物件データ
お母さまから相続した、築30年のビル。Kさんはクラフトで一棟まるごとデザインリフォームし、1~3階を賃貸、最上階をご夫婦の住まいとして活用することにしました。お子さまはすでに独立しているため、目指したのはふたりでゆったりと暮らせる大人の空間。床は落ち着いた色合いで、ヴィンテージ感漂うオークのフローリングに。壁や天井は白とし、グレーのタイル壁や大理石のカウンターをアクセントとしました。またKさんは、かつてこの家で暮らしていた際に道路近くの騒音が気になっていたそう。そこでビルの2面が道路に面したにぎやかなバルコニー側にはLDKを、比較的静かなルーフバルコニー側に寝室を配置しました。LDKと寝室をつなぐ廊下には、視界を遮らないガラスの引き込み戸を設置。開放的でモダンな、大人の落ち着いた空間に生まれ変わっています。
※賃貸住戸の事例はリフォーム・リノベーションデザイン事例#00456をご覧ください。
BEFORE写真
ご夫婦の好みを取り入れたデザイン。
過ごしやすく明るいLDKと静かな寝室に
床や壁などをすべて取り払い、ビルの躯体のみを残して間取りを一から見直すデザインリフォームを選択されたKさん。課題は、LDKの配置でした。結果的に、道路に面して騒音が聞こえやすいバルコニー側をLDKとし、静かな反対側を寝室としました。トイレやお風呂などの水回りは、その2つを繋ぐ廊下に面してレイアウト。明るいリビングと、静かにゆっくり休める寝室が完成しました。内装は、ホテルライクな空間が好きなご主人さまと、こもった雰囲気が好きな奥さまの意向を取り入れたデザインに。壁や天井はシンプルな白で明るい印象にしながら、床は濃い色合いのオークとし、キッチンやカウンター、アクセントウォールなどはモノトーンを採用。ご夫婦ともに満足いただける、高級感あふれるインテリアとなりました。
夫婦の会話がはずむキッチン
フルフラットで会話がはずみやすい、対面式のオープンキッチンを採用。天板は落ち着いた色合いのセラミックトップとなっており、まな板を使わずに包丁で食材を切ることができるうえ、高温のフライパンや鍋を直接置いても変色や変形がない最新式です。背面収納にはあえて吊戸棚を設置せず、シンプルな飾り棚としました。お気に入りの食器を並べたりと、見せる収納ならではの楽しみが増えたそうです。
床暖房を各エリアに設置
従来あった和室をなくし、オークのフローリングで統一。リビングとダイニングは広い空間の対角線上に配置し、程よい距離感があるため個々の空間としても使いやすいレイアウトとなっています。またリビング、ダイニング、キッチンのそれぞれに床暖房を設置。個別に分けることで、無駄な電気代がかかることもありません。仏壇は、空間に溶け込みながらもいつでも手を合わせられる最適な位置に。
壁面にTVを収め
すっきりとしたリビング
TVボードをなくし、壁面の中にすっきりと収めました。またレコーダーなどのAV機器は、テレビのサイドにブラックガラスを入れ、その内側へ。一見すると大きな黒い一枚ガラスにように見える、すっきりとしたデザインとしました。壁面にはグレーのタイルを張り、重厚な印象に。また廊下に面したTV脇の扉も、黒で統一。窓際には黒を基調とした大理石のカウンターを設け、下部には間接照明を設置。モノトーンの落ち着いた雰囲気をさらに上質なものとしました。
ホテルを思わせる
高級感のあるサニタリー
ホテルのような雰囲気を好むKさんは、黒い浴室を希望。そこで浴室の壁は石目調の黒とし、脱衣所との壁と扉はガラス張りに。また脱衣場の壁は黒の大理石、洗面台の扉も黒で統一し、バスルームと一体となったホテルライクなサニタリーとしました。鏡の裏や洗面台の足元には間接照明を設置し、ラグジュアリーな雰囲気に。ゆったりとしたスペースの背面には大型の収納を備え、脱衣カゴやバスタオルなど、入浴用品を全てしまえるようにしています。
トイレもホテルライクに
かつては窮屈だったトイレはスペースを広げ、手洗い場も設置。その足元には間接照明を入れ、シックな雰囲気としました。手洗い場の正面はストーン柄のタイルを貼ったアクセントウォールとし、トイレ全体の壁はグレーで統一。防水性の高い床の塩ビタイルもこれに合わせた同系色で、奥さま好みのこもったような雰囲気となりました。
将来も見越した
広い玄関ホール
家の顔、玄関ホールは土間との段差を最小限にし、トップライトから光が降り注ぐ明るい空間に。土間部分は白系の大理石調タイルを貼り、美しく、手入れがしやすいよう仕上げました。側面の壁には将来、手すりを設置できるように下地補強を行っています。入って正面に見えるダークブラウンの壁は、納戸の建具。あえて取っ手をつけないことで、デザイン性を高めました。フローリング材はスプーンカット加工が施された、高級な雰囲気となっています。
LDKになじむキッチンと
便利なパントリー
キッチンは手元が隠れるタイプではなくフルフラットに。開放感があり、ここからリビングとダイニングの全てが見渡せる配置です。どちらにも料理が運びやすく、お皿を下げるのもかんたんに。手入れがしやすいガラストップのガスコンロの脇には、テレビ周りと同様にグレーの大理石調タイルを貼り、LDK全体の雰囲気を統一しました。キッチン脇には広めのパントリー。キッチン家電や食品のストックなどはここにしまい、すっきりとした空間を保ちやすくなっています。
SICを通ってアクセスする導線
玄関脇には大きなSIC(シューズインクロゼット)を設置。その出入口は玄関側、廊下側の2つに設け、SIC経由で自然に家の中に入れる動線に。また出入り口の引き戸は吊り下げタイプで、壁の中に引き戸が隠れる戸袋式引き込み戸となっており、床にレールがないため見た目にもすっきりとしています。SIC内には大きな鏡やコート掛け、傘や帽子用のフックも設けて、使い勝手や収納力を高めました。
防水工事と目隠し対策
最上階にあるバルコニーは長年にわたり紫外線や風雨にさらされ痛んでいたため、リフォームと同時に防水工事を行いました。そして洗濯物が周囲から見られることなく、また視線を気にせずここでくつろぐことができるよう、ルーバーを設置。プライバシーを守りながら風や光を取り込むことができます。Kさん夫妻はここにプランターを置き、ガーデニングを楽しむ計画もあるそうです。