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「リノベーションで2戸をつなげたい」というご相談をいただくことがありますが、実現するためには2つのハードルをクリアしなければならないことをご存知ですか?
〈1〉構造的に問題ない
〈2〉3/4以上の区分所有者から許可をもらう
これから、2戸をつなげて1戸にできるケース・できないケース。そしてマンションの3戸を1戸にしたリノベーションの事例をご紹介します。
マンションの2戸を1戸につなげるとは?
リノベーションでは、明らかに狭いマンションをつなげて一戸あたりの面積を広げることができます。
構造計算を行い、「界壁(住戸間の壁)を開口しても問題ない」とわかれば、物理的には実現可能。
….ですが、界壁はマンションの共有部分。勝手に工事することはできません。
「大丈夫っすよ、これくらい。やっちゃいましょう」というリフォーム業者もいるようですが、何の根拠もなしに、しかも無許可でやるのは違法ですし、一棟全体の耐力性が損なわれる危険があります。バレたら損害賠償を求められることもありますので、絶対にやめましょう。
〈分譲マンション〉は2戸を1戸につなげられない
分譲マンションで、構造計算をして界壁を開口しても問題ないことがわかったとします。ここで〈1〉構造的に問題ないという条件をクリアできましたね。
そして次に〈2〉区分所有者(管理組合)から許可をもらうという条件。これがくせ者です。複数いる区分所有者に「あの~…実は今度、2戸を1戸につなげる工事をすることになりましてね。もちろん構造計算で耐力上の問題はありませんから、承諾していただけませんか?」とお願します。
マンションのみなさんが、承諾してくれるでしょうか?
中には「絶対安全じゃないんでしょう?ちょっとイヤだな…」という方もいるはずです。3/4以上もの区分所有者から承諾をもらうのは、残念ながら天文学的な確立だと思います。
〈オーナー賃貸物件〉なら2戸を1戸につなげられる
たとえ構造的なハードルをクリアしても、『区分所有者に許可をもらう』というハードルがとてつもなく高い。それを知った時点で諦める方は少なくありません。
しかし、実際に2戸をつなげてゆったりと開放的に暮らしているご一家がいるのも事実です。
それは、ご自身やご両親がオーナーである賃貸マンションだから可能だったといえます。
賃貸マンション=区分所有者がおらず、管理組合もない。つまり物件のオーナーであるご自身やご両親が「2戸つなげてもいいよ」と言えば、それで実現できるのです。
マンションの3戸を1戸につなげてホテルライクにした事例
お父さまが所有する賃貸マンション。3戸をつなげ、開放的な住まいにリノベーションしました。
[ BEFORE ] 細かく分かれた3戸の賃貸
[ AFTER ] 1戸につなげて95㎡の住戸に
構造を調べた結果、間取りを変えやすい重量鉄骨のラーメン構造ということが判明。3戸をつなげて95㎡の1戸を実現しました。開放的なリビング・ダイニングと、ロフトのある子ども部屋、大容量のWICなど、必要なスペースをしっかりと確保しています。
リノベーションにともない、インテリアも一新。スペースを広げたからこそ、欧米の邸宅やホテルのような開放感を得ることができました。広くなったリビングの吹き抜けには、シーリングファンがゆったりと回り、窓からは自然光がたっぷりと注ぎます。
3戸をつなげたことで、住まいを横切る長い廊下も生まれました。光沢のあるタイルがどこまでも続き、伸びやかでゴージャスな印象を与えています。
3戸をつなげると、ただ面積が広くなるだけではありません。「ホテルライクに」といったデザイン的なご要望も叶えやすくなるのです。
〈まとめ〉2戸をつなげて1戸にすれば、伸びやかな暮らしが可能に
マンションの2戸をつなげて1戸にできるケース・できないケース、実際に3戸をつなげて大きな1戸にリノベーションした事例をご紹介しました。
古くて狭いマンションの一室をリノベーションで広くすることは、”古い建物を活かす”というストック社会に叶った方法です。そういう意味でも、区分所有のしがらみが無い方には、ぜひおすすめしたい方法です。「マンションの2戸をつなげて1戸にしたい」という方は、ぜひCRAFTへご相談ください。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。