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鉄筋コンクリート造(RC造)は地震に強いとされていますが、どのような理由があるのでしょうか? この記事では、鉄筋コンクリート造(RC造)の地震への強度、被害の可能性がある鉄筋コンクリート造(RC造)の建物、地震に強い建物を建てるポイントなどについて詳しく解説します。
鉄筋コンクリート造(RC造)は地震に強い?
「鉄筋コンクリート造」は「RC造」とも呼ばれ、ビルや戸建てに採用されています。鉄筋は引っ張る力に強く、コンクリートは圧縮に強いことから、地震の横揺れには鉄筋の、縦揺れにはコンクリートの耐性が働きます。双方の弱点をカバーし合い、総合的な耐震性を高めているということです。
また、鉄筋コンクリート造(RC造)は、耐震性に優れているだけではなく、耐火性にも優れています。長時間炎に晒されても燃えにくく、強度も下がらないという特徴があり、地震時に起きがちな火事への対策もできます。
ちょっと危険?鉄筋コンクリート造(RC造)の建物とは?
地震に強いとされる鉄筋コンクリート造(RC造)ですが、構造によっては被害が大きくなる恐れもあるため、注意が必要な建物の特徴も知っておきましょう。
〈1〉1階部分が店舗になっている
中高層のビルなどに見られるのが、1階部分が店舗になっていて、2階より上が住戸というタイプの建物です。店舗部分は、住戸部分に比べて壁が少ないため、その部分に地震の揺れが集中してしまい、大きな被害が生じる恐れがあります。
1981年に改正された現行の新耐震基準では、「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7に達する程度の大規模地震でも倒壊は免れる」という基準が設けられています。しかし、新耐震基準で建てられた鉄筋コンクリート造(RC造)のビルでも、震災時に店舗部分が倒壊してしまい、大きな被害が発生したというケースもあるため油断は禁物です。
〈2〉ピロティ構造
ピロティは、1階部分が柱になっていて壁が無い空間のある建物のことで、よく見かけるのは1階が駐車場になっているビルなどです。駐車場以外にも、壁が偏って配置されているケースや、L字型の建物などはピロティ構造と呼ばれています。
「震度6強から7に達する程度の大規模地震でも倒壊は免れる」とされているのが新耐震基準ですが、これを「倒壊は免れるが大きな被害が出ることはある」と言い換えることもできてしまうのが抜け道となり、ピロティ構造の建物は多く建てられる傾向にありました。
しかし、阪神淡路大震災や熊本地震において、ピロティ構造の建物が多く崩壊したことから、疑問視するきっかけに。現在すでに建てられているものに関しては危険性が高いため、耐震補強工事などが必要となるケースもあります。
〈3〉地盤がゆるい
鉄筋コンクリート造(RC造)は、地震に強い建物であるとともに、重量があるため地盤が弱い土地は地盤改良が必要です。建物がいくら強く丈夫であっても、地盤が弱いと建物が傾いてしまう原因になります。
実際に、東日本大震災のときには、関東地方で液状現象が起こった多数の家屋が沈下し、傾くという現象が起こっています。2009年に、住宅瑕疵担保履行法によって、すべての新築住宅において地盤調査が義務化されています。
〈4〉複雑な形状の建物
凹凸のある建物などはデザイン性がありますが、あまりにも複雑な構造の建物は、大きな地震が起こった際にエネルギーをうまく分散できず、1箇所に大きな負担がかかる可能性が高くなります。地震はいつ起こるかわからないものですが、建物に大きな被害をもたらす可能性があるため、万が一のことを考えて耐震性の高いシンプルな形状の建物にするのがよいでしょう。
〈5〉耐力壁(耐震壁)の設置が不十分
耐力壁は、建物を地震や風から守るために、構造力学上で重要な役割を担っている壁で、鉄筋コンクリート造(RC造)では耐震壁と呼ばれます。壁の全てが耐力壁(耐震壁)というわけではなく、非耐震力壁と耐力壁(耐震壁)をミックスして配置します。
構造計算によって必要な耐力壁(耐震壁)の量や配置する場所が決められるため、バランスよく耐力壁(耐震壁)を配置して横から受ける力に耐えられる建物にする必要があります。しかし耐力壁が足りない場合は、耐久性が低くなります。
CRAFTの鉄筋コンクリート造(RC造)リフォーム事例
ここでは、CRAFTの鉄筋コンクリート造(RC造)リフォーム事例をご紹介します。
〈リフォーム事例1〉モダンで明るいリビングが特徴のRC住宅
屋根付きのガレージが欲しいというご要望を叶えるために、シャッター付きのモダンなガレージを増築しました。屋根やベランダに防水、外壁補修などを行うことで、住まいの性能をアップさせただけではなく、門扉や外階段、エントランスといった外から見える部分も一新して、より愛着の湧く自宅が完成しました。
〈リフォーム事例2〉思い出をそのままに住みやすく
吉村順三氏が設計したというご実家を譲り受けたSさんは、もともとのご実家の持ち味を活かしつつ、300平米を超える空間をすべて活用したリフォームをご希望でした。玄関と階段室を一体にしてのびやかな空間にしたことや、大空間のLDKにしたことで、ゆったりと過ごせる空間で心癒されるひと時を過ごせます。
〈まとめ〉鉄筋コンクリート造(RC造)はリフォーム向き
地震に強い鉄筋コンクリート造(RC造)の住まいは、メンテナンスすることで寿命を伸ばすことができます。木造よりも強いため、ご自身の世代だけではなくお子さまにも受け継いでいけるでしょう。
CRAFTのリフォームでは、間取りとデザインを一新するだけだなく、断熱対策や結露対策、防水など住まい全体の性能を高めます。建物の状態をしっかりチェックし、必要があれば修復もご提案。鉄筋コンクリート造(RC造)のリフォームをしたい方、建て替えるかどうかを迷っている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。