物件データ
自己所有ビルの最上階に住み替えることになったAさん。視線の抜けを意識した空間構成と、スタイリッシュな素材使いが特徴的な住まいにリフォーム。玄関ホールからキッチンとその奥の水まわりまで視線が通る、伸びやかな空間に生まれ変わりました。さらに、玄関からキッチンにかけては天井に木、床に大判タイルを連続して貼り、奥行きを強調。リビング・ダイニングの壁面には8mのカウンター収納を設け、下部に間接照明を入れて目線を奥へと誘いつつ、水平ラインを強調して横の広がりを印象付けています。間仕切りのほとんどを引き戸としたため、開放して大きなワンルームのようにしたり、閉めて独立した空間としたり。シーンに応じて自由に印象を変えることができる、使い勝手のよい住まいとなっています。
パブリック空間は明るく、プライベート空間はダークに。
心の切り替えを促すインテリア
理想の生活スタイルをはっきりとイメージしていたAさんは、デザインと間取りにも明確なご希望を持っていました。それをベースに、より快適に過ごせるようにプランニング。もともとイメージしていたのは全体的にダークな空間でしたが、LDKにはやわらかな白をベースに、木と石のぬくもりを感じる自然素材を散りばめて、心が軽くなるような空間を提案しました。一方で、寝室や書斎などのプライベートな空間は落ち着いたダークトーンでまとめて仕事や睡眠に集中できる環境づくりを行っています。素材や照明を厳選してモダンなデザインに生まれ変わりました。
キッチン
玄関ホールからキッチンまでをひと続きにして家事動線を短縮。また、随所の間仕切りを引き戸にしたことで、普段は開放してワンルームのように使用し、来客時や家族が増えたときは閉めて独立した空間にすることも可能です。キッチンは天井を少し下げて排気ダクトを隠蔽し、すっきりと見せています。玄関からキッチン、洗面室にかけては大判タイルを敷き、天井に木を張って連続性を持たせました。
リビング・ダイニング
壁に沿って造作した8mのカウンター収納は、たくさんの生活用品を収納できると同時に、下部の間接照明で水平ラインを強調。視線が自ずと奥へと導かれ、視覚的な広がりを感じられるようになりました。また、視線の先の階段ホールの壁を石張りにして素材感でインパクトを与えつつ、白で統一されたやわらかな空間を引き締めています。
階段
階段ホールは腰壁を手すりに変更し、軽やかさと開放感を演出。黒いスチールの手すりのシャープなラインが空間を引き締めると同時に、石壁の存在を引き立てています。照明は、既存の梁を利用して間接照明をデザイン。やさしい光が石壁の素材感を強調し、上り下りするたびに趣を感じる特徴的な階段に仕上がっています。
浴室
海外によく滞在するというAさんのために、海外のホテルを意識して開放感あふれる浴室をデザインしました。ジャグジー付きの浴槽に、読書用ライトも設置。光量を調節できるため、照明を落とせば心も身体もほぐしてくれます。ガラス張りの間仕切りにより、伸びやかな印象を与えることもできました。
寝室
寝室のドアは重厚感のあるウォールナット、ベッド背面の収納を黒で統一し、全体的に落ち着いた印象でまとめました。また、直接的な光を避けるため、ベッドフレームの下部・ベッドヘッド・下がり天井には間接照明を入れています。隣の書斎とは石の壁を立ち上げ、ゆるやかに間仕切り。別々のスペースながらも、つながりを感じられるようになっています。
トイレ
Aさんご自身が選んだ手洗い器や四角いスタンドライトが調和するように、トイレは和モダンなデザインに。黒く塗装したカウンター、櫛引仕上げのダークグレーの珪藻土の壁を、スポットライトが照らします。コントラストの効いた光の陰影が、日本の侘び寂びを感じさせてくれます。
大きなワンルームのような
細かく仕切っていた壁を撤去したことで奥まで視線が大きなワンルームのような空間が生まれました。ほとんどの建具に引き戸を採用したため、常時は開放して光と風を巡らせ、来客時には閉じてプライバシーを守る、といった使い方が可能です。シーンに応じて間取りを変えることができる、フレキシブルな空間となっています。
パブリックとプライベート
LDKに玄関まで取り込んだ大空間は、白を基調とした明るい印象でまとめました。床には肌ざわりのやさしいカーペットを敷いて、キッチンの天井には白く塗装した木、階段ホールの壁には天然石を貼っています。シンプルな色調ながらも異なる素材感を組み合わせて印象深く仕上げました。変わって寝室や書斎などは黒や濃茶を基調としたシックなインテリアに。用途ごとに趣を変えて、気持ちが自ずと切り替わるようにしました。