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日本の古い住宅のほとんどは「断熱性能が低い」と言われていますが、そんなデメリットを解消してくれるのが断熱リフォームです。この記事では、断熱リフォームの方法や費用相場を、事例とともにご紹介します。
(作成日2023.3.15 更新日2025.5.14)

断熱リフォームとは?
断熱リフォームとは、住宅が外気温の影響を受けにくくするリフォームです。壁や床、天井などに断熱材を入れたり、窓を交換することで気密性を上げ、外気温の影響を受けづらくします。冬の寒さを抑えられるだけでなく、夏場の部屋の気温上昇にも効果を発揮するため、光熱費が上昇している昨今、注目されているリフォームの1つです。
断熱リフォームが必要なケースとは?

断熱リフォームが必要なケースは以下のとおりです。
冬場 | 夏場 |
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・浴室・洗面室が寒い ・窓際が寒い ・結露がある | ・冷房が効きづらい ・最上階が暑い ・夜も熱気を感じる |
これらのうち、一つでも当てはまるものがあるのであれば断熱リフォームを検討するのがおすすめです。
国土交通省が公表しているデータによると、日本は約92%もの住宅の断熱性能が不足しているとされています。現行の基準を満たしている住宅は全体の10%程度しかないため、断熱リフォームが必要な住宅の割合は非常に多くなっています。
断熱リフォームの種類・施工方法・費用
住宅を断熱リフォームの対象となる箇所はいくつかあり、どこをリフォームするかによって費用が異なります。
以下はあくまでも一般的な価格であり、CRAFTは該当しない場合があります。詳しくはお問合せください。
床下の断熱リフォーム
足元からの冷えが気になるケースにおすすめなのが、床下の断熱リフォームです。床下の断熱リフォームでは、フルリフォームで床材を剥がした後に断熱材を充填する方法が一般的です。
面積によりますが、床下の断熱リフォームの費用相場は以下のとおりです。
断熱リフォームの内容 | 費用相場 |
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床材の張り替え+断熱材の充填 | 70〜110万円 |
天井の断熱リフォーム

「最上階が暑い」など、住宅の上の階の暑さが気になるケースにおすすめなのが、天井の断熱リフォームです。天井の断熱リフォームは、敷込み工法や吹き込み工法などの方法で天井裏に断熱材を入れ、住宅の断熱性能を向上させます。
・敷込み工法:天井の骨組みの間に断熱材を敷いて設置する
・吹き込み工法:天井裏に綿状の断熱材を吹き込んで設置する
面積によりますが、天井の断熱リフォームの費用相場は以下の通りです。
断熱リフォームの内容 | 費用相場 |
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天井材のやりかえ+断熱材の充填 | 25〜35万円 |
壁の断熱リフォーム

壁の断熱リフォームは、住宅の外側からの熱をシャットアウトし、住宅全体の快適性を高められる断熱リフォームです。壁の断熱リフォームでは、既存の壁材を撤去し、内側に断熱材を敷き詰めることで住宅の断熱性能を向上させていきます。
費用は壁の面積によって異なりますが、住宅の壁全体を断熱リフォームする際の費用相場は以下のとおりです。
断熱リフォームの内容 | 費用相場 |
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壁の断熱リフォーム | 75〜350万円 |
窓の断熱リフォーム
「窓際が寒い」と感じるケースにおすすめなのが、窓の断熱リフォームです。窓は外からの熱気の入口になりますし、住宅内の空気の出口になるため、「窓際が寒い」と感じるのであればしっかりと対策しなくてはいけません。
窓の断熱リフォームの方法と費用相場は以下のとおりです。
断熱リフォームの内容 | 費用相場(1ヶ所あたり) |
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ペアガラスへの交換 | 5〜15万円 |
インナーサッシ(内窓)の設置 | 8〜15万円 |
樹脂サッシへの交換 | 5〜60万円 ※窓まわりの壁の施工も必要になる場合は高額になります |
窓全体の交換 | 15〜50万円 |
外壁・屋根の断熱リフォーム
断熱リフォームには、外壁や屋根など住宅の外側の断熱性能を高めて対策する方法もあります。外壁・屋根の断熱リフォームでは、断熱塗料を外壁や屋根に塗装して対策していきます。
外壁や屋根の断熱リフォームの費用相場は以下のとおりです。
断熱リフォームの内容 | 費用相場 |
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外壁・屋根の断熱リフォーム | 100〜200万円 |
外壁・屋根の断熱リフォームの費用は、塗装面積や使用する塗料の種類などによって異なります。
また、住宅リフォームではあまり採用されないものの、住宅の外側を断熱材で包み込むように設置していく「外張り断熱」もあります。外張り断熱はコストが高く、外壁の厚みも増しますが、高い気密性の期待できる断熱方法です。
上記はあくまでも一般的な価格であり、CRAFTは該当しない場合があります。詳しくはお問合せください。
住宅の大規模なリフォームとあわせて行うときの費用相場
断熱リフォームは、住宅の大規模なリフォームとあわせて行うこともできます。
CRAFTで、フルリフォームにあわせて断熱リフォームをするときの費用相場は以下のとおりです。
住宅の種類 | 費用相場 |
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戸建て | 高品質グレード 木造 30万円/㎡~ RC造・鉄骨造 35万円/㎡~ |
マンション | 上級グレード 35万円/㎡~ ※ほぼオーダーメイド |
ただし、リフォーム内容によって大きく差があるため、具体的な費用感は青山ショールームの見学&相談会にてお伝えさせていただきます。ぜひお気軽にご参加ください。
築40年、50年の家は断熱材が入っていない?年代別の注意点
築40年や50年などの古い住宅は、断熱性能が十分でないことが多々あります。住宅の年代別の断熱性能における注意点を解説していきます。
築50年の住宅と断熱材の関係
築50年の古い住宅は、断熱材が入っていない「無断熱住宅」であることがほとんどです。
これは、当時の建築基準法に断熱に関する明確な基準がなかったことによるもので、断熱材が入っている住宅もあるものの、断熱性能が非常に低く、十分な断熱性能を備えていない傾向があります。
築40年の住宅と断熱材の現状
築40年の住宅は、「断熱材が入っていても厚みが足りていない」「現在の断熱材の基準に比べて性能が劣る」など、十分な断熱性能を備えていないケースがほとんどです。
1980年代の前半は、徐々に断熱材が普及し始めた時期ではありますが、断熱基準の義務化はされていませんでした。そのため、部分的な断熱しか施されていないことも珍しくなく、快適に過ごせるほどの断熱性能を備えていない住宅が多くなっています。
築30年の住宅と断熱材の注意点
1990年代に建てられた築30年の住宅には、基本的に断熱材が施工されています。しかし、現在の高性能な断熱基準とは差があり、性能も十分ではありません。
壁や床の断熱性能が十分でないことも多く、冷暖房の効率が悪くなったり、結露やカビが発生する原因になることもあります。
CRAFT 断熱リフォーム事例をご紹介
戸建ての断熱リフォームの事例

こちらは、夏の暑さ・冬の寒さが課題だった、築40年の鉄筋コンクリート造をフルリフォームした事例です。断熱リフォームでは、断熱材を全体的に充填し、窓はサッシとガラスを全て交換。また、屋根は野地板を二重にすることで通気層をつくり、遮熱シートを入れて断熱性を高めています。これにより、家全体の断熱・遮熱性が向上しました。
さらに、個別メンテナンスができるエアコンに取り換え、古い配管は撤去。性能を見直し、新築のような快適な住まいへ一新しています。
マンションの断熱リフォームの事例

こちらは、築27年のマンションの最上階にある部屋をフルリフォームした事例です、最大3mの天井を解体したところ、天井の断熱材が不足していることが発覚。
断熱リフォームでは、天井の断熱材を増し吹きしました。また、予備スリーブを活用して吸気口を設けることで、住宅の通気性も向上しています。
断熱リフォームに関するよくある質問
断熱リフォームに関するよくある質問を紹介していきます。
Q 断熱リフォームの工期はどれぐらい?
断熱リフォームの工期は以下のとおりです。
断熱リフォームの種類 | 工期の目安 |
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床下の断熱リフォーム | 2〜6日 |
天井の断熱リフォーム | 2〜5日 |
壁の断熱リフォーム | 1〜2週間 |
窓の断熱リフォーム | 1〜2日 |
外壁・屋根の断熱リフォーム | 2〜3週間 |
また、住宅の大規模なリフォームにあわせて断熱リフォームを行うときの工期の目安は以下のとおりです。
- ・マンション:3~4ヶ月
- ・戸建て:4~6ヶ月
ただし、これらはあくまでも目安であり、住宅の広さやリフォームの方法などさまざまな条件によって変わるので、正確な工期については、リフォーム業者に問い合わせて確認するようにしましょう。
Q 断熱リフォームは住みながらできる?
住みながらリフォームできるかどうかは、リフォームの方法によって異なります。
内窓の設置や床材・天井材を剥がさずに行う方法での断熱リフォームであれば仮住まいを用意する必要はありません。工事の音や作業員の声などは気になるかもしれませんが、住みながらリフォームできます。外壁や屋根の断熱リフォームも、工期は長めですが、住みながらリフォーム可能です。
一方、既存の内装材を撤去する断熱リフォームは、住みながら行うのに向いていません。住宅の大規模なリフォームをともなう断熱工事も同様で、事前に仮住まいを用意しておいて、工事期間中はそこで生活するといった対応をおすすめします。
Q 「断熱リフォームは効果なし」って本当?
断熱リフォームに対しては「効果がない」といった意見もありますが、決してそのようなことはありません。断熱材を充填したり内窓を設置したりすることでより快適に過ごせるようになりますし、無断熱住宅や断熱性能が低い傾向がある古い住宅ほど、より高い効果を実感できるようになります。
Q 断熱リフォームで失敗しないためにできることはありますか?
断熱リフォームで失敗しないためには、以下の2点を押さえておくことが大切です。
- ・信頼できる業者を見つける
- ・補助金を活用する
断熱リフォームは、ただ断熱材を充填すればいいわけではありません。正しく施工しないと気密性を十分に向上させることはできないので、技術力の高い、信頼できる業者への依頼がとても重要になります。
また、断熱リフォームには補助金が適用されることがあります。数十万円単位で補助金を受け取れることもあるので、「申し込んでおけばよかった…」とならないためにも、事前に調べておくようにしましょう。
<まとめ>断熱リフォームによって、快適な暮らしが叶う
築30〜50年の古い家は断熱性能が十分ではないケースがほとんどですが、断熱リフォームを行えば、冬は暖かく、夏は涼しい快適な暮らしが叶います。
断熱リフォームには、壁の断熱リフォームや床下の断熱リフォームなどさまざまな方法がありますが、フルリフォームのタイミングで「間取り変更」「デザイン変更」とともに行うのがおすすめです。
断熱リフォームを含む大規模リフォームを検討中の方は、ぜひCRAFTにご相談ください。断熱リフォームの経験豊富な設計担当がお客さまのお悩みに合わせて、最適な方法をご提案します。



<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。