物件データ
下のお子さまの小学校入学を機に「暮らしやすくしたい」とリフォームを決意したFさん。家族が集まるリビングスペースを広くとりつつ、思い思いにくつろげるプランをご提案しました。たとえば窓際の一角に、気軽にくつろげる畳の小上がりやソファコーナーを設置。1つの空間ながらもカウンター収納や間接照明でゆるやかにゾーニングしています。また、「家族で料理を作ったり、食事をする時間を大切にしたい」という想いに応えるため、リビング側にシンクカウンターをつくり、集まりやすいスペースに。隣接する2つの子ども部屋は、上下が互い違いに重なるように2段ベッドを設けるなど、空間を有効活用したこともポイントです。壁や天井は漆喰、珪藻土や大理石、天然顔料をふんだんに使った輸入塗料も取り入れ、表情ゆたかな趣ある住まいに仕上げています。
家族とのコミュニケーションを大切にしつつ、
思い思いに過ごせるリビング
デザイナーは、料理好きなFさんがご家族とキッチンを囲む姿を思い浮かべながら、レイアウトを検討しました。直床のため水まわりを大幅に移動することが難しいなか、キッチンを中心に配置したいくつかのプランをご提案。そのなかで、キッチンもリビングも十分なスペースを確保できるプランを採用しました。ソファコーナーや畳の小上がり、ダイニングに造作したベンチなど、さまざまな過ごし方ができるフレキシブルなリビング。子ども部屋を設け、お子さまの家具や荷物を一ヶ所にまとめたことで、整頓された状態をキープしやすくなりました。
LDK
下のお子さまの部屋はリビングの横に設けました。引き込み扉を開ければリビングの延長線にある空間として利用できます。淡いイエローで塗装された箱は、オリジナルの2段ベッドです。アクセントクロスの壁とともに、リビングから見たときのアイポイントに。また、リビング側のベッドを上段に設定することで、ベッドがリビングから丸見えにならないようにしています。お子さまが成長したら開口部を壁で塞ぎ、廊下から出入りできる個室として活用することも想定しました。
LDK
ソファコーナーには、壁面収納を兼ねたTVボードを設置。ダイニングのベンチの下部収納、各所の収納スペースにより、生活感が出がちなリビングをすっきりさせています。ブルーグレーの小さな畳をレンガ状に敷き、框をカラーモルタルで仕上げた小上がりは、シンプルながらもモダンで素材感のある空間です。TVボードと同じ面材で仕上げた下がり天井を連続させることで、籠ってくつろげる雰囲気を演出しました。
キッチン
玄関ホールからキッチンにかけては、壁を落ち着いたグリーンで塗装。その先に同系色のキッチンを配置し、一体感を演出しました。食器棚は以前から愛用しているarflexのカップボードを設置。それに合わせて上部とサイドに棚を設けました。吊戸棚をカップボードと同じ色で造作するとともに、サイドの壁一面にも同じ色の木目パネルを貼り、一つの大きな家具のような趣に。キッチンとのつながりも表現しています。
リビング
リバービューの恵まれた眺望を気軽にたのしめるよう、窓際に畳の小上がりを設置。上り下りしやすいようにステップを設けました。またダイニングのベンチと高さを揃え、ベンチとしても使えるように。畳に寝転べば、春には桜並木を見下すこともできる特等席です。天井には板を貼って間接照明を入れ、メリハリを演出しています。
寝室
寝室や子ども部屋の間仕切り壁にグラスウールを入れて、遮音性をアップ。プライバシーを守るとともに、落ち着いて就寝できるようにしています。枕元にはちょっとした小物を置けるカウンター収納を設け、使い勝手を高めました。壁はイギリスの老舗メーカーFARROW&BALL社の塗料で仕上げ、ベッドの背面は同ブランド・同色のアクセントクロスを。間接照明を入れて、美しい色を引き立てています。
子ども部屋
スペースを有効に活用するため、2つの子ども部屋の間に2段ベッドをデザイン。ベッド上部の天井を高くとることで、ゆったりと過ごせるスペースを確保しました。ベッドに使用したイエローの塗料と壁のアクセントクロスは寝室と同様、FARROW&BALL社のもの。アクセントクロスの模様には、塗料と同じイエローが使われています。はしごはアクセントクロスのベース色で塗装し、統一感のある空間に仕上げました。
キッチンとパントリーが連続
パントリーは元々、キッチンと廊下の両方から出入りできましたが、収納スペース確保のために出入り口を統一。奥まった位置にあるパントリーはリビング・ダイニングからは見えないため、扉をなくしキッチンとひと続きに。アクセスしやすく、使いやすくしました。また、カウンターサイドの壁を石貼りにし、空間のアクセントに。廊下側まで連続させることで、リビング~玄関のつながりを感じれられるように計画。アイストップの役割も兼ねています。
ホテルライクな一体型サニタリー
マンション購入時は1ヶ所だったトイレ。竣工時は2ヶ所だったことを確認の上、2ヶ所に増設しました。1つは独立した空間に、もう1つは洗面室と一体のサニタリーに。サニタリーは2ボウルの洗面台や、洗濯機をビルトインできる収納を備えたのびやかな空間。洗面台の正面にはブルーグレーのガラスモザイクを、壁にはベージュの大判タイルを貼りました。壁のタイルは、浴室の入り口まで巻き込んで仕上げることで、連続した空間のように演出。空間をより広く見せています。
大理石と塗装壁のぬくもり
土間や壁の一面に淡いベージュのトラバーチン(大理石)を貼り、シンプルな中に上品な美しさを感じさせました。壁の段差部分にもトラバーチンを立体的に貼ることで、ボリュームを持たせています。建具は既存のものを活用していますが、壁に合わせて塗装し、金物を交換することで、空間に違和感なく調和させました。玄関サイドには壁面収納を造作。向かいにはシューズインクロゼットも備え、いつもすっきりとした状態を保てるように計画しています。