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物件購入やリノベーションには大きな費用がかかるからこそ、「減税制度」は上手に活用したいもの。とくに「住宅ローン減税」の最大控除額は400万円と、かなりの金額になります。いくつかの条件を満たせば、中古マンションでも住宅ローン減税を受けられます。また、工事内容によってはリノベーションが減税対象になることも。制度を活用すれば、かなり有効な節税対策になります。CRAFTでは減税制度を上手に利用した物件購入+リノベーションをおすすめしています。
※2022年度の税制改正では、住宅ローンの控除額・控除率が縮小される予定です。税制は変わるため、常に最新情報を得るようにしましょう。
〈お得な節税対策1〉「住宅ローン減税」で最大400万円の節税
住宅ローン減税は、もちろん中古物件購入にも適用されます。中古マンション・中古戸建ての購入をお考えなら、活用しない理由はありません。
〈1〉住宅ローン減税とは?4つのポイント
住宅ローン減税とは、住宅取得者のローン負担を軽減するための制度です。基本的には、年度末の住宅ローン・住宅の取得対価のどちらか少ない額の「1%」が、10年間所得税から控除されます。「控除期間が13年」というのは一時的な特例で物件の契約時期・入居時期が決められているため、適用されないケースが多いかと思います。基本的には「10年」と考えておきましょう。
・毎年の住宅ローン残高の1%を10年間、所得税から控除される(最大400万円)
・所得税で控除しきれない分は住民税から一部控除される
・住宅ローンの借入れを行う個人単位で申請(夫婦ペアローンなら別々に申請)
・13年間に期間延長されるのは、2021年の11月末までに売買契約、翌年12月末までに入居の場合
リノベーション費用も、控除対象になります。自身の居住用としてリノベーションし、工事完了日から6ヶ月以内に住めば、どんなに古い物件でも控除対象に。ただし中古を買ってリノベーションする場合、中古マンション費用とリノベーション費用は別々に申請しなければいけません。
冒頭でも触れましたが、2022年度の税制改正では控除額・控除率が縮小される予定です。現在の控除率は1%なので、それよりも低い金利で住宅ローンを借りると、住宅ローン控除額が金利支払額を上回ります。年間20万円の利息を払っても年末に40万円が控除される….こうしたマイナス金利の「逆サヤ問題を解消しよう」という動きが出てきたからです。その動向もしっかりと見守りつつ、制度を利用しましょう。
〈2〉住宅ローン減税の適用条件は?
実は住宅ローン減税には条件があり、クリアしないと適用されません。購入予定物件が条件に当てはまるかどうかは、CRAFTの不動産担当がきちんとお調べしてお答えします。
・自ら居住すること
・床面積が40m2以上であること
・耐震性能を有していること
・返済期間が10年以上
・所得金額が3000万円以下
・取得から6ヶ月以内に住民票を移し、その年の12月31日まで継続して住む
住宅ローン減税には「木造戸建ては築20年以内」「マンションなどの耐火建造物は築25年以内」という適用条件があり、該当しない場合は「耐震基準適合証明書の取得」「既存住宅性能評価の取得」「既存住宅売買瑕疵保険への加入」のいずれかで現行の耐震基準に適合していることを証明する必要がありました。しかしこちらも改正により、新耐震基準に適合しているかどうかは築年数だけで判断できるように。余計な手間がひとつ減り、築年数が古いマンションも申請しやすくなりました。
〈3〉住宅ローン減税の申請方法は?
住宅ローン減税は、入居の翌年の確定申告で税務署に必要書類を提出することで申請となります。会社勤めの方は、2年目からは会社にローンの残高証明書を提出すれば年末調整で控除されます。確定申告は必要ありません。
・入居した年の翌年の確定申告時に申請(2/16~3/15)
・給与所得者の場合、2年目からは年末調整の際に適用可能
・各要件の確認のための書類が必要(住民票の写し、残高証明書、源泉徴収など)
初年度の確定申告が面倒に感じるかもしれませんが、手続き自体はそれほどむずかしくはありません。毎年2/16~3/15が申告期間となります。必要書類は余裕を持って準備しておきましょう。
〈お得な節税対策2〉「ローン型減税」「投資型減税」
住宅ローン以外にも「ローン型減税」「投資型減税」という減税制度があります。
「ローン型減税」返済期間が5年以上、10年未満のローンに!
返済期間が5年以上、10年未満のリフォームローンを利用した場合に、所得税の控除が受けられる制度です。最大5年間、最大控除額は5年間で62.5万円。「ローン型減税」を利用できる方は「投資型減税」も対象になりますが、控除額はこちらのほうが大きいためどちらかにするなら「ローン型減税」を選びましょう。ただし対象工事は「バリアフリーリフォーム」「省エネリフォーム」「三世代同居対応リフォーム」「長期優良住宅化リフォーム」の4つ。予定しているリノベーションがこちらに該当するかどうか、担当者に確認しておきましょう。
「投資型減税」長期優良住宅や低炭素住宅に!
長期優良住宅や低炭素住宅といった省エネ住宅にリノベーションするなら、ローンを使わない自己資金でも、またローンの返済期間が5年未満でも減税対象になります。省エネ住宅にするために余計にかかった断熱工事などの費用から、上限250万円として10%が所得税から控除されます(2021年12月現在)。住宅ローン減税と違い、控除は原則1度きり。1年で控除しきれない場合は、翌年の所得税から控除される仕組みです。
〈お得な節税対策3〉リノベーションで「固定資産税」「贈与税」も減税に
固定資産税とは、土地や建物を所有する場合にかかる税金です。もちろんマンションでも固定資産税がかかります。省エネ住宅にリノベーションすると、翌年の固定資産税が減税されます。もし該当するなら、こちらも利用するとよいでしょう。
・対象は2022年3月末までに工事が完了した住宅
・期間は1年間
・120m2相当分までの固定資産税額が1/3減額される
ただし、こちらも細かな適用条件が設定されています。
〈家屋〉
・賃貸ではない
・平成20年1月1日以前から存在する
・リノベーション後の床面積が50㎡以上280㎡以下
・リノベーション後の家屋の床面積1/2以上が居住用
〈工事内容〉
・窓の断熱工事(二重サッシ、ペアガラスに交換)*こちらは必須
・床、壁、天井の断熱工事
・リノベーション費用が50万円超えること
該当するかどうかは、各市区町村の地方税担当課などに問い合わせましょう。
また、住宅購入やリノベーションに使う資金を父母や祖父母から贈与された場合は、「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」を利用できます。通常、贈与税の控除額は110万円ですが、こちらの制度を使えば110万円以上が非課税になるのです。こちらも「リノベーション費用が100万円以上」「リノベーション後の床面積50㎡以上240㎡以下」「自己所有物件」といった適用条件があります。
リノベーションで減税を受けるには、工事の内容が重要!
上記でご紹介した減税制度「住宅ローン減税」「ローン型減税」「投資型減税」「固定資産税減税」。実はどのリノベーション工事でも適用されるわけではありません。工事内容によって異なるため、しっかりと確認しておきましょう。
「住宅ローン減税」適用
→【一般的なリノベーション】
「住宅ローン減税」「投資型減税」適用
「固定資産税」の減税も可
→【耐震リフォーム】
「住宅ローン減税」「ローン型減税」「投資型減税」のうち1つ適用
「固定資産税」の減税も可
→【バリアフリーリフォーム/省エネリフォーム/長期優良住宅化リフォーム】
「住宅ローン減税」「ローン型減税」「投資型減税」のうち1つ適用
→【三世代同居対応リフォーム】
つまり、一般的なリノベーションをした場合は「住宅ローン減税」を使い、地球や人に優しい省エネリノベーションを行った場合は「投資型減税」「固定資産税の減税」も対象になる可能性があります。併用できないため。控除額の大きな「住宅ローン減税」を選ぶ方がほとんどです。
〈まとめ〉アンテナは常に高く!適用される減税措置は、最大限活用しよう
「断熱」「バリアフリー」など減税対象になるリノベーションをしても、申請しなければ減税はされません。「いつまでに・どのような書類を・どこに提出しなければいけないか」をしっかりと把握し、準備していきましょう。CRAFTでは、申請に必要な「工事請負契約書」などの書類をスムーズにご用意させていただきます。リノベーション大きな買い物になるため、減税などの措置は最大限活用していきたいですね。
節税の方法については、国は教えてくれません。自身で情報を集め、制度の変化にも意識を向けて、いかに活用していくかがポイントになってきます。物件購入やリノベーションに関する節税対策も、ぜひCRAFTにご相談ください。
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<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。