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リビングに物干しラックを置いているので、空間が洗濯物に占拠されてしまう…そんな光景のお宅も多いのではないでしょうか。やはり、物干し専用のスペースがあれば便利そうですよね。
この記事では、室内干しのメリットや、快適なランドリースペースづくりのポイントを解説。また、室内干しを前提にプランニングしたリノベーション事例をご紹介します。
室内干しの理由やメリット
花粉・排気ガス対策になる
国民病ともいわれるアレルギー、花粉症。春のスギ・ヒノキのほか、ブタクサやヨモギが原因の「秋の花粉」に悩まされる人も増えています。花粉をできるだけ室内に持ち込まないためには、洗濯物の室内干しが有効です。そのほか、交通量の多い場所なら、排気ガスによる汚れやニオイの付着を防ぐことができます。エリアによっては黄砂や火山灰も気になりますね。
天候を気にせずに干せる
梅雨の季節は、晴れ間を待っている間にどんどん洗濯物が溜まってしまうもの。また、雲行きが怪しい日は「洗濯物を干して出かけても大丈夫かな…」と心配になりますよね。そのほか、近年は都市部を中心にゲリラ豪雨が増えているため、青空の日も油断はできません。室内干しの環境が整っていれば、空模様を気にせずに洗濯機を回すことができます。
時間を気にせずに干せる
共働き世帯では、夜に家事をまとめて行うライフスタイルが多いもの。日が暮れてから洗濯物を取り込むと、雨に降られていないはずなのに湿っぽく感じることがあります。これは気のせいではなく、屋外での昼と夜の気温差によって起きる「夜露(よつゆ)」が原因です。朝、車や草花が夜露で濡れているのを見たことがある人は多いのではないでしょうか。夜に洗濯物を干したり取り込んだりするなら、室内干しがおすすめです。
防犯面で安心
外から見える場所に物干しがあると、洗濯物の種類から家族構成や性別を憶測されることがあります。また、夜なのに洗濯物が取り込まれないと、住人の不在を外に知らせることになります。室内干しは、防犯面でのメリットもあるのです。
窓が開けられない・バルコニーがない
そもそも屋外に洗濯物を干せないケースもあります。高層マンションでは、安全面の理由から窓が開けられないことも珍しくありません。また、住宅密集地のマンションやオフィス街のビルなど、バルコニーのない建物も多いです。このような住まいでは、必然的に室内干しを選択することになります。
室内干しを間取りに取り入れるには
リフォームやリノベーションをするなら、室内干しスペースを間取りに取り入れてみませんか。
物干しの設置
室内干しの環境を整える手軽なリフォームが、物干しの設置です。リビングや階段ホールなど日当たりがよく風通しが良い場所の天井や壁に、専用の物干しシステムを取り付けます。ワイヤーを渡すタイプ、竿を掛けるタイプなどがあり、使わないときには収納しておけるので、床置きの物干しスタンドのように場所を取ることもありません。その都度収納するのが面倒という人には、そのままでも違和感のない、デザイン性の高い物干しを採用するのもおすすめです。また梅雨の時季などに除湿機を稼働することを想定して、コンセントも確保するとよいでしょう。
家事室・ランドリースペース
大規模リフォームをするなら、住まいのなかに家事室やランドリースペースを設けてはいかがでしょう。物干し専用の場所を確保しておけば、急なゲストの来訪時にも慌てずに済みます。洗濯機から取り出す→干す→乾いた洗濯物をしまう、という一連の作業がスムーズに行えるよう、効率の良い家事動線を意識した間取り計画も大切です。
インナーテラス
インナーテラスとは、住居内に設けたテラスの役割を持つ空間のこと。居室と窓の間にガラス引き戸の間仕切りを配置して、比較的コンパクトな空間を確保します。日当たりが良ければサンルームのように温かいため、室内干しはもちろん、お子さまの遊び場や植物を育てる温室としても活用できます。
室内物干しのリノベーション事例1
バルコニーのない住まいに、インナーテラスを新設したリノベーション事例です。大通りに面していますが、排気ガスや視線を気にせずに洗濯物を干すことができます。居室との間に空間を確保することで、交通騒音を遮断する効果もあります。日当たりがよく暖かな空間で、観葉植物も嬉しそうですね。
室内物干しのリノベーション事例2
リビングの一角にランドリースペースを設けたリノベーション事例です。テレビボードの裏側にあるため、洗濯物が干されていてもリビング側からは見えません。
洗面室〜WIC〜ランドリースペースが隣接しているため、効率の良い家事動線を描くことができます。室内干しの新設にあたっては風通しも重視し、住まいを横断するように風が抜ける間取りにしています。
室内物干しのリノベーション事例3
洗面機の上部に物干しロープを設置して、ランドリースペースとしたリノベーション事例です。
キッチンからパントリーを抜けて洗面室へとつながる動線上にあるので、家事の同時進行がしやすくなっています。また、洗面室はキッチン側の他に廊下側からも出入りできるため、洗濯物が干されていても行き止まりになりません。
室内物干しのリノベーション事例4
キッチン奥にランドリースペースを設けた事例です。洗濯機と乾燥機の上部には、洗剤等を収納する棚や、畳んだりアイロンがけ等ができるカウンターを設置し、天井には室内干し用のハンガーパイプを設けました。
また、窓がない空間のため除湿機を設置しています。洗う・干す・畳む、の作業がまとめて完結する空間です。
室内物干しのリノベーション事例5
洗面室に室内干しスペースを設けたリノベーション事例です。もとは事務所ビルだったため、洗濯物を干せるバルコニーがありませんでした。そこで、日当たりの良い窓辺に洗面室を新設し、その天井にパイプハンガーを設置。洗濯機もすぐ側にあり、効率良く家事ができるランドリースペースにしました。
室内物干しのリノベーション事例6
キッチンに隣接する洗面室に、ランドリースペースを設けたリノベーション事例です。お子さまの洗濯物が多いことから、調理の合間にも洗濯をしやすいよう間取りを計画しました。
窓の外は、一日を通して日当たり良好なバルコニー。ランドリースペースの天井にパイプハンガーを設けているため、天候や都合に合わせて、外干しにも室内干しにも対応できます。
まとめ
室内干しには
・洗濯物を花粉や排気ガス汚れから守れる
・天候や時間を気にせずに干せる
・ライフスタイルを隠せる・防犯になる
といったメリットがあります。
また室内にランドリースペースを設置する際は
・効率の良い家事動線
・洗濯物が乾きやすい日当たり・換気計画
といった点に注意するとよいでしょう。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。