物件データ
お住まいのマンションをご両親に譲り、中古マンションへ住み替えを決めたSさん。前居をリフォームしたご縁で、今回も物件探しからリフォームまでクラフトが手がけることになりました。キッチンカウンターと横並びにダイニングテーブルを配置するレイアウトや小上がりの設置は、お気に入りの前居と同様に。新居の方がコンパクトですが、間仕切りをできるだけ設けずゆったりとした空間を確保し、今まで通り快適に暮らせる生活動線を維持しています。デザインは、倉庫をリノベーションしたカフェをイメージ。「インダストリアルな男前」をテーマに、スチールの室内窓や古材のダイニングテーブル、モルタルのカウンターといったラスティックな質感をたのしめる住まいに仕上げました。
キッチンの向かいに畳の小上がりをデザイン。
暖炉の炎に癒される暮し
Sさんが思い描くイメージを写真などで共有し、ブルックリンの要素を取り入れた「インダストリアルな男前」の空間を提案。また前居と比べて10㎡以上コンパクトになりましたが、今まで通りの暮らしができるよう、生活動線に配慮しながら設計しました。コンロとシンクを2列に並べたキッチンや畳の小上がりを採用し、住み慣れた環境に近づけています。またどの部屋からも眺望を楽しめるレイアウトや、風通しを高める工夫、必要な収納量も確保。キッチンで作業をしながら、小上がりに設置したテレビを鑑賞したり、暖炉の炎に癒されたり、思い思いの時間を過ごせるように。また、共用廊下に面している寝室とウォークインクロゼットの窓にはインナーサッシを入れ、騒音と結露に配慮しました。
キッチン
キッチンはお気に入りの製品を選びつつ、扉をオーダー家具でつくり直して交換。白×黒のコンビネーションで仕上げました。サブウェイタイルの壁や古材のオープン棚、アイアンのレードルハンガーなど、無骨な素材で統一。棚は奥を掘り込んでLEDライトを入れ、手元を明るく照らします。レンジフードは、ダクトレスタイプを採用。通常露出するダクトスペースの梁型を設ける必要がないため、すっきりとした天井を実現できました。
リビング・ダイニング
「インダストリアルな男前」を意識し、小上がりの一角はモノトーンで構成。黒い畳を敷き、上がり框はベルギーの左官材「モールテックス」でクールに仕上げました。畳の下部は、畳を外して上から収納すると同時に寝室側からも一部収納スペースとして活用できます。奥の壁は、ご夫婦のラッキーカラーであるイエローで塗装し、空間のアクセントに。玄関から2面にわたってイエローの壁が続くことで、空間の連続性を感じさせています。
LDK
廊下を最小限にして、水回りを移動することでゆったりとした空間を叶えたLDK。床にはしっかりとした節目が目を引くヨーロピアンオークの挽板フローリングを敷き、ラスティックな雰囲気を演出。床暖房にも対応しています。ダイニングテーブルは素材感を出すために、アンティークの木材でオーダーメイド。左官仕上げのコンロカウンターに食い込むような、ダイナミックなデザインに仕上げています。
デスクスペース
バルコニーの手前に設けたデスクは上部に本棚を、下部にはプリンター置き場を設置。本棚は、エアコンのダクトなどを隠ぺいする役割も果たしています。また、どちらも横向きにレイアウトすることで、LDKから見たときに物がすっきりと隠れるように収納しました。正面のミラーには、隣接する公園のグリーンが映り込み、借景もたのしめる贅沢なスペースです。
サニタリー
洗面室と奥の書斎はミニマムながら、FIXガラスで間仕切り、視覚的な広がりを演出。カウンターや左官塗りの壁、ミラーのラインを揃えることにより、連続性を強調しました。また、窓のない洗面室に光をもたらす効果も。背面には、裏側に位置する暖炉上部の溶岩石貼りスペースを利用してオープン棚をつくり、生活用品を収納できるように。必要なものを必要な場所にしまえるように、使い勝手に合わせて設計しています。
玄関ホール
玄関の傍らに、古材のベンチカウンターを造作。広さを損なわないように最小限の奥行きでデザインしました。古材を貫くアイアンのコート掛けがカウンターを支え、手すりの役割も果たせるように麻のロープを巻きました。向かって左手の居室は元々洋室でしたが、SIC(シューズインクロゼット)とWIC(ウォークインクロゼット)を兼ねた収納スペースにして収納量を確保。リビングに通り抜けできる2WAY仕様です。
風の通り道をつくる室内窓
寝室と小上がりの間には、「男前インテリア」の代名詞とも言えるスチールの室内窓をデザイン。上部の窓を開ければ、バルコニーから入る心地良い風を取り入れることができます。掃除機が当たっても平気なように、下部までガラスを入れない配慮も。抜け感が生まれ、空間に広がりをもたらしたこともポイントです。
溶岩石のマントルピース
小上がりにはバイオエタノール暖炉を設置。合わせて、壁の一部をマントルピースに見立てて溶岩石を貼りしました。趣味のカメラをディスプレイできるニッチには間接照明を入れ、飾ったものが引き立つように。隣は、オーディオ収納やテレビのスペースに。石壁と、暖炉やオーディオラックを収めたボックスの黒、白の壁を重ね合わせたデザインが印象的です。
夜景を臨む
キッチンで乾杯
Sさんがこだわったのが、リープヘルのワインセラー。ミーレのレンジ、ガゲナウの食洗機とともに、フラットに納めました。ダイニングから手が届く近さにあり、夫婦で相談しながら気軽にワインをセレクトできます。「毎日眺めていても飽きないほど感動する」という美しい夕日や夜景を眺めながら、ワインをたのしめるように。