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天井が高くて開放感が得られる勾配天井。一戸建てなら2階に、マンションでも最上階なら勾配天井にできることがあります。
ここで気をつけたいのが照明です。シーリングライトをセレクトすると、勾配天井の魅力が損なわれてしまいますね。クラフトのリノベーション事例から、勾配天井にお勧めの照明をご紹介します。
勾配天井のメリットは?
勾配天井の大きなメリットは、視線が抜けて、空間に開放感をつくること。
天井に傾斜があることにより立体感が生まれ、空間が実際以上に広く感じられます。吹き抜けの効果と似ていますね。傾斜の天井がモダンな雰囲気を演出してくれることも特徴です。
また、一戸建てだとハイサイドライト(高窓)やトップライト(天窓)を設けることができ、たっぷりの採光も期待できます。
〈1〉勾配天井の魅力を活かすダウンライト
マンションの最上階をリノベーション。最上階だったことから、天井の仕上げを撤去して勾配天井にすることができました。
天井にはレッドシダーの羽目板を張り、リラックスできる雰囲気に。スマートさを活かすため、埋込式のダウンライトを使用しています。最大のポイントは照明をボックスに納めて光源を見せないようにしたこと。
羽目板の勾配天井の開放感を損なうことなく、シャープでくつろげる雰囲気に仕上げています
〈2〉勾配天井を引き立てる間接照明
一戸建てをリノベーション。陽当たりのよい2階にリビング・ダイニングをレイアウトし、勾配天井によって開放感をもたらしました。
間接照明を入れることで、勾配天井に光が反射し、やわらかな光がリビング・ダイニングに広がります。勾配天井に間接照明のやわらかな光が広がり、天井がより伸びやかなイメージに。
また間接照明で長手方向を強調し、奥行きを感じさせていることもポイントです。
〈3〉勾配天井にモダンなペンダントライト
2×4(ツーバイフォー)住宅の2階にリビングをレイアウト。大人のご夫婦がくつろげるシックな住まいにリノベーションしました。
勾配天井によるスタイリングな印象をやわらげるため、TVボードと棚で水平ラインをつくり、おだやかな表情に。こうした空気感を損なわないよう、勾配天井にはシンプルなペンダントライトを設置しています。
「勾配天井にペンダントライトは設置できるの?」とご心配の方もいるようですが、勾配天井対応のペンダントライトや、シーリングを使用すれば大丈夫です。またリノベーションのタイミングであれば、勾配天井にペンダントライトやシャンデリアなどどのようなタイプのライトも使用可能になります。
〈4〉勾配天井をごく自然に照らすブラケットライト
既存の勾配天井にはレッドシダーの木を張り、別荘のようにくつろいだ雰囲気を演出しました。1枚ずつ木目や濃淡が異なるのは、無垢材ならではの魅力ですね。
そこで勾配天井にはあえて照明を付けず、壁にブラケットライトを設置。無垢の木のごく自然な気配を感じるように配慮しました。淡い光が天井に当たると木目がゆたかに浮かび上がり、華やいだ木の表情を見ることができます。
〈5〉勾配天井の寝室にブラケットライトの小さな光
こちらのマンションの寝室は、ごくごく控えめな傾斜の勾配天井。寝室にふさわしい傾斜角度を検討しました。壁にはラグジュアリーな輸入クロスを貼り、光の方向を計算しながらブラケットライトを設置。ヘッドボードの裏には間接照明を入れています。小さな光がいくつもの陰影をつくり、落ち着きのある空間に。
勾配天井の上品な傾斜が、間接照明やブラケットライトで浮かび上がります。ホテルのように上質なひとときをもたらしてくれる寝室となりました。
〈冷暖房効果がアップ!〉勾配天井にシーリングファン
照明と同じくらい気になるのが、勾配天井の冷暖房効果。勾配天井は天井が高いため冷暖房効果が悪くなりがちです。それを解消するのがシーリングファン。
パナソニックなど国内メーカーのシーリングファンには、最大39度の傾斜まで対応できるタイプもあります。しかし、羽根が天井にぶつからないように設置するなど配慮が必要。羽根と天井の距離が近すぎると、風量が減ってしまうこともあります。できればリノベーションの際に取り入れておくのがよいでしょう。ちなみに写真は、リノベーションのコンセプトに合わせてアメリカ製のシーリングファンを使用しました。
まとめ
勾配天井と照明についてご紹介しましたが、いかがでしょうか。
天井が高く開放感があり、モダンな空間を演出できる勾配天井。一戸建てなら2階や平屋、マンションでも最上階ならリノベーションで勾配天井にすることは可能です。ただし、しっかりとした照明計画がなければ、せっかくの勾配天井のイメージが損なわれてしまうことがあります。
・ダウンライト
・間接照明
・ペンダントライト
・ブラケットライト(天井には照明をつけない)
など、勾配天井といえども照明の選択肢はたくさんあります。デザイナーに相談しながら、空間のイメージに合わせてセレクトしましょう。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。