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マンションのフルリフォームでこだわりたいのがお風呂です。マンションに設置できるお風呂にはユニットバス、ハーフユニットバスなどがあり、それぞれメリットやデメリットがあります。今回はマンションのお風呂リフォームのポイントをご紹介します。
お風呂にはどんな種類があるの?
お風呂は大まかに分けて3タイプあります。それぞれタイプごとにメリットがあるので、ご紹介します。
ユニットバス
マンションで最も使用されているのがユニットバスです。工場で作られた組立式の浴室の部材を現場で組み立てます。床と壁が一体化しているので、水漏れの心配がなく、断熱性能も高いのが特徴です。
ハーフユニットバス
浴槽と床、壁の一部が一体になっているタイプのお風呂です。壁や天井を自由に仕上げることができるので、自分好みに浴室を作り上げることができます。
在来浴室
昔のマンションや戸建てに多いタイプです。完全オーダーメイドで、それぞれの家に合った形や大きさの浴室をコンクリートやモルタルを使って作り上げていきます。最近では水漏れなどのリスクから、在来工法でマンションのお風呂をつくることはほとんどありません。
癒しの入浴タイムを実現する!マンションのお風呂リフォームで考えるポイント
風呂は20年ほどで劣化が始まります。20年を超えると使用できないというわけではありませんが、ひび割れによる水漏れ、排水がうまくいかないなどの問題が発生してきます。そこでマンションのお風呂のリフォームをする際に考えておきたいポイントがあります。
POINT!
●壁、床、天井の素材
●浴槽の種類と素材
●扉の種類
壁、床、天井の素材
お風呂の床や壁、天井は水滴が付きやすくカビが生えやすいため換気が必要です。また、外気温によってお風呂が冷えないように、保湿性・保温性が高い素材を選ぶのもポイントです。
タイル
昔から浴室によく使われている素材です。サイズやデザイン、色のバリエーションが豊富で自由に浴室空間を作ることができます。保湿性は低めで、目地に水分が残りやすく、カビが生えやすいというデメリットがあります。
ステンレス
サビや傷に強く、お手入れが簡単です。また、保温性が高いというメリットもあります。一方で、カラーの選択肢がなく、無機質な印象を受けるというデメリットがあります。
木製
木の温もりを感じられ、リラックス効果が期待できます。保湿性は高いですが、乾きにくいという特徴があります。天然素材なので、こまめな手入れが必要になります。
樹脂製
システムバスで最も使用されている素材です。保湿性が高く、乾きやすいというメリットがあります。また、汚れが付着しにくいのでお手入れも簡単です。
浴槽の種類と素材
浴槽の種類
浴槽のタイプは2種類あります。タイプによって入り心地が大きく異なってきます。
・和式
和式タイプは浴槽が深く、昔から日本でよく使用されてきました。膝を折り曲げて入ることで肩まで浸かれます。サイズは長さ80~120cm、深さが60cmほどです。
・洋式
洋式タイプは浴槽が浅く、足を伸ばして寝転がったような体勢で入浴できます。サイズは長さが120~180cm、深さが45cmほどです。
浴槽の素材
浴槽の素材は見た目だけでなく、保温性に直結します。また、身体が直接触れる部分なので肌触りも重要視したいところです。
・FRP
ガラス繊維で強化したポリエステル樹脂製です。浴槽に最も使用されている素材です。滑らかで、肌触りがとても良いことが特徴です。
・ホーロー
鋳物や鋼板の表面に、ガラス質の釉薬を焼き付けてできています。耐久性、保温性に優れています。とても重いので、2階以上の浴室に設置する場合は床の補強が必須です。
・ステンレス
サビや傷に強く、保温性が高いです。ただし、金属特有の肌触りが気になる人も。
・人工大理石
アクリルやポリエステルを使用して、天然の大理石に似せられて作られた素材です。表面が滑らかで肌触りが良く、汚れが落ちやすいです。美観性や耐久性も高いです。
・木製
木材特有の温かみや香りが特徴です。肌触りがとても良く、保温性も高いです。一方で乾きにくい一面があり、こまめな手入れが必要です。
扉の種類
開き戸
一般的なドアのように押し引きで開閉するタイプの扉です。押すタイプの扉の場合、浴室内で人が倒れた時に開かなくなる危険性を考慮する必要があります。また、引くタイプの扉の場合、ドアに付着した水滴が脱衣所に垂れてカビの原因になる可能性があります。
引き戸
横にスライドさせて開閉させる扉です。引きスペース(戸袋)が必要で、開き戸よりも計画しづらくなります。
折れ戸
扉の中央から半分に折れるタイプの扉で、押すか引くかして開けます。開き戸よりスペースを必要とせず、コンパクトなのがメリットです。
マンションのお風呂リフォームにかかるおおよその費用
マンションのお風呂のリフォームといっても、内容は様々です。浴槽の交換から浴室全体の交換まで可能です。大手リフォーム会社が提示するお風呂のリフォーム費用を参考に相場を算出してみました。
リフォームにかかる全体の費用
浴槽を入れ替えるだけの場合、費用は30~40万円前後です。ユニットバスを交換する場合は100万円以下程度の費用がかかります。
ユニットバス全体をリフォームする場合は、グレードによりますがおおよそ100万円以上の費用がかかります。
ユニットバスからユニットバスへのリフォーム
古いユニットバスから新しいユニットバスにリフォームする場合は、同メーカーの規格サイズが同じユニットバスを使用するため余計な工事が発生しません。工事も簡単で工期が短く、比較的安く済みます。50~150万円ほどが相場です。
在来浴室からユニットバスへのリフォーム
リフォームで多いのが在来浴室からユニットバスへのリフォームです。在来浴室の場合、経年劣化でどうしても水漏れをしてしまいます。そのため、リフォーム費用に合わせて、床や壁の修繕費用がかかってくるケースが多いです。工期も1~3週間ほど要するため、費用は高くなります。全体の費用として、安ければ80万円ほどで済みますが、高い場合は300万円ほどになることも。
在来浴室へのリフォーム
ユニットバスや在来浴室から新しい在来浴室にリフォームする場合、完全オーダーメイドのため、費用は使用する材料やタイプ、広さなどによって大きく異なります。こだわるほどに工期も長くなります。
※上記はあくまで一般的な費用であり、CRAFTの実際の金額とは異なる場合があります。
マンションのお風呂リフォーム前に注意すべきこと
お風呂のリフォームはマンションの配管などに関わる大規模な工事になります。配管工事はマンション全体に関わってくるため、好き勝手に行っていいものではありません。リフォームの際に近隣住民に迷惑をかけないように事前に注意・確認すべきことが4つあります。
集合住宅の管理規約・使用細則
集合住宅の場合、リフォームに制限・規約を設けている場合がほとんどです。お風呂のリフォームでは水回りに変更を加えるので特に注意が必要です。
移動ができないことも
お風呂を今ある位置から別の位置に移動させる場合には、換気ダクトや排水管を工事する必要があります。しかし、築年数の古いマンションではそもそも移動工事が不可能なケースがあります。そうでなくても、集合住宅の管理規約によっては、大幅な移動を認めていないところがあります。排水管の移動工事により排水がうまくいかず、水漏れなどのトラブルに発展する可能性があるためです。
ジャグジー風呂は事前に承認が必要な場合も
ジャグジー風呂は振動や騒音を発するので、近隣住民とトラブルになりやすいです。そこで集合住宅の管理規約で設置禁止、または事前に承認を要求している場合があります。事前に管理規約・使用細則を確認しましょう。
マンションの階数
マンションにエレベーターがない場合、資材や廃材の運搬を手作業で行わなければいけません。その場合、リフォーム費用に上乗せして請求される可能性があります。また、非常に稀ですがマンションの廊下が狭すぎる場合はユニットバスを運び入れること自体が難しく、リフォームできない場合もあります。
マンションの築年数(排水管の破損状態)
築年数が古いマンションは、鉄製の排水管を使用しているケースがあります。鉄製の排水管はサビやすく、水漏れしやすいです。そのためメンテナンスが必要になってきます。大規模な排水管の修繕とタイミングが重なってしまうと、最悪、リフォームしたお風呂を取り壊さなければいけないことも。事前に排水管の状態や修繕のタイミングを確認しておきましょう。
現在の浴室の種類・広さ
現在使用しているお風呂が在来浴室やハーフユニットの場合、壁がコンクリートで作られていることが多いです。そのためユニットバスの規格に合わず、浴室に入らない可能性があります。
〈まとめ〉マンションのお風呂のリフォームは慎重に
お風呂は一日の疲れを癒す大切な空間だけにこだわりたいものです。しかし、お風呂のリフォームは水回りに関係するために間違った工事をすると水漏れなどで近隣の住民の方に迷惑をかけてしまうことも。最高のバスタイムを手に入れるためにも、事前にしっかりと計画を練ったうえでリフォームを行いましょう。
※CRAFTはフルリフォーム専門会社のため、お風呂のリフォームのみには対応していません。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。