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50代・60代の方々に注目されているリバースモーゲージ型住宅ローン。「自宅を所有し続けながら借り入れができる」というメリットがある反面、デメリットもあります。今回はリバースモーゲージ型住宅ローンのメリット・デメリットや注意点をご紹介します。
リバースモーゲージ型住宅ローンの特徴
「リバースモーゲージ型住宅ローン」とは、自宅を担保に入れて融資を受けるローン制度のことです。自宅を担保に入れますが、そのまま自宅に住み続けながら借り入れができます。借り入れ可能額は不動産評価額の50〜80%程度。リバースモーゲージ型住宅ローンを利用すれば、自宅を担保にリフォーム費用を借り入れることができます。
返済方法も特徴的です。一般的なローンの場合、元金と利息をそれぞれ返済しなければなりませんが、リバースモーゲージ型住宅ローンの場合、返済するのは利息のみです。ただし、契約者もしくは夫婦それぞれが亡くなると金融機関が自宅を売却し、元金を一括返済することとなります。
リバースモーゲージ型住宅ローンのメリット
リバースモーゲージ型住宅ローンのメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
・自宅を所有し続けながら借り入れができる
・現金を残しておける
先ほども説明しているように、リバースモーゲージ型住宅ローンのメリットは、自宅を担保に入れるものの、そのまま住み続けられること。自宅を手放す必要がありません。
また、リバースモーゲージ型住宅ローンを使って借り入れができれば、リフォームする場合でも、貯金から資金を捻出しなくてすみます。特に50代・60代になると将来に備えて医療費や介護費などを貯めておきたいと考える人もいるため、貯金を残しておける点は大きなメリットとなるでしょう。
リバースモーゲージ型住宅ローンのデメリット
メリットの一方でデメリットも少なからず存在します。主なデメリットとしては以下のような点が挙げられます。
・子どもが同居していると利用できない
・団体信用生命保険に加入できなくなる
・金利が変動するケースがある
リバースモーゲージ型住宅ローンは、子どもと同居していると利用できません。これは、契約者もしくは夫婦それぞれの死亡後に住宅を売却することを前提としており、夫婦二人暮らしの世帯や一人暮らしの世帯を対象としているためです。
また、団体信用生命保険にも加入できなくなります。そのため、通常の住宅ローンであれば、契約車の死亡に伴いローン残債が一括返済されますが、リバースモーゲージ型住宅ローンではそれができません。
そのほかにも、リバースモーゲージ型住宅ローンは変動金利であるため、金利の変動に伴い返済額が増える可能性があります。
リバースモーゲージ6つの注意点
リバースモーゲージ型住宅ローンの利用にあたっては、以下の6つの点に注意しなければなりません。デメリットと重なる部分もありますが、ぜひチェックしてみてください。
・利用可能な物件エリアに制限があるケースが多い
・変動金利であるため返済額が変わることがある
・団体信用生命保険加入できない
・担保に入れる不動産価値によっては途中で返済が発生する可能性がある
・存命中に契約期限を迎えると元金・利息を一括返済しなければならない可能性がある
・マンションには適用できない可能性が高い
リバースモーゲージ型住宅ローンは、基本的に利息のみを返済しますが、元金の返済が発生する可能性があります。また、金融機関では貸付限度額の見直しを定期的に行っているため、場合によっては見直しに伴い借入額が貸付限度額を上回る可能性があります。そうなると上回った部分は返済しなければなりません。
そのほかにも、契約期限が設定されているリバースモーゲージ型住宅ローンの場合、契約者の存命中に期限満了を迎える可能性があり、その場合元金・利息の一括返済が必要になることもあります。
そして、リバースモーゲージ型住宅ローンは主に土地の評価額が担保されるため、マンションだと適用できないケースがあることにも注意しなければなりません。
リバースモーゲージ型住宅ローンはこんな方におすすめ!
リバースモーゲージ型住宅ローンは、主に以下のような方におすすめのローンです。
・老後資金が不安
・相続人がいない
・住宅ローンの残債の返済が大変
リバースモーゲージ型住宅ローンは、自宅を担保に入れることで借り入れができるため、例えば老後に備えてリフォームをする場合でも、貯金を切り崩す必要がなくなります。老後資金に不安がある、少しでも資金は残しておきたいと考える人は多いと考えられます。また、貯金以外から資金を捻出することで、旅行などの余暇を楽しむこともできるでしょう。
リバースモーゲージ型住宅ローンは、契約者や夫婦が亡くなると担保に入れた自宅を売却する仕組みであるため、子どもと同居している場合は利用できません。逆にいうと、子どもがいない、相続人がいない人におすすめできるということです。
ちなみに、リバースモーゲージ型住宅ローンは住宅ローンから借換えることもできるため、住宅ローンの返済が大変な方の利用にも適しています。借換えによって家計の見直しができ、毎月の支出を減らすこともできるため、余裕を持って生活できるようになるかもしれません。
リバースモーゲージ型住宅ローンでよくある質問
ここでは、リバースモーゲージ型住宅ローンに関してよくある質問とその回答を紹介します。リバースモーゲージ型住宅ローンの利用を検討している人はこちらも合わせてチェックしてみてください。
残債は子どもに引き継がれるのか?
残債が子どもに引き継がれるかどうかは、リバースモーゲージ型住宅ローンのタイプによります。リバースモーゲージ型住宅ローンには、「リコース型」と「ノンリコース型」の2つのタイプがあります。
リコース型…契約者の死亡後に自宅を売却したとき、売却額が借入額を下回ると残債が相続人に請求されます。
ノンリコース型…残債の請求はありません。ただし、残債の返済がなくなる場合、一時所得が発生します。また、売却代金が借入額を上回る場合、譲渡所得がかかります。そのほかにも、ノンリコース型は、リコース型と比べると利率が高いため、毎月支払う利息が高くなる点にも注意しなければなりません。
利息の支払いはいつまで続く?
利息は生涯にわたって支払い続けることとなります。ただし、リバースモーゲージ型住宅ローンの場合、元金の返済は発生しないため、一般的な住宅ローンの支払いよりも費用負担を抑えることができます。ただし、商品によっては契約期限が定められており、期限満了に伴い元金の返済が発生するケースもあるため、商品選びの際は注意しなければなりません。
〈まとめ〉老後の資金が不安な50代・60代は検討の余地あり
今回は、リバースモーゲージ型住宅ローンの概要やメリット・デメリットなどを紹介しました。
リバースモーゲージ型住宅ローンは、自宅を担保に入れて融資を受けるローン制度です。自宅に住み続けながら借り入れができるなどのメリットの一方で、団体信用生命保険に加入できないなどのデメリットもあるため、利用にあたってはメリット・デメリットを踏まえたうえで検討することが大切です。老後資金を確保しておきたい、余暇を楽しむために貯金は切り崩したくないといった方には適したローンかもしれません。じっくりと考えた上で、利用を検討しましょう。
CRAFTでは、資金計画も含めたリフォームのご相談を承っています。「資金面を相談したい」「アドバイスが欲しい」という方もお気軽にご相談ください。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。