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東京の高級住宅街をご紹介するシリーズ、今回は渋谷区の広尾です。広尾は繁華街がなく、静かで上質な雰囲気ながらも、四方を渋谷、恵比寿、青山、六本木に囲まれているという贅沢なポジション。欠点を探すのがむずかしいくらい利便性と美しさ、買い物環境、さらに教育環境にも恵まれていました。
「高級住宅街の条件」をほぼパーフェクトにクリア
ブランドバリューの高い広尾ですが、その魅力はなんといっても、実質的な住みやすさにあります。「東京の高級住宅街」の条件である。
・高台に位置する
・区画の大きな邸宅が多い
・低層マンションが多い
・道路幅が広い
・街路樹が多い
・住宅街としての歴史がある
・街なみが美しい
をほぼクリアしているのが広尾。街の静けさが保たれているのに、利便性が高いという(普通はこの2つは両立しません)、都内でも希少なエリアです。
「西の広尾」VS 「東の南麻布」。似ているようで、ちょっと非なる街
(外苑西通り)
広尾駅前にある外苑西通りを軸に、東側は「南麻布」、西側は「広尾」となっています。南麻布に住んでも、広尾に住んでも「広尾駅」を利用するため、当然ながら生活圏は重なります。南麻布在住の方が「広尾の商店街でちょっとお買い物」なんてことはよくあることでしょう。広尾在住の方も、南麻布の有栖川公園をお散歩したりしています。
しかし明確に違うのがアドレス。広尾は「渋谷区」であり、南麻布は「港区」です。どうしても港区にこだわる方は南麻布を選ぶようですが、住みやすさにそれほど大きな違いはありません。
下町情緒の商店街を抜けると、そこに高級住宅街
とはいえ近隣なことと、大使館が多い・高台など環境が似ていることもあり、広尾と南麻布の雰囲気はなんとなく似ています。
(広尾散歩通り)
まずは、広尾駅を出て、広尾を親しみやすくしている下町風情の商店街〈広尾散歩通り〉を通り過ぎます。そこから右手に折れたところで、ゆるやかな坂を登っていきます。まだ下町感はあるものの、ここからが広尾の高級住宅街のスタート。ちらほらと大邸宅があらわれ、徐々に街なみがグラデーションしていきます。
さらに坂をのぼればそこは広尾の一等地、広尾2丁目・3丁目
(日赤通り)
さらに坂を登りつづけると、日赤通りに出て来ました。たっぷりと幅のある車道に面して、車寄せのある高級マンションが並んでいます。
渋谷区はその名の通り「谷底」が多く、それゆえに高台にも恵まれています。広尾や松濤、神山町といった高級住宅街が渋谷区に多いのは、そのためです。広尾の中でも抜群に環境がよいのが、こちらの広尾2丁目・3丁目エリア。
駅前からそう離れていないのに、驚くほど人も車も少なく、静か。第1種低層住居専用地域のため遠くまで見渡すことができ、頭上にはいつも大きな空が広がっています。
通りには聖心女子大学が。旧久邇宮邸の正門は重要文化財となっており、京都の寺院のような荘厳とした佇まいに身が引き締まります。門からあふれる樹々からは小鳥のさえずりが聞こえて来ました。
そのお隣には、日本赤十字社医療センターがあります。これほど大きな大学や総合病院が、住宅街に静かに溶け込んでいるのはめずらしい光景です。
広尾には名作マンションが多数!あの有名ヴィンテージマンションも
街を歩いていると「これは…」と唸りたくなるようなマンションを多く目にするのも、広尾の特徴。デベロッパーが広尾にマンションを建てるときは、かなり力を注いでいるのが見てわかります。の一部をご紹介します。
〈ザ・パークハウス広尾羽澤〉
日赤通りから恵比寿方面へ坂道を下りきったところにあらわれるのが〈ザ・パークハウス広尾羽澤〉。マンションの敷地から緑があふれ、建物の一部しか見えません。ちなみに高台ではなく、恵比寿と広尾の谷底に位置していますが…東南傾斜・角地のため抜群に日当たりがよいのです。むしろ奥まっているゆえに、より静かな環境を享受しています。
またこちらの土地には歴史的な価値があります。大正14年に中村是公(満鉄総裁)が和洋折衷の贅を尽くした私邸を構え、その後は料亭、レストランとして活用され、2014年にこちらのマンションに。
敷地内には赤松や椎といった既存樹、石畳などを残すことで、当時の趣をマンションに取り入れています。
〈クロイズターズ広尾〉
日赤通りのチェコ大使館の近く、いわゆる広尾の一等地にあるのが〈クロイスターズ広尾〉です。お隣さんは有名なヴィンテージマンション〈ホーマットモナーク〉ですが、クロイスターズの洗練されたタイルの外観はとてもシンプルで品があり、このあたりで最も輝いています。
エントランスを含め、内部はかなり攻めたデザインです。大きく前にせり出した庇、アプローチの階段を降りると、そこは住民だけが目にできる水盤。もはやラグジュアリーなホテルです。
施工・分譲は鹿島建設、さらに全17邸という超プレミアムなマンション。当たり前ながら地下駐車場ですが、全17邸なのに21台分があり、高級外車を複数所有するオーナーさんを想定しています。広尾の一等地に、ここまで贅沢な余白で建てられているマンションはそうないでしょう。
〈広尾ガーデンフォレスト〉
日赤病院の隣にある〈広尾ガーデンフォレスト〉は、このあたりでも最もセキュリティが高いマンションとして知られています。
まず守衛が24時間駐在する重厚なゲートを通過し、さらにゲート通過後はICカードによって管理がなされ、関係者以外は絶対に敷地内に入ることができないようになています。ハイヤーでゲートまで乗りつければ、マンションに入っていく姿を見られることもないため、著名人が多く住んでいるという噂もあります。
2063年までの定借地権マンションにもかかわらず、分譲時よりも価格が高騰している事実が、こちらのマンションの魅力をすべて物語っています。
〈広尾ガーデンヒルズ〉
ヴィンテージマンションの代表格とされる〈広尾ガーデンヒルズ〉。1982年に分譲開始されてから40年が経過していますが、いまだに高額で取引されているレジェンド的なマンションです。一度実物をご覧になれば、その理由に大きくうなずいてしまうでしょう。東京ドームの1.2倍ほどの土地に、15棟が緑の合間にほどよい間隔で配置されています。これだけ広い土地を確保し、これだけ贅沢な建て方をするのは、今の都心ではもう無理でしょう。
「広尾ガーデンヒルズに住みたい」という指名買いはもちろん、「広尾ガーデンヒルズ内で、もっと眺めがよい棟に住み替えたい」という方もめずらしくないほど、愛されるマンションです。古くなっても大事に住み継がれていくという、マンションの鑑のような存在です。
都内でもトップクラスの人気を誇る広尾、3つの理由
ハイグレードで品のあるマンションが多いだけでなく、実際に暮らしやすいのも広尾の特徴。その理由をあげてみます。
〈理由1〉静かな街なのに、買い物がしやすい
(ナショナル麻布スーパーマーケット)
マンションのある住宅街はとても静かなのに、駅前は日常使いできるショップが多いのが広尾の特徴です。冒頭でご紹介した〈広尾散歩通り〉という商店街には、ドラッグストアやクリニック、レストランやカフェ(ブルーボトルコーヒーやスタバ)となんでも揃っており、毎日の買い物がとても便利です。
さらに駅前の広尾プラザには〈明治屋〉があり、外苑西通りを渡った有栖川宮記念公園サイドには〈ナショナル麻布スーパーマーケット〉〈エノテカ広尾本店〉も。
(Truffle BAKERY)
個人的にオススメなのが、駅前の交差点にある〈Truffle BAKERY〉というパン屋さん。よく晴れた朝は焼きたての『白トリュフの塩パン』を買って、有栖川宮記念公園を散歩すると気持ちがよさそう。
休日の大きな買い物は、表参道や恵比寿、六本木へ。徒歩や自転車で行ける距離です。
〈理由2〉緑が多くておだやかな日々を過ごせる
(有栖川宮記念公園)
大きな邸宅やマンションのエントランスの豊かな植栽が印象的な広尾。街を歩いているといつも視界にグリーンが入り、すがすがしい気分を誘います。外苑西通りの横断歩道を渡れば、すぐに〈有栖川宮記念公園〉。大きな池を取り囲むように四季折々の植物が植えられた日本庭園です。江戸時代は盛岡藩南部家の下屋敷、その後は有栖川宮の御用地といった由緒があります。
ちょっと階段をのぼれば子供たちが遊べる遊具もあり、休日は朝からにぎやか。欧米の親子もたのしそうに過ごしており、やはりインターナショナルなエリアだなと実感させられます。
〈理由3〉名門私立が徒歩圏内、公立も人気小学校の学区
広尾は〈慶応幼稚舎〉〈東京女学館小学校〉〈麻布中学〉〈聖心女子大学〉などの名門校に徒歩で通えることもメリットです。また〈青山学院初等部〉も車や自転車でアクセスしやすいため、お子さまの送り迎えもラクにできます。周辺には〈聖心インターナショナルスクール〉をはじめとした名門インターナショナルスクールも多く点在。
公立小学校の学区は、人気小学校となる〈臨川小学校〉と〈広尾小学校〉です。共働きなどの理由で公立校を選択される方もいますが、効率でも十分に学べる環境がととのってます。
〈まとめ〉欠点を探すのが難しいくらい、美しくて暮らしやすい
東京の高級住宅街、渋谷区広尾をご紹介しました。
街を歩いていて思ったのが、「ほんとうに恵まれすぎた街」だということ。駅前の商店街にはカフェやドラッグストア、クリニック、銀行、スーパーとなんでもそろっているし、表参道や六本木にもアクセスしやすい。にもかかわらず、住宅街自体は緑が多くて、とても静かです。強いて言うなら、それゆえに物件価格が高い、という点くらいでしょうか。
もし「広尾も気になるけれど、住んだことないから…」と迷っているならCRAFTにご相談ください。職場やお子さまの学校、ライフスタイルなどを考慮し、あなたに合う街かどうかを一緒に考えてみましょう。そのうえで、ベストな物件探し+リノベーションをサポートさせていただきます。
<著者>中野 瀬里乃
大学卒業後、出版社・フリーライターを経て、2013年リノベーション会社CRAFTへ入社。自社HPやオウンドメディアにてリノベーション・不動産・建築・インテリア関連の事例紹介やコラムを多数執筆。