物件データ
クラフトでリフォームしたご友人のご自宅を見て、大変気に入ったというFさん。空家だったご実家に夫婦で移り住むにあたり、クラフトでデザインリフォームを行うことにしました。旅行が趣味というおふたりは、南仏や地中海の明るくゆったりとした雰囲気が大好きとのこと。今回のリフォームでは、そんな異国情緒あふれる雰囲気を取り入れています。ご実家はRC造で、構造上耐力壁を動かせないことを踏まえながらも、大胆にリフォーム。和室だったスペースに大きなバスルームを設けたり、セカンドバスルームのひとつを図書室にしたり。さらに随所にラウンジやカウンター、ニッチなどを設置。どこにいてもリゾートのくつろぎを感じる住まいとなりました。また、邸内の大半の壁と天井は、テクスチャーが豊かな漆喰を採用。コーナーに丸みを持たせてやわらかく重厚に。またリビングを中心にアーチ状の開口部を設けるなど、南仏リゾートの雰囲気を各所で演出しました。
RCの壁式構造を、理想の間取りに
RC造のため、耐力壁を動かすことができません。しかし部屋の用途や間取りを変えることで、大規模なリフォームを実現しました。デザインコンセプトは、奥さまのお好きな南仏や地中海のように優雅でリラックスした空気感。壁にはテクスチャーが際立つ漆喰を、コーナーにはR(曲線)をもたせてたっぷりと塗りました。室内全体の色と素材を統一しながら、さまざまなテイストを違和感なく調和させました。家のどこにいても、ロングバケーションを満喫しているような気分に。部屋の各所にラウンジやデスクカウンター、ライブラリーなどを設け、ご夫婦の趣味やくつろぎのスペースが点在する楽しい住まいに仕上げています。
アクセントウォールで上質な空気感
TV側の壁はベージュの天然石のアクセントウォール、飾り棚も設置。天井に間接照明を設け、お気に入りのシャンデリアでお好きな雰囲気に。フローリングにはタモの草木染めをセレクト。白い壁と調和しています。窓の先には、野趣あふれるロックガーデンが広がります。窓のカーテンは通常のドレープカーテンではなくシェードにし、開けた時に視界が開けるようにしました。
壁にはスイスの本漆喰
壁の本漆喰は、中世から使われてきたスイス製。壁のコーナーにはR(曲線)を持たせ、本漆喰ならではのボリュームを出しています。またキッチンの入り口やカウンターの開口部、その左右に設けたニッチの上部をアーチ状に統一。4つのアーチが並ぶことで、南仏のような空気感があらわれています。
古い教会の回廊のように
均等に並んだ壁の間から差し込む光が長い廊下を明るく照らします。重厚な色合いの床と、壁と天井の白いスイス漆喰とのコントラストは、まるで古い教会の回廊のような趣。また、従来あった天窓は劣化や汚れによって採光が見込めなかったことから一新。バルコニーにつながる突き当りのガラス扉とともに、明るくクリアな光が廊下にたっぷりと注ぎ込むようになりました。
音楽を楽しむ贅沢なラウンジ
2階の和室は、ラウンジスペースに変更。壁には深い緑色のタイルを貼りました。ソファに座ると、目の前にはこだわりのオーディオセット。音楽を聴いたり、吹き抜けを見下ろすカウンターでお酒を楽しんだり。セカンドリビングのような、贅沢なスペースです。Yチェアと呼ばれる北欧の椅子もカウンターによく似合います。
バスルームのひとつを図書室に
1、2階それぞれにあるバスルームの一方は、図書室に変更。落ち着いた雰囲気の中で本が読めるよう、壁と天井は濃いネイビーで塗装しました。同系統のタイルを貼り、また天井に設けた間接照明でR(曲線)のやわらかさをさりげなく強調。窓から見える坪庭は、上部の屋根をなくしモダンな石庭に変更しています。ここから自然光がたっぷりと注ぐため、窓際のベンチに座れば読書のための明るさは十分。小さな空間で、心ゆくまで本の世界を楽しめるようになりました。
テラスにつながるバスルーム
JAXSONやGROHEなど、一流のアイテムでそろえたバスルーム。ガラスの間仕切りでパウダールームと一体にして、より伸びやかなイメージに。内側からロールスクリーンで目隠しすることも可能になっています。床と洗面台のカウンターは大理石とし、壁のタイルも色味を合わせて統一感を演出しました。浴槽の向こうには大きな窓、その先にはロックガーデンの景色が。ウッドデッキと浴室の高さを揃えることで中と外の境界を曖昧にし、外とのつながりを感じられるようにしました。
洞窟のようなアーチ状の開口部
キッチンとリビング・ダイニングの間の開口部はアーチ状に。厚い壁と漆喰の味わいのあるテクスチャーによって、洞窟のような趣を演出しています。カウンターは奥行きがあるため、料理を配膳したり、バーカウンターのようにお酒を提供したりするのにも便利。サイドには小さなコンセントも設け、コーヒーメーカーなどちょっとしたキッチン家電を使えるようにしました。たくさんのゲストを招いてホームパーティーを楽しむご夫婦のライフスタイルから生まれたプランです。
野趣あふれるロックガーデン
リビングに面した広い庭は、Fさんご希望のロックガーデンに一新。もとからあった傾斜を活かし、ランダムに石を積み上げてその合間にオリーブ、トリネコ、モミジなどのさまざまな樹々をレイアウト。作り込まれた美ではなく、自然の森のような野趣あふれる緑を感じられるようプランニングしました。年間を通じて木々の実りや葉の色の変化がある庭は、家に居ながらにして四季の変化を感じさせてくれます。
光が注ぐ明るい階段
階段は、従来あった壁をなくして黒スチールの手すりでオープンに。段板や蹴込みはリビングや廊下と同じ草木染めのタモ材を使用し、1階全体のイメージを統一させました。また、壁や階段の側面はコテムラを残した漆喰で統一。2階にある2つの天窓から降り注ぐ光が、漆喰の凹凸を浮かび上がらせます。1階廊下の壁には等間隔でスポットライトを設置。突き当たりには全面にミラーを貼り、長い廊下が続くような印象を与えました。