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リノベーションの定番人気となってきたパントリー。食品のストックやキッチン家電を収めるほか、災害備蓄の置き場所としても便利です。そんな使いやすいパントリーの間取り実例をご紹介するほか、失敗例やそれを回避するポイントも解説します。
パントリーの間取り実例1:すっきり隠せる大容量
アイランドキッチンのサイドにパントリーを設けた実例です。キッチンに吊戸棚を設けずにすっきりと仕上げ、その分の収納量を大容量のパントリーで補いました。キッチンでの作業動線の延長線上にあり行き来しやすく、来客時などには引き戸を閉めてすっきりと目隠しすることができます。トラディショナルな框戸をセレクトし、LDK全体のイメージと統一しました。
パントリーの間取り実例2:ウォークスルーで最短導線
こちらもキッチンサイドに設けたパントリーです。玄関ホールにつながるウォークスルータイプのため、買い物帰りに最短の動線でパントリーへアクセスすることができます。冷蔵庫もまるごと収納しているため、リビング側から見ると生活感がすっきりと隠れるキッチンです。
キッチン横には、リモートワークにも便利なカウンターデスクを造作。デスク〜キッチン〜パントリーが一直線上に並び、作業の同時進行がしやすい間取りです。
パントリーの間取り実例3:キッチンの大きな箱
広さは十分だったものの、収納が不足していたキッチン。たくさんお持ちの食器や調理器具がすっきりと収まるよう、カウンターキッチンの背面にパントリーを設けました。パントリーの高さを天井よりも低くしたことで、まるで大きな黒い箱が鎮座しているような印象的なデザインに。
出入りしやすいよう出入り口に扉を設けていませんが、カウンター側からは中が見えないレイアウトとなっています。棚の上部には埃よけとしての天井を設け、一部を開口しました。照明を点灯すると、キッチンからは箱の輪郭が浮かび上がるように照らし出されて見えます。
パントリーのある間取りのメリット
パントリーとは、「キッチンにおける食品や食器のストック収納」です。壁面収納も含めてパントリーと呼ばれることがありますが、ここでは、キッチンに隣接したウォークインタイプの収納庫を指すことにし、そのメリットを解説します。
キッチンをすっきり保てる
キッチンは、食器や調理器具に食材や調味料、消耗品のストックなど…さまざまな物が集まりやすく雑多な印象になりがちな場所です。
大容量のパントリーがあれば、季節外れの食器や頻繁には使わない調理家電などをすっきりと収め、生活感を隠すことができます。ウォーターサーバーのボトルや箱買いした飲料、お米の買い置きなどのかさばる物もまるごと収納することが可能です。通常ダイニングやリビング側から見えないようにレイアウトするため、オープン棚にざっくり収納できます。
たっぷりストックできる
たくさん収納できるパントリーがあれば、洗剤の大容量の詰め替えや、キッチンペーパーのまとめ買いをしても大丈夫。「そろそろなくなるから帰りに買わないと…」「注文しておかないと…」というタスクが減り、時間の節約になります。
また、災害に備えてのローリングストックもしやすくなります。ローリングストックとは、防災専用品ではなく常食している食品(レトルト食品や缶詰など)や消耗品を多めに買い置きしておき、古いものから消費していく方法です。「いつも」の安心が、もしもの備えになります。
パントリーの間取り失敗例
生活動線が悪い
せっかくパントリーを設けても、動線が悪ければ活用しづらくなってしまいます。例えばキッチンをぐるりと遠回りしないとパントリーへ入れない間取りだと、片付けのたびに移動するのが面倒になり、つい手近な場所に物を置きがちに。また、パントリーへの動線がひとつしかない場合、複数人でキッチンを使うときに「逃げ道」がなくなり、通りにくくなることがあります。
管理しづらい・使いづらい
パントリーは広くて収納力さえ高ければ良いというわけではありません。いくら大容量でも、棚の奥行きが深すぎたり、身長に対して高すぎたりすると、どこに何があるのか把握しづらくなります。その結果、在庫がたくさんあるのに新しいものを購入してしまったり、いつの間にか消費期限が切れてしまったりすることに。
パントリーをつくるなら、収納する物を想定しながら管理しやすいサイズで目が届きやすいレイアウトの収納計画を立てましょう。
風通しや方角が悪い
パントリーは食品を保管する場所のため、窓から直射日光が当たる場所は不向きです。南向きや西向きも、夏場は高温になりやすいため注意が必要です。ただし方角にこだわりすぎて使い勝手が悪くならないよう、キッチンとの位置関係を優先したほうがよいでしょう。
また、風通しが悪いと空気が淀みカビやニオイの原因に。風が通り抜けない間取りの場合は、小窓や換気扇を設けるとよいでしょう。
コンセントの不足
パントリーは食品庫なのでコンセントは不要でしょうか?いいえ、そんなことはありません。コンセントがあれば、調理家電をその場で使用することができます。近年はコードレスのキッチン家電も増えているため、充電スペースもあると便利。コンセントの後付けは手間がかかるため、リフォーム時に多めに設けておくのがおすすめです。
パントリーがいらないケースとは?
ウォークインタイプのパントリーは、ある程度の場所が必要というデメリットも。そこで、「キッチンをできるだけ広くしたい」「収納の距離を近くしたい」と言う場合には、パントリーの代わりに、キッチン背面に壁面収納を設けるという選択肢もあります。こちらの実例では、アイランドキッチン背面の壁全体に収納を設けました。引き戸を閉めれば、真っ白な壁のようになりすっきりとした印象に。
<まとめ>暮らしに合ったパントリーでキッチンを使いやすく
キッチンにパントリーを設ければ
・家電を収納してキッチンをすっきり
・買い物の頻度が減らせる
・災害備蓄をしやすい
といったメリットがあります。
失敗を防ぐコツとしては
・動線が悪くないか
・棚のサイズの使いやすさ
・風通しや方角が悪くないか
・コンセントの不足
といったポイントに注意しましょう。
また、ウォークインタイプやウォークスルータイプのパントリーを設けるには、ある程度のスペースが必要です。リフォームの条件によっては難しいケースもあるため、パントリーをつくりたい場合は、早い段階で設計担当者に相談しましょう。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。