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「そろそろ家を買おうか」「もう少し待つべきかな」など、購入のタイミングでお悩みの方も多いようです。住宅の購入にはいくつか適したタイミングがあります。国が発表している統計情報や、ベストタイミングで住宅を購入した方の事例に触れながら、家を買うタイミングの考え方について紹介していきます。
統計情報やデータから「家を買うタイミング」を見極める
家を買うタイミングを考えるときに、参考にしたいのが統計情報やデータです。
ここでは、年齢と年収の2つのデータから見える家を買うタイミングについて解説していきます。
1. 年齢で家を買うタイミングを考える
こちらは、国土交通省が公表しているデータを元に作成した、「初めて住宅を購入した年代」です。初めて住宅を購入する方は、30代後半〜40代前半の割合が最も多いことがわかります。
住宅の種類によって平均年齢が異なりますが、「年齢で家を買うタイミング」を考えるのであれば30代後半〜40代前半が最適なタイミングだと言えるでしょう。
年齢で家を買うタイミングを考えるのであれば、貯金額に関するデータもチェックしておきたいところです。先ほどと同じく国土交通省が公表しているデータによると、900万円ほど貯金できたタイミングで住宅の購入に踏み切る方が多いようです。
2. 年収で家を買うタイミングを考える
住宅はローンを組んで購入するのが一般的ですが、その際、重要になってくるのが「年収」です。
いくらしっかり貯金して自己資金を用意していたとしても、年収が十分でないと、毎月の返済に追われてしまいかねません。
国土交通省が公表している「令和元年度住宅市場動向調査」には、住宅を購入した際の年収に関するデータも掲載されています。それによると、世帯年収が700万円前後になったタイミングで住宅の購入する方が多いようです。
毎月の支出額はそれぞれの世帯によって異なるので、必ずしも「世帯年収が700万円を超えれば住宅を購入しても問題ない」というわけではありませんが、住宅を購入するタイミングを見極める上で世帯年収が一つの目安になるのは確かです。
2024年は家を買うタイミングとして最適?
国土交通省が公表している「不動産価格指標」によれば、住宅の価格は61ヶ月連続で上昇しています。建材費や人件費など原価ベースでの高騰、外国人投資家による購入などでの高騰など、さまざまなことが起因しています。
この流れや今の世界情勢を考えると、今後も住宅の価格は上昇していくものと考えられます。
金利については、2022年の最後になって金融緩和政策が修正されるなど動きはありましたが、これまでの動きを考えると今後急激に金利が上がる可能性は低いと言えるでしょう。
住宅価格が今後も上昇し続ける可能性が高いことや金利が急激に上がる可能性が低いことを考えると、2024年は家を買うタイミングと言っていいでしょう。
ライフイベントに合わせて家を買うタイミングを考える
家はライフイベントのタイミングに合わせて買うのもおすすめです。
主なタイミングとしては、
・結婚
・出産
・子どもの成長
・子どもの独立
の、4つがあげられます。
それぞれのタイミングについて詳しく解説していきます。
1. 結婚するタイミングで家を購入する
家族が増える結婚のタイミングは、住宅を購入するタイミングとしても最適です。
パートナーと一緒に今後のライフプランについて話し合いながらどういった住宅を購入するか決められますし、若い内に購入することでローンの返済にも余裕が生まれやすくなります。
ただ、転勤や転職、出産や子どもの成長などに合わせて住み替えが必要になる可能性もあるので、住み替えを視野に入れつつ物件を選ぶなど、臨機応変な考え方が必要になるということも覚えておきましょう。
2. 出産のタイミングで家を購入する
住宅は子育てのしやすさに大きく影響するため、出産のタイミングで住宅の購入を検討し始める方も少なくありません。「赤ちゃんの泣き声で近隣の住宅に迷惑をかけてしまうかも…」と考える方も多く、そういった心配の少ない戸建てや防音性能の高いマンションを購入して住み替えるケースも多いようです。
出産のタイミングで家を購入するときは、公園や病院、赤ちゃん向けの製品を豊富に取り扱っている店舗やショッピングセンターなど、子育てに適した環境かどうかを意識して物件を選ぶのがおすすめです。
3. 子どもの成長に合わせて家を購入する
子どもが成長するにつれ、今の住宅に不便さ感じて家の購入を検討し始める方も少なくありません。
2〜3歳以降になると家中を走り回ったり大声で騒いだりするようになるので、近隣の住宅のことを気にせずにのびのび子育てしたいのであれば、戸建てや防音性能の高いマンションへの住替えを検討するべきです。思春期に近づくに連れ自分の部屋を欲しがるようにもなるので、そのタイミングで広くて部屋の数が多い住宅の購入を検討するケースも多くなっています。
通わせたい学校が決まっている場合は、通学のことや進学した後のことを考慮して通わせたい学校の近くに住宅を購入するなど、子どもの今後が住宅選びの鍵になります。
4. 子どもが独立したタイミングで家を購入する
子どもが独立して一人暮らしを始めると、これまで使っていた子ども部屋が余ってしまうようになりますが、このタイミングで終の棲家として住宅の購入を検討し始める方も多い傾向にあります。
家が広くなるとそれだけ維持管理にも手間がかかるようになるので、老後の生活を視野に入れ、掃除や管理に手間のかからないコンパクトな住宅に住み替えるのがおすすめです。
年齢を重ねたタイミングでの住宅の購入は、住宅ローンの返済期間が短くなる影響で月々の返済額が多くなりやすいので、老後の資金との兼ね合いを考えながら無理のない計画を立てることが重要になります。
ライフイベントに合わせて家を買った方の事例
ここでは、ライフイベントに合わせて住宅を購入した方の事例を3ご紹介していきます。ぜひ参考にしてみましょう。
結婚を機に中古マンションを購入。愛犬との生活も伸びやかな1LDK
こちらは、築12年のマンションを購入し、リノベーションされたKさまご夫婦の事例です。
結婚を機に新居を探している中でこちらの物件を見つけたKさまご夫婦。通勤や環境を考えるとベストな物件でしたが、設備や内装の古さが気になっていたこともあってリノベーションすることに。
リビング・ダイニングと寝室に室内窓でつながりをもたせ、大きなワンルームのような伸びやかな1LDKに変更したことで、お二人が溺愛されているワンちゃんが思いっきり走り回れるようなのびのびとした空間に生まれ変わりました。
お子さまの誕生を機に中古マンションを購入。家全体がゆるやかにつながるメゾネット
こちらは、お子さまの誕生をきっかけに中古マンションを購入してリノベーションされたSさまの事例です。こちらのケースでは、お住まいのマンションの売却から新居のリサーチ、リノベーションまでトータルでサポートさせていただきました。
もともと築3年のマンションに住まれていたSさまでしたが、お子さまが生まれたことで「もっと広い家で暮らしたい」と考えるようになり、住まれていたマンションを売却してこちらの物件を購入されました。
「子どもの見守りやすさ」をテーマに行ったリノベーションでは、リビングのとなり子ども部屋を設け、キッチン〜リビング・ダイニング〜子ども部屋までを見通せるようにしています。
音楽スペースや茶室などご夫婦が楽しむためのスペースも設けられていますが、全体的にゆるやかにつながっているような空間になっているので、どこにいても家族の存在を感じることができます。
お子さまの成長をきっかけに中古戸建てを購入。子どもが楽しい住まいに
こちらは、お子さまの成長をきっかけに中古戸建てを購入し、リノベーションされたYさまの事例です。
子どもが成長するにつれ大きな住宅での生活に憧れるようになり、上のお子さまが小学校に上がるタイミングでこちらの大きな戸建てを購入。使わないスペースが多かったこともあり、より理想的な住宅にしたいと考えリノベーションすることに。
子ども用玄関やスペースにゆとりがある3枚引き戸の収納など、子どもたちが自主的に荷物やおもちゃを片付ける空間をデザインしました。
また、玄関ホール~バスルーム~トイレ~キッチン~リビング・ダイニングという動線を設けたことで、帰宅した子どもたちが玄関に荷物を置いてシャワーを浴び、ダイニングに出てくるという自然な流れが生まれ、奥さまの家事や育児に対する負担やストレスも大幅に軽減されたといいます。
家の購入を考えるときに押さえておきたいポイント
実際に家を購入する際は、物件探しよりも先に「何を優先するか」「予算」を決めておくことが大切です。
住宅の種類と特徴は以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
・建物が新しく設備も新しいものが導入されている ・最新の耐震基準にそって建てられているため安心できる | ・資産価値が低下しやすい |
・価格がリーズナブル ・実際の物件をチェックした上で購入できる ・エリアや物件の選択肢が広がる | ・構造部の状態や配線、配管などの状態もチェックしなくてはならない ・耐震性をチェックする必要がある |
・建物が新しく設備も新しいものが導入されている ・最新の耐震基準にそって建てられているため安心できる | ・建設中など実際の物件を確認できないことがある ・資産価値が低下しやすい |
・価格リーズナブル ・実際の物件をチェックした上で購入できる ・エリアや物件の選択肢が広がる | ・構造部の状態や配線、配管などの状態もチェックしなくてはならない ・耐震性をチェックする必要がある |
新築は確かに魅力的ですが、価格が高く、入居した瞬間に資産としての価値が低下するというデメリットがあります。建設中の物件の場合、実際に出来上がるまで確認できない点もデメリットだと言えるでしょう。
一方、中古の戸建てやマンションは新築の物件に比べリーズナブルですし、エリアや物件の選択肢が広がるというメリットもあります。中古の中にも魅力的な物件はあり、リノベーションによってこだわりの空間を手に入れることもできます。
新築物件と中古物件では大きな価格差があるため、新築にこだわらず、中古物件を購入してリノベーションすることも視野に入れてみましょう。
また、住宅を購入する際は、
・仲介手数料
・登記費用
・不動産取得税
など、物件の購入費用以外にもさまざまな費用が発生します。
実際に住宅を購入する際はこれらの費用も計算に入れた上で資金計画を立てることが重要になるので、忘れないようにしましょう。
〈まとめ〉住宅の購入は「ご自身」の最適なタイミングで
住宅の購入は、「市場」ではなく「ご自身」のタイミングが重要です。「これから不動産バブルがはじけるかもしれない」「そのうち市場も落ち着くかもしれない」など「かも」を期待していると、ご自身にとってのベストな機会を逃してしまいます。
もちろん市場の動きは知っておくべきですが、その中で満足できる洗濯をすることが大切。たとえば「都心から少し離れて東横線沿線を狙ってみよう」「狭くてもいいから、資産価値を考えて駅近物件を買っておこう」「将来の住み替えを意識して買おう」など、家族構成や勤務地、ライフプランを見据えて選ぶことが重要になってきます。
事例で紹介したとおり、新築より安い価格で中古物件を購入し、リノベーションでこだわりの空間を手に入れるという選択肢もあるので、ぜひ検討してみてください。
「タイミングの見極めが難しい…」「購入とリノベーションをまとめて相談したい」という方は、ぜひCRAFTにご相談ください。不動産コンサルタントが購入タイミングも含めてお話しさせていただきます。
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<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。