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注意しなければならないデメリットがあるものの、耐用年数が長くて地震に強いなど、メリット(長所)が際立っているRC造(鉄筋コンクリート造)の住宅。RC造の住宅をリフォームする際は、壁式構造やラーメン構造など、RC造の特徴を熟知しているリフォーム会社に依頼することが大切です。
RC造のデメリットやメリットに触れながら、デメリットを解消するリフォームのポイントなどを紹介します。
RC造(鉄筋コンクリート造)のデメリット
RC造(鉄筋コンクリート造)の住宅には、以下のようなデメリットがあります。
- ・しっかりとした地盤が必要
- ・構造により間取り変更の自由度が変わる
- ・配線や配管の位置を変えにくい
- ・結露・カビが起こりやすい
- ・遮音性・防音性が低いケースもある
- ・経年劣化・汚れが目立ちやすい
- ・鉄骨造や木造よりも、建て替え(新築)費用が高くなる
- ・外断熱は費用が高くなる
しっかりとした地盤が必要
RC造(鉄筋コンクリート造)の住宅は、鉄筋やコンクリートなど重量がある材料を使って建設するため、それを支えるしっかりとした地盤が必要になります。地盤が軟弱だと、基礎の補強や杭工事が必要になり追加費用が発生するため、木造や鉄骨造の住宅よりも高額になることがあります。
構造により間取り変更の自由度が変わる
RC造(鉄筋コンクリート造)の「壁式構造」の場合、物の強度を支える重要な構造部分である耐力壁は、撤去・移動ができません。そのため、どうしても自由度が低下してしまいます。
リフォームで間取り変更する際は、動かせない壁を考慮したプランを考えたり、構造計算のもと壁の一部を開口するといった方法を検討し、できるだけご希望の間取りに近づくように努めます。
配線や配管の位置を変えにくい
RC工法で住宅を建てる場合、電気・水道・ガスなどの配線や配管は、鉄筋といっしょにコンクリートの中に埋設するのが一般的です。そのため、後からリフォームで位置を変更しようとなると制約が多く、工事が大掛かりになってしまうというデメリットがあります。
リフォームでは二重床・二重天井を設けて配管を通すなどの工夫をし、新たな配線ルートをつくります。
結露・カビが起こりやすい
RC造(鉄筋コンクリート造)の住宅は、気密性が高い住宅です。高い気密性によって室内に湿気がこもりやすく、結露やカビが発生しやすいというデメリットがあります。
このRC造の住宅ならではのデメリットは、断熱材の充填や窓ガラスの変更などの結露対策リフォームで解消できます。
遮音性・防音性が低いケースもある
コンクリートの厚みと密度によって優れた遮音性や防音性を発揮するRC造(鉄筋コンクリート造)の住宅ですが、例外的なケースもあります。
壁や床のコンクリートの厚みが十分でない場合は遮音性や防音性が低くなりやすいため、遮音性の高いフローリング材への交換や遮音材の設置などのリフォームによる防音対策が必要になります。
経年劣化・汚れが目立ちやすい
木造住宅が腐食や雨漏りによるシミが目立ちやすい一方で、RC造(鉄筋コンクリート造)の住宅にはコケやカビ、雨だれによる汚れや黒ずみが目立ちやすいというデメリットがあります。これは、RC造の建物に用いられるコンクリートが水分を吸収しやすい性質をもっているためで、日のあたらない外壁部分は特に汚れが目立ってしまいがちです。
これらの問題は、高圧洗浄機による外壁の掃除や外壁塗装による定期的なメンテナンスで解消できます。
鉄骨造や木造よりも、建て替え(新築)費用が高くなる
RC造(鉄筋コンクリート造)の戸建ては、部材が高く、解体費用も高額です。そのため、鉄骨造や木造の住宅に比べて建て替え(新築)にかかる費用も高くなります。
一方、リフォームで使用する建材は鉄骨造でも木造でも変わらないため、経済的に対応できます。
外断熱は費用が高くなる
RC造(鉄筋コンクリート造)は、外断熱の費用も高額になりがちです。これは新築でもリフォームでも変わりなく、初期費用が高額になりやすくなっています。
また、外断熱によって外壁の厚みが増すため、敷地や間取りに制限が生じることがありますし、火災時の延焼リスクが懸念されることも。知識や経験に差が出やすい工事なので、施工を依頼する業者選びが難しいというデメリットもあります。
そのため、リフォームではコストパフォーマンスの高い「内断熱」が採用されるケースがほとんどです。
RC造(鉄筋コンクリート造)のメリット

RC造(鉄筋コンクリート造)の住宅には、以下のようなメリットがあります。
- ・耐震性が高い
- ・耐火性が高い
- ・遮音性が高い
- ・建物が長持ちする
- ・メンテナンスしやすくリフォーム向き
耐震性が高い
圧縮に強いコンクリートと引っ張る力に強い鉄筋が一体となり、お互いの弱い部分を補い合っているRC造(鉄筋コンクリート造)の住宅は、木造や鉄骨造の住宅よりも高い耐震性と耐久性を誇ります。
地震発生時には、コンクリートと鉄筋が地震の力を効率的に受け止めて分散・吸収してくれるので、建物が倒壊するリスクも低くなります。
耐火性が高い
RC造(鉄筋コンクリート造)の住宅は耐火性にも優れています。これは、火災に強い不燃材のコンクリートを主材料の一つとしているためです。使用する建材によっても異なりますが、木を主材料とする木造住宅よりも耐火性能は高めです。
また、火災によって建物の温度が上昇しても強度が下がりませんし、燃えないので、有毒なガスも発生しないという強みがあります。
遮音性が高い
鉄筋の間にコンクリートを流し込んでつくる鉄筋コンクリート造(RC造)には、遮音性・防音性に優れているというメリットもあります。これは、密度が高く隙間のできにくいコンクリートを用いるためで、木造や鉄骨造の住宅よりも高い遮音性・防音性を誇ります。
生活音や騒音はストレスやトラブルのもととなるため、遮音性の高さは大きな利点といえるでしょう。
建物が長持ちする
主要構造部が鉄筋とコンクリートでつくられる鉄筋コンクリート造(RC造)は、非常に丈夫で、建物の寿命も長めです。法定耐用年数(税法上で定められた資産としての価値を持つ年数)は47年で、木造の22年や鉄骨造の19〜34年に比べて10年以上長くなっています。
また、適切にメンテナンスすることで100年以上住み続けられるともいわれています。
メンテナンスしやすくリフォーム向き
メンテナンスしやすくリフォーム向きである点も、鉄筋コンクリート造(RC造)のメリットの一つです。
壁に小さなひび割れ(クラック)などは、鉄筋の錆止めや補修材でメンテナンス可能です。タイルや塗装、防水工事なども定期的に行いやすく、これらのメンテナンスによって建物の寿命を延ばすことができます。また、「ラーメン構造」であれば、大幅な間取り変更もスムーズです。

鉄筋コンクリート造(壁式構造・ラーメン構造)の特徴

鉄筋コンクリート造には「ラーメン構造」と「壁式構造」の2つがあり、構造によってリフォームの自由度が変わります。
ラーメン構造で実現できる間取り
ラーメン構造は、柱と梁で骨組みを作り、建物を支える構造です。フレームがしっかりしていて、柱と柱の間隔が広いので、間取り変更の自由度も高くなります。
ただ、柱と梁で建物を支えるという性質上、それぞれの部材が大きくなり、室内に柱や梁が張り出すことも。
リフォームでイメージ通りになるかどうかや家具を上手く配置できるかどうかなどを事前に確認しておくようにしましょう。
【ラーメン構造でできること】
- ・複数の部屋を一つの広い大部屋にする
- ・間仕切り壁を取り払ってワンルームにする
- ・壁・窓の位置を変更する
ラーメン構造はリフォーム時の自由度が高く、上記のようにさまざまなリフォームを行うことができます。ただし、家の構造によっては制限が出る可能性もあるため、詳しくはリフォーム会社に確認してみましょう。
壁式構造で実現できる間取り
壁式構造は「面」によって建物を支える構造です。6枚の面(壁4枚、天井、床)で構成されており、ラーメン構造よりも地震に強いといった特徴があります。また、柱や梁が張り出さないため室内がすっきりするという特徴もあります。
一方、コンクリートの耐力壁を移動させたり取り払ったりすることが難しく、リフォーム時の間取り変更が制限されがちな点は壁式構造ならではのデメリットです。また、窓や出入り口を大きくするような開口部のリフォームにも制約が出やすいというデメリットもあります。
【壁式構造でできること】
- ・壁を部分的に開口するなど工夫して部屋をつなげる
- ・耐力壁以外の壁の移動・撤去
- ・構造上動かせない壁をインテリアとして取り込み、存在感を抑える
ラーメン構造に比べて不利と思われがちな壁式構造ですが、視覚的・デザイン的な工夫で希望の間取りを実現できる可能性も。
CRAFTでは希望の間取りの実現のために、さまざまな工夫を取り入れたプランニングを行っています。ぜひお気軽にご相談ください。
RC造(鉄筋コンクリート造)のデメリットを解消するリフォームのポイント

RC造(鉄筋コンクリート造)ならではのデメリットを解消するには、以下のポイントを意識しながらリフォームすることが大切です。
- 1. 結露対策をする
- 2. 断熱リフォーム(内断熱・外断熱)を行う
- 3. 外壁の汚れが気になる場合は高圧洗浄や塗装
- 4. 防音対策をする
- 5. 壁式・ラーメン各構造に適したプランを考える
デメリットを解消するには、発生している問題に対して適切な方法でのアプローチがとても重要になります。
1. 結露対策をする
RC造(鉄筋コンクリート造)の結露やカビの問題は、断熱材の充填や窓の断熱リフォームで解決できます。断熱材を充填することで壁と空気の温度差が小さくなって結露が減少しますし、窓ガラスをLow-E複層ガラスやペアガラスに変更したり二重サッシに変えることで結露の発生を防げるようになります。
その他にも、高機能な換気システムの導入や防カビ処理などでの対応も可能です。
2. 断熱リフォーム(内断熱・外断熱)を行う
コンクリートは熱伝導率が高いため、冬は冷えて部屋が暖まりづらく、夏は熱されたコンクリートによって部屋が暑くなりがちです。そんなRC造(鉄筋コンクリート造)の住宅で一年中、快適に過ごすためには、外気温の影響を受けにくくする「断熱リフォーム」がおすすめです。
断熱リフォームを行うと外気温の影響を受けにくくなるので、冷暖房費も節約できます。
3. 外壁の汚れが気になる場合は高圧洗浄や塗装
RC造(鉄筋コンクリート造)の住宅は表面のコンクリートに塗装をして仕上げることが多くありますが、この場合は外壁の汚れが気になることも。外壁をきれいに保ちたいときは、リフォーム時の高圧洗浄がおすすめ。高圧洗浄での対応が難しい汚れは、お好きなカラーで塗装し直すこともできます。
また、コンクリート打ちっぱなしの住宅は、高圧洗浄をした後に撥水剤を塗ることで汚れがつきにくくなります。
4. 防音対策をする
RC造(鉄筋コンクリート造)の住宅の防音性能はリフォームで向上できます。
外からの騒音に対しては内窓を設けたり遮音性の高いガラスに変えるなどの方法で対応可能です。上階の騒音に対しては、防音性のあるフローリングへの変更や床への遮音材の設置、二重床などで対処できます。
また、壁を二重にしたり、玄関や室内のドアを遮音性・防音性の高いものに交換する方法も有効です。
5. 壁式・ラーメン各構造に適したプランを考える
ラーメン構造と壁式構造では、間取り変更でできることが変わってきます。制約が多くなりがちな壁式構造の場合、リフォームプランを工夫する必要があるでしょう。
CRAFTではご希望の間取りを実現できるよう、デザイン的・視覚的に最大限の工夫を行っています。ラーメン構造はもちろん、壁式構造のお住まいの方もぜひご相談ください。

RC造(鉄筋コンクリート造)のリフォーム事例
ここからは、CRAFTのRC造(鉄筋コンクリート造)のリフォーム事例をご紹介します。
〈リフォーム事例1〉工夫によって壁式構造の制約をクリア

お住まいのRC造(鉄筋コンクリート造)戸建てを、デザインリフォームしました。壁式構造であったため間取り変更には制約がありましたが、プランを工夫することで理想の空間をつくりあげました。アッシュ、珪藻土、サペリなどさまざまなマテリアルに包まれたリゾートライクな住まいの誕生です。
〈リフォーム事例2〉デメリットをメリットに変えて快適な住まいに

地下が鉄筋コンクリート造、地上階は木造というお住まい。湿気にお悩みだったことから、地下1階の浴室・洗面室を1階に移動しています。また、既存の階段をスケルトン階段に変更し、湿気の抜け道をつくったこともポイント。換気扇も一新して風通しを高めるなど、湿気対策を行っています。
RC造のリフォームは建て替え費用の1/2!ただし経験と実績が豊富な会社に依頼しよう
RC造(鉄筋コンクリート造)の住宅は、建て替えの1/2の費用でリフォームできます。費用的なメリットが非常に大きいので、中古住宅を購入してリフォームするのもおすすめです。
RC造にはならではのデメリットもありますが、デメリットはリフォームで解決できます。ただし、構造に関わる難しい工事になることも多いので、RC造住宅のリフォーム経験と実績のある会社に依頼することが大切です。
<RC造リフォームの実績豊富な会社に依頼するメリット>
- ・間取り変更や設備工事の制約を把握している
- ・防音・断熱・防水など専門的な工事も安心
- ・施工計画・工程管理がスムーズ
- ・長期的なメンテナンスも見据えた提案が可能
これから中古戸建てを買ってリフォームする方も、ご自宅をリフォームする方も、ぜひCRAFTにご相談ください。
青山ショールームの見学%相談会では、どのようなことでもご相談いただけます。
<青山ショールーム見学&相談会でできること>
- ・現状のお悩みのヒアリング
- ・建て替えとリフォームの比較
- ・実現可能なプラン、費用感
- ・ショールームのご見学
ぜひお気軽にお申し込みください。



<著者>上原 宏介
住宅関連のコンテンツ作成を得意とするライター。専門的な言葉や用語が多くわかりづらくなってしまいがちな建築・リフォーム関連の情報をわかりやすくお伝えしています。さまざまな媒体で建築・リフォーム・不動産関連のコラムを多数執筆中。