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買う前に状態を確認できるのが中古物件のメリット。でも「何を見るか」をはっきりさせないと、モヤモヤが残ります。そこで今回は、内覧時の持ち物やチェックしたいポイント、注意点をご紹介。これから物件見学をする方は、ぜひご覧ください。
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内覧時にチェックしておきたいのは、ごくごくシンプルなこと。ご自身で判断できない場合は、遠慮なく不動産屋さんに聞いてみましょう。
〈1〉陽当たり・眺望
まず気になるのが、窓辺の陽当たりや眺望。陽当たりを阻害する建物はないか、視界を遮る建物はないか、近隣の建物からの視線は気にならないか、などを確認しましょう。なお、夏場は太陽の角度が高いため直射日光は入りにくく、冬場は室内の奥まで日が射すようになります。
〈2〉風通し・騒音
実際に窓を開けて、風通しや騒音を確認しましょう。特に騒音の感じ方は個人差が大きいため、現地で確認することが大切です。「幹線道路が近いため騒音を警戒していたけれど、実際に確認してみたらそれほど気にならなかった」「目の前が公園だからいいと思ったけれど、小さな子供の声が気になる」といったケースもあります。
〈3〉水まわりのニオイ
水まわりが汚れていないのにニオイが気になる場合、風通しが悪く湿気が溜まりやすいか、排水管に不具合がある可能性があります。ただし長期間使用されていない水まわりでは、配管トラップ(悪臭や虫が上ってくるのを防ぐ仕組み)の水が蒸発しているだけの可能性もあり、その場合は水を流せば解決します。
水まわりの快適性は暮らしの満足度に特に大きく影響するもの。当初フルリノベーションを想定していなかった場合でも、水まわりの総入れ替えを検討することになるケースがあります。
〈4〉外壁のひび・雨どい等の傷み(戸建ての場合)
外壁や雨どいの様子も確認しましょう。幅0.3mm未満ほどの軽微なクラックであれば、外壁の表面だけに発生しているものなので心配ありません。幅0.3mm以上の大きなクラックは、構造の内部に達している可能性があるので注意が必要です。外壁に白色や茶色のシミがある場合は、クラックから雨水が侵入して鉄筋にサビが生じている可能性があります。
雨どいが曲がっていたり割れたりしていると、雨水が適切に排水されず雨漏りの原因になるケースがあります。
〈5〉共用部分の様子(マンションの場合)
マンションの場合は、専有部分(室内)だけでなく、エントランスや駐車場などの共用部分も忘れずに確認しておきましょう。掃除が行き届いていなかったり、設備が故障したまま放置されていたりする場合は、管理が良好に運営されていない可能性があります。
住民のマナーも気になるところです。共用廊下に子供の自転車やベビーカーが置かれたままだったり、ゴミ捨て場に回収されない大型ごみが放置されていたら、規則を守らない方がいるかもしれません。
また防犯カメラやオートロックの有無といったセキュリティー性も大切。宅配ボックスがあるかどうかも見ておきましょう。あるととても便利です。
〈6〉間取りや収納、生活動線
それぞれの部屋は希望通りの広さか、また必要な収納があるかどうかも見ておきましょう。お持ちの家具を置く予定なら、それらが入るかをシミュレーションしておくことも大切です。またキッチン〜水回り〜寝室など、生活動線がスムーズかどうかもポイント。実際に暮らしている様子をイメージてみてください。
ただし「フルリノベーションするつもり」なら、これらはまったく気にしなくて大丈夫です。間取りも収納量も、生活動線も、ライフスタイルに合わせてイチからプランニングします。
〈7〉リノベーションでどれだけ変えられるか
リノベーション前提であれば、「リノベーションでどれだけ変えられるか」「おおまかな費用」をこの時点でわかるようにしておきましょう。予想以上に費用がかかったり、思ったようにリノベできないリスクを避けられます。
一般的な不動産会社はリノベーションのアドバイスをしていませんが、CRAFTでは設計コンサルタントが内覧に同行。リノベーションの可能性と費用を知った上で、購入を判断できるので安心です。
中古物件の周辺もチェック
内覧時には中古物件そのもののほか、建物の周辺環境もチェックしておきましょう。環境は暮らしやすさを大きく左右します。
〈8〉周辺環境・治安
周辺にゴミ屋敷や放置された空き家などがないか、公園がある場合はその雰囲気はどうかを確認しましょう。落書きが多い、ゴミが散らばっている、放置自転車が多い、といったエリアは近隣住人が治安に対して関心が低い可能性があるため要注意です。
また、昼間はにぎやかな印象でも、夕方以降に人通りが途絶えたり、街灯が少なく道が暗くなったりするケースもあります。できれば時間帯や曜日(平日・休日)を変えて何回か確認すると安心です。
〈9〉最寄り駅の様子
物件の最寄り駅の様子も確認しておきましょう。特に一番混雑する朝の通勤・通学時間帯が重要です。人口が急激に増えたエリアでは、駅のキャパシティを超えた利用者により毎朝大変な混雑となっているケースがあります。この状況下ですから、できるだけ混雑のない駅をおすすめします。
また駅周辺にスーパーやドラッグストア、病院などがあればベストです。日常の買い物が最寄駅で間に合うことで、暮らしにゆとりが生まれます。小さなお子さまがいる場合は、小児科なども探しておきましょう。
一人暮らしや共働きで外食が多い方は、飲食店の有無も大切ですね。おいしいテイクアウトのお店などが充実していれば、時間を気にせず仕事に集中できます。
〈10〉駅からの道のり
現地まで直接タクシー等で行くよりも、駅から歩いてみるのがおすすめです。Google Map等で道のりを下調べする方は多いと思いますが、実際に歩いてみるとゆるやかな坂道が続き疲れを感じたり、信号や踏切の待ち時間があったり、と印象が異なる場合があります。
中古物件を内覧するときの持ち物
間取り図・筆記用具
内覧する中古物件の間取り図と筆記用具を持参しましょう。気づいたことや確認したことを間取り図上の該当する場所に直接書き込んで行くと、あとで見返しやすいです。一般的に、間取り図は不動産会社が当日用意してくれます。
チェックシート
「ここは確認しておきたい」と思っていたのに、当日になったら忘れてしまった…といったことは珍しくありません。確認したいポイントを事前にメモなどにまとめておき、内覧時にひとつひとつチェックしていけば、見落としを防ぐことができます。
スマートフォン
スマホは内覧の強い味方になります。記録用のカメラとしてはもちろん、ライト機能は収納の奥など薄暗い場所を確認するときにも役立ちます。近頃は標準的に搭載されるようになった、カメラで寸法を計測する機能も便利ですね。
売主が居住中の場合のマナーと注意点
売主さんがまだ暮らしているうちに、物件を売り出すケースもあります。売主さん立ち会いのもとの内覧は、スーパーや学校、周辺環境や地域コミュニティの雰囲気など、実際の生活に根ざした情報を聞かせてもらえる貴重な機会です。
挨拶はきちんと
もしも売主さんが「あの人には売りたくない」と判断したら、物件の売買は成立しません。まずはきちんと挨拶しましょう。
あまりにラフ、あるいは奇抜な服装で訪ねるのは避けたいもの。これまでお付き合いのあった近隣住人に配慮して、トラブルの原因になりそうな人には売りたくないと考える売主さんもいます。
とはいえ改まってスーツなどを着る必要はなく、清潔感のある常識的な服装であれば問題ないでしょう。また、手土産を持参する必要もありません。
できれば少人数で
売主さんが今も暮らしている家を内覧するため、できれば少人数で訪ねたほうが良いでしょう。小さな子どもを連れて行く場合は、常に目を離さないようにしましょう。
勝手な行動をしない
写真を撮影したい場合は必ず売主さんの許可を得てからにします。勝手に室内の物に触ったり、扉を開けたりするのもNGです。何か気になることがあれば、まずは売主さんに聞いてみましょう。
直接値引き交渉をしない
内覧時、売主さんへの直接の値引き交渉は避けましょう。少しでも安く購入したいと思うのは当然ですが、売主さんも様々な理由や考えがあって価格を決めているはずです。内覧の段階で値下げを打診されるのは、あまり気持ちの良いものではありません。不動産会社の担当者に相談すれば、無理のない範囲で値下げ交渉を行ってくれるはずです。
リノベーション前提なら専門家と一緒に内覧しよう
中古物件を購入してリノベーションするなら、専門家に同行してもらうのがおすすめです。リノベーション前提だと、内覧の視点が少し違うからです。
「どの壁を撤去できるのか」「水まわりはどこまで移動できそうか」 といった構造上の制約をプロの視点で確認すれば、購入もリノベーションもスムーズ。
なによりも大切なのは「リノベーション後のイメージ」と「物件費用とリノベーション費用の総額がいくらぐらいになるのか」を明確にしながら物件を探すこと。そうしないと、全体の予算バランスがくずれてしまいます。
〈まとめ〉内見は設計のプロと一緒にいくのがベスト
中古物件の内覧は専門的な目線も必要なため、できればプロと一緒に内見するのがベストです。
中古物件を内覧するときの主なポイントは下記のとおりです。
・チェックシートで見落としを防ぐ
・リノベ前提の場合はリノベでは変えられない部分を確認する
・物件だけでなく周辺環境や治安も確認する
・最寄り駅から物件までは徒歩で行く
・売主さんが居住中の場合はマナーを守る
CRAFTでは、ご希望のリノベーションが実現できる中古物件をご紹介。内覧時には専門家が同行し、現地の状況をしっかりと判断いたします。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。