物件データ
3世代にわたって受け継がれる山中湖の別荘。老朽化が進んでいたこともあり、当初は新築も検討しましたが、既存の雰囲気を残しながらクラフトでデザインリフォームをすることに決めました。富士山を望む絶好のロケーションを活かせるよう、北側にあった水回りは、庭に面した南側へ移動。ゆったりとしたスペースで入浴をしながら眺望を楽しめます。羽目板を張った壁や天井は既存を活かしていますが、床の無垢フローリングは張り替えて、木製の網戸やサッシも一部交換。外壁もすべて杉板に張り替えました。木のぬくもりに抱かれ、景色を楽しみながらくつろげる別荘となっています。
BEFORE写真
既存を活かしつつ快適性をアップ
LDKや居室の配置はそのままですが、眺望の開けた南側に水回りを移動。既存の水回りがあった北側のスペースは勝手口を設けて土間と洗濯室とし、湿気対策に除湿乾燥機を設置しました。やや暗かった玄関ホールにはトップライトを新設した一方、土間とした北側の空間は収納スペースを確保するために大きな窓を塞ぎ、風通し用の小さな窓を設けるなど、暮らしに合わせた間取りや性能に見直しています。
景色に溶け込む木の外壁
木の外壁があたたかみを感じさせる外観。以前も木の外壁でしたが、老朽化が進んでいたため、すべて張り替えています。水に強く耐久性が高い、杉赤身(芯材)の壁材を採用しました。木の風合いや、シルバーグレーに変化していく様子を楽しむことができます。屋根は剥がれや凹みを補修し、軒天や雨樋などは塗装をし直すなど、全体的なメンテナンスも行いました。
既存の持ち味を活かして
無垢の木材を張った壁や天井は既存を活かし、床はタモの木目が美しい無垢フローリング張りに。壁の色が褪せてしまった箇所は補修し、トップライトはガラスを交換。木製の網戸も新たに製作しました。住まいの持ち味をできるだけ活かしながら美しく蘇らせ、住まいの性能も更新しています。
暖炉とキッチンのつながり
吊り下げ式の暖炉を取り囲むようにソファを配置し、薪の音や香りを楽しむリビング。暖炉やソファは既存を活かしていますが、必要のない空調設備の撤去にともない、ソファ上部のカウンターは既存の色と合わせて一新。床は薄いグレーのタイル貼りで、奥のキッチンやユーティリティへ連続させています。キッチンのダイニング側には、人工大理石のカウンターを設置。暖炉や石の炉台と同系色のダークグレーで統一し、暖炉スペースとキッチンのつながりを感じられるようにしました。
ホテルライクな水回り
洗面室はFIXガラスとガラス扉でゆるやかに仕切り、奥の浴室越しに窓からの眺望を楽しめるレイアウトとしました。隣のトイレに行く動線も兼ねています。人工大理石のカウンターも大判タイルの壁も、石を思わせるグレイッシュカラーでシックな印象に。洗面台は2ボウルを設置してもゆとりある広さで、ホテルライクに仕上げました。
窓の外に広がる絶景
眺望が開けた南側の角部屋は書斎でしたが、恵まれた眺望を最大限に活かすため、浴室と洗面室を移動。高級バスタブメーカーArtisを採用し、入浴タイムをゆったりと楽しめるように。天井は、既存の軒天と同様の羽目板張りにすることで、室内と室外のつながりを演出しています。
空間をゆるやかにエリア分け
浴槽のサイドに、洗面カウンターと同じ色・素材でリネンカウンターを製作。壁のタイルと同系色かつシンプルなデザインが、空間に調和するようにデザインしました。浴槽があるスペースは下がり天井に。間接照明を入れることで、贅沢な広さの水回りをゆるやかにエリア分けしています。
トップライトがもたらす光
玄関は靴箱を撤去し、その部分の壁はマットな黒のボーダータイルを貼って空間を引き締めています。勾配天井にはトップライトを設け、自然光を取り込めるように。既存のダウンライトだけではやや暗かった玄関ホールの明るさや開放感を高めています。
室内と統一されたデザイン
ポーチの床は木煉瓦でしたが、劣化が進んでいたため、タイル貼りに変更。ポーチから玄関にかけて同じタイルを貼ることで、やわらかなグレーが明るい印象を与えています。木製の玄関ドアも木塗装し直し、回りにくくなっていた鍵は交換。木製網戸は経年による変色が予想されるため、メンテナンス時の濃いカラーでの塗装を想定し、木部の保護塗装のみとしています。