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「売却しづらい」と思われがちな古い住宅。しかし売却方法や売却する際のコツさえ押さえておけば、古い家でも売ることは可能です。古い家の具体的な売却方法や売却を成功させるコツ、売却する際の注意点などについて詳しく紹介していきます。
古い家を早めに売ったほうがいい?その理由は?
「古い家はできるだけ早く売ったほうがいい」「リノベーション すれば暮らせる」とさまざまな意見があります。「早く売った方がいい」とされる主な理由は、
・(非居住の場合)古い家を売却せずに放置するしているとリスクが高まるから
・古い家の価値が見直されているから
の、2点があげられます。それぞれの理由について詳しく解説していきます。
1.古い家を売却せずに放置しているとリスクが高まるから
古い住宅を売らずにそのまま放置していると、
・物件の価値が下がる
・住宅の老朽化が進行する
・老朽化によって住宅が倒壊する
・手入れが行き届かず悪臭や害獣が住み着くなどのトラブルが発生する
・不法侵入や放火など犯罪のターゲットにされてしまう
など、さまざまなリスクにさらされることになります。
特に怖いのが倒壊や悪臭、不法侵入、放火など近隣の住民にまで迷惑をかけてしまうようなトラブルです。
また、家を売却せずに放置している期間も固定資産税の支払いは発生しつづけるので、支払いによって生じる負担を軽減するためにも、なるべく早いタイミングで売却するべきだと言えます。
2.古い家の価値が見直されているから
古い家の所有者は、つい「こんな古い家、売れるわけないよな…」と、売却を諦めてしまいがちですが、決して悲観的になる必要はありません。なぜなら、近年、古い家の価値が見直される傾向にあるからです。ここ最近の新築物件の高騰も、中古戸建ての購入を検討する人が増加している理由の一つです。
1981年の6月以降に建てられた住宅は新耐震基準を満たしているので建物はしっかりとしており、少し補修するだけで問題なく生活できる状態の物件も少なくありません。
これらの条件が重なり、古い家の価値が見直されてきているので、今は売却するのにうってつけのタイミングだと言えるわけです。
古い家を売る6つの方法
古い家を売る方法は一つだけではありません。
・手を加えずにそのまま売却する
・リフォームして売却する
・解体して売却する
・瑕疵担保保険を付けて売却する
・不動産に買い取ってもらう
・空き家バンクに登録して売却する
など、さまざまな選択肢があります。
そのままだと売却しづらい物件であっても、手を加えたり売り方を工夫するだけで買い手が見つかる可能性が高まるので、決して悲観的になる必要はありません。
それぞれの売却方法について詳しく解説していきます。
1.手を加えずにそのまま売却する
古い家を売るケースで最も多いのが、手を加えずにそのまま売却する方法です。
状態の良ければ古くても売れるので、手を加えずに売りに出しても売却できる可能性は高くなります。また、昔ながらの日本家屋であれば、風情の感じられる住まいとして付加価値をつけて売り出すのもおすすめです。
2.リフォームして売却する
築年数の古い家は、
・壁紙が破れている・汚れている
・水まわりの配管から異臭がする
・外壁塗装が劣化している
など、住宅設備が劣化してしまっているケースが多々あります。
そのような物件はそのままだとなかなか買い手がつかないので、劣化している部分をリフォームして売却するのがおすすめです。リフォームが必要になる分お金はかかりますが、劣化している部分を補修するだけで買い手の反応がガラッと変わることも少なくないので、リフォームした上での売却も検討してみてください。
ただしリスクもあります。買い手が「リフォーム前提」で物件を探している場合、すでにリフォーム済みだと好みに合わない上、そのリフォーム費用が販売価格に含まれている点がデメリットになることも。リフォームするかどうかは慎重に検討しましょう。
3.解体して売却する
劣化が激しく、そのまま売却するのが難しい古い家は、解体して売却するという方法もあります。
住宅の解体には数百万円以上の費用がかかるため、ある程度の出費は覚悟が必要です。しかし売れない住宅を放置していても問題を先送りするだけです。無駄な固定資産税の支払いを避けるためにも、思い立ったら早々に解体し、売却しましょう。
4.瑕疵担保保険を付けて売却する
古い家は購入する際に不安を感じてしまうものですが、その不安を払拭してくれるのが「瑕疵担保保険」です。瑕疵担保保険は、売却した住宅に欠陥が見つかった際の補修費用の一部をまかなうことができる保険です。
この瑕疵担保保険には住宅の品質を保証する保証書のような側面があり、瑕疵担保保険を付けることで購入希望者が安心して購入できるようになります。
また、瑕疵担保保険を付けることで、本来住宅ローン控除の対象とならない築20年以上の住宅でも住宅ローン控除が受けられるようになるので、より売却しやすくなります。
5.不動産に買い取ってもらう
古い家の売却方法には、不動産会社に買い取ってもらう方法もあります。
不動産会社は転売を目的として住宅の買取を行っているため、一般の市場よりも売却価格は安くなってしまいます。しかし先述した通り売れない物件を所有しておくのはリスクが高いので、金額に拘らずすぐに手放したい場合は検討してもよいでしょう。
状態の悪い住宅は解体を含めて買取を依頼することもできるので、「解体費用を自己資金で捻出するのが難しい…」という方にもおすすめです。
6.空き家バンクに登録して売却する
不動産会社に売却や買取を断られてしまうような状態の古い家の売却には「空き家バンク」がおすすめです。
空き家バンクは自治体が運営する物件情報サイトです。空き家バンクは住宅を高値で売却するために活用するタイプの物件情報サイトではなく、通常だと買い手が見つかりにくい物件を売却するための物件情報サイトです。
そのため、高値での売却期待できませんが、家財が残っている状態の古い家やメンテナンスが行き届いておらずあまり状態のよくない古い家でも買い手が見つかりやすいというメリットが。「とりあえず空き家バンクに登録しておく」というのも一つの手です。
古い家を売るとかかる税金&費用
古い家に限った話ではありませんが、住宅を売却する際は、売却する際に発生する費用や税金についても把握しておく必要があります。
古い家を売るとかかる税金や費用には、必ず発生するものとそうでないものがあります。必ず発生する税金・費用と、場合によって発生する税金・費用は、以下のとおりです。
●必ず発生する税金・費用
・仲介手数料
・印紙税●場合によって発生する税金・費用
・解体費用
・リフォーム費用
・測量費用
・譲渡所得税
・相続登記費用
それぞれ詳しく解説していきます。
仲介手数料
仲介手数料は、家の売却が成立したときに不動産会社に対して支払う手数料です。具体的な手数料の比率はそれぞれの不動産会社によって異なりますが、上限は「(物件の売買価格×3~5%+2~6万円)+消費税」で設定されています。
例えば、3,000万円で住宅を売却する場合であれば、約96万円の仲介手数料がかかることになります。
印紙代
印紙税は、売買契約書に貼る収入印紙にかかる税金です。印紙税は物件の売却価格によって異なります。
3,000万円で売却が成立した際の印紙税は、売り主さまの契約書と買い主さまの契約書の2枚分で約2万円かかります。
解体費用
解体費用は、住宅を解体して売却する際にかかる費用です。費用は依頼する業者など条件によって異なりますが、30坪の住宅を解体するには約100〜150万円ほどかかります。
リフォーム費用
劣化している住宅設備や不具合のある住宅設備をリフォームして売却するときには、リフォーム費用がかかります。費用はリフォームの内容や規模によって異なり、数万円で済むこともあれば100万円以上かかることもあります。
測量費用
住宅の売却では、隣家との境界線を明確にする必要があります。その際に発生するのが測量費用です。
測量費用も依頼する業者によって異なりますが、40〜50万円が相場となっています。
譲渡所得税
譲渡所得税は、古い家を売却して得た利益に対してかかる税金です。例えば、3,000万円で購入した住宅を5,000万円で売却すると2,000万円の利益が発生することになりますが、この2,000万円に対してかかる税金が譲渡所得税です。
譲渡所得税の税額は以下のとおりとなっています。
住宅の所得期間:5年以下 税率:39.63%
住宅の所得期間:5年以上 税率:20.315%
相続登記費用
相続した住宅を売却するケースでは相続登記費用もかかります。相続登記費用は、住宅の固定資産税評価額の0.4%です。
固定資産税評価額が3,000万円の住宅を売却する際は、12万円の相続登記費用がかかることになります。
古い家を売る上で押さえておきたい3つのコツ
古い家の売却を成功させるには、いくつかコツがあります。
主なコツとしてあげられるのは、以下の3つです。
・綺麗な状態にしておく
・相続手続きや境界線の確認は早めに済ませておく
・適切な価格で売りに出す
それぞれ解説していきます。
1. 綺麗な状態にしておく
不用品の処分や掃除を行い、なるべく綺麗な状態にしてから売りに出しましょう。不用品が放置されたままだったり、汚れの目立つ家は、多少条件が良くても買い手が付きにくいものです。
家の状態が古くても、綺麗にしておくだけで買い主さまの心象が良くなり、購入につながりやすくなります。
2. 相続手続きや境界線の確認は早めに済ませておく
古い家の売却では、相続手続きや境界線の測量が必要になることがあります。これらの作業を後回しにしていると売却をスムーズに進めることができなくなってしまうので、なるべく早く済ませておくようにしましょう。
境界線についての判断や対応が難しいときは、不動産会社に相談してみてください。
3. 適切な価格で売りに出す
住宅の売却では、相場を把握し、適切な価格で売りに出すことが重要です。「少しでも高く売りたい…!」と考えてしまう気持ちもわからなくありませんが、売却額を相場よりも高く設定してしまうと、いつまで経っても買い手が付かず、売れ残ってしまいかねません。
売れ残る期間が長くなればなるほど住宅の価値が下がり、より売却しづらくなってしまうので、相場をリサーチしたり不動産会社の担当者に相談したりしながら、適切な価格で売りに出すようにしましょう。
住宅を少しでも高く売却するためのポイントについては以下のページで詳しく解説しているので、こちらもチェックしてみてください。
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CRAFTはリノベーション前提だから、古い家も売れやすい
マンション販促時にリノベーション後がイメージできるCGを作成
古い家の売却では、物件の価値をしっかりと伝えることも大切です。
住宅の売却方法としては不動産ポータルサイトに物件情報を登録して売却する方法が一般的。しかしそれでは物件情報の中に埋もれてしまい、売却物件の「価値」を正しく伝えることができません。
CRAFTでは、購入希望者に物件の価値を正しく伝えるための施策として、リノベーション後をイメージできるCGを作成しています。見た人に「古いけれどこんなふうに変わるなら、検討してみようかな」と思ってもうらうのが狙いです。中古物件を購入する大半の方が何かしらのリノベーションをする傾向にあるので、リノベーション後をイメージできるCGを交えて提案することでより購入につながりやすくなります。
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古い家を売るときの注意点とやってはいけないこと
古い家を売るときにやってしまいがちな失敗としては、
・不動産会社を比較せずに決める
・安易な考えで手当たり次第リフォームしてしまう
・告知が必要な不具合を隠して売却する
などがあげられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
1.不動産会社を比較せずに決める
不動産会社の比較は時間と手間のかかる作業です。そのため、避けたいと考える方も少なくありませんが、複数の不動産会社に査定を依頼しなければ適切な売却価格を把握することができません。
また担当者の対応も大切です。より丁寧かつ真摯に対応してくれる会社に売却を任せるようにしましょう。
2.安易な考えで手当たり次第リフォームしてしまう
古い家の売却方法の一つとしてリフォームして売却する方法を紹介しましたが、手当り次第リフォームすればいいわけではありません。間取りやデザインの好みは人それぞれなので、良かれと思って行ったリフォームがマイナスに作用してしまう可能性もあります。
3.告知が必要な不具合を隠して売却する
古い家を売る上で特に気を付けなくてはならないのが、住宅の不備の告知です。
劣化や不具合の発生している箇所を隠して売却してしまうと買主さまとの間でトラブルに発展してしまいかねませんので、しっかり告知した上で売却するようにしてください。
〈まとめ〉売り方とコツを知っていれば古い家でも売却できる
最近は中古住宅の需要が高まり、古い家の価値が見直されているということもあって、コツを意識しながら正しい売り方で売却すれば古い家でも売れる可能性は大いにあります。
CRAFTでは、リノベーション後をイメージできるCGの作成やSNSでの情報発信など、売却が成功する可能性が高まる施策を取り入れながら買い主さまに訴求しています。
「こんな古い家、本当に売れるのかな…」と不安を感じている方は、ぜひ一度CRAFTにご相談ください。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。