お気に入り。段板に座って、お酒をたのしむこともあるそうです。
リビング
天井は、オークの無垢板をリブ加工した特別仕様。ショーケースや壁面のチークに合わせ、シックな色合いに塗装しました。間接照明が当たると、無垢材独特の色幅による深い陰影があらわれます。梁部分にも連続させて張ることで、天井高を強調する効果も。連続性を損なわないよう、リブのピッチに合った3灯セットのダウンライトを採用しました。TVの壁は、木と相性のよい石目タイルに。下部には、内部をスチールで構成したニッチを設け、AV機器をすっきりと納めました。
キッチン
ゲストをもてなしやすいよう、左右から出入りできる対面キッチンに。ゆとりあるCUCINAのキッチンが美しく鎮座しています。左奥に扉のないパントリーをレイアウトし、アクセス性を高めつつもリビング・ダイニングから見えないように。天井を上げられる部分は、吹き抜けを設けて開放感をアップ。キッチンサイドのL型のゲートは、ダークグレーのボーダーダイルでデザイン性を高めるとともに、内部にレンジフードのダクトを通す役割も兼ねています。
LDK
LDKに面したWIC~防音室のドアは、チークの木目を揃えて張りました。奥へと連続する木目が、異なる空間の境界線を曖昧にしています。ドアサイドの壁をFIXガラスにすることで、閉めた時も連続性を感じられるように。ショーケースは天井までの高さではなく、あえて上部に空間を残して開放感をキープしました。厳選した器類だけを飾ることができるよう、キッチンには十分な背面収納を設けています。リビング・ダイニングは足触りのよいカーペット、廊下やキッチンは清掃性の高いタイル。用途によって床材を張り分けたこともポイントです。
ショーケース
ショーケースはオリジナルで製作。希少なチークを家具と壁面に贅沢に使用しました。旅先で収集したアジアの器や人形との相性がよく、より魅力的に見せてくれます。扉の框をガラスで覆うように構成し、モダンな連続性を演出したこともポイント。さらにガラス棚を採用し、スポットライトの光が隅々まで行き渡るように。ホテルのロビーのように、上質でリラックスできる空気が生まれています。
洗面室
以前は洗面室に洗濯機があったものの「別にしたい」というリクエストがあり、隣接したユーティリティを新設。ルーバー扉を採用することで、リゾート感を演出するとともに通気性をアップ。ホテルライクな洗面室となっています。壁にはテクスチャーを感じるタイルを貼り、左サイドはPS(パイプスペース)による凹凸を利用してオープン棚を造作。点検口のフレーム設置を避けるため、マグネットタイプを採用しました。下部・洗面台左サイド・背面の収納の棚板はすべて、足場板にアンティーク塗装を施しています。
トイレ
スペースを拡大し、ゆとりのある手洗いカウンターを設置しました。壁には、旅先で見て気に入ったという和モダンなモザイクタイルを。ミラーを少しだけ浮かせて設置し、背面にLEDの間接照明を入れることで、タイルの質感を際立たせています。全体はシンプルなカラーでまとめつつ、手洗いの面をアクセントに。ゲストにも心地よく使っていただけるように工夫しています。
ドアの存在を曖昧に
ご希望により、大きなグランドピアノを置く防音室を設けました。しかし防音室のドアは味気なく、廊下のデザイン性を損なうことに。そこでドアをチークで製作し、リビングの奥まで続くような構成に。邸内全体のイメージ統一しつつ、二重ドアによって防音性能を高めています。対面の壁はグレーでまとめてチークの壁面を際立たせ、玄関収納やトイレの扉の存在をやわらげています。