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鉄筋コンクリート造(RC造)は、戸建てやマンションなど一般住宅に使用される建物構造です。鉄筋とコンクリートを組み合わせているため高い耐久性・耐震性を持っているなど、数多くの優れた特徴があります。この記事では、鉄筋コンクリート造(RC造)の特徴やメリット・デメリット、実際のリフォーム・リノベーション事例をご紹介します。
鉄筋コンクリート造(RC造)とは
鉄筋コンクリート造(RC造/Reinforced Concrete)とは、柱、梁、壁、床、屋根、階段といった主要構造部を、鉄筋とコンクリートでつくった構造の建物です。鉄筋を組み立てて、型枠材でその周りを囲み、コンクリートを流し固めてつくる鉄筋コンクリート造は耐久性・耐震性に優れ、さまざまな建物に採用されています。
鉄筋コンクリート造(RC造)の特徴
ここからは、鉄筋コンクリート造(RC造)の建材や構造、柱や梁、壁、基礎、劣化対策などの特徴について解説します。
〈1〉建材
鉄筋コンクリート造(RC造)は、「鉄筋」と「コンクリート」の2つを組み合わせた構造です。互いの弱点を補い合うことで高い強度を実現しています。
鉄筋
鉄筋コンクリート造の建物に使用する鉄筋は、異形鉄筋といわれる棒鋼が使われます。異形鉄筋は建物の構造材料の一つで、表面に「リブ」や「節」と呼ばれるデコボコの突起を付けることで、コンクリートとの付着性を高めています。
鉄筋は、熱やサビ(錆)、圧縮力に弱いものの、引っ張る力には強い素材です。地震の揺れによる引っ張る力に対抗するのが、鉄筋です。
コンクリート
コンクリートは、セメントや細骨材、粗骨材、混和材料、水で構成されます。
コンクリートは引っ張る力には弱いものの、圧縮力に強いことが特徴です。また、コンクリートは不燃材であるため熱に強く、錆にも強いという利点があります。コンクリートが鉄筋を覆うことで、鉄筋を火やサビから守っています。
〈2〉構造
鉄筋コンクリート造(RC造)には、「ラーメン構造」と「壁式構造(パネル式構造)」という2種類の構造があることも特徴の一つです。
この2つでは主に、「鉄筋コンクリート造をどのように組んで建物に強度を持たせるか」という点で違いがあります。それぞれの構造について見ていきましょう。
ラーメン構造
ラーメン構造は、柱と梁を一体化した骨組みで構成された構造です。
原則として柱と梁で強度を確保するため、ブレース(筋交い)や耐力壁を必要とせず、窓や扉、シャッターなどの大開口や、広々とした大広間、大きな吹き抜けをつくることができます。
リフォーム・リノベーション時の空間設計の自由度が高く、思い通りの間取りを実現しやすいでしょう。
壁式構造(パネル式構造)
壁式構造は、柱や梁ではなく、壁や床などの面によって建物全体を支える構造です。柱や梁で支えるラーメン構造よりも頑丈で、より耐震性に優れています。
柱や梁が出っ張らないため室内がすっきりとして、デッドスペースができにくく、インテリアや家具配置の自由度が高いことが特徴です。
一方、開口部の位置や大きさ、数の変更に制限があり、ラーメン構造に比べるとリフォーム・リノベーションに制限があります。
〈3〉柱と梁
鉄筋コンクリート造の柱には「主筋」と「帯筋」が、梁には「主筋」と「あばら筋」とよばれる鉄筋が入っています。
主筋は曲げモーメント(部材を曲げようとする力)に対して抵抗し、帯筋やあばら筋はせん断力(物体にずれを起こす力)に対して抵抗します。
これらの鉄筋によって建物に粘りを持たせることで、地震の揺れによる倒壊を防いでいます。
〈4〉壁
鉄筋コンクリート造では、壁の縦横に鉄筋を配置します。また、開口部の周囲にも鉄筋を配置し、補強することで耐震性を高めています。
〈5〉基礎
鉄とコンクリートを組み合わせた鉄筋コンクリート造(RC造)は木造(W造)や鉄骨造(S造)の建物に比べると、数倍の重さがあります。
そのため、建物の重みに耐えられるよう、しっかりした基礎工事を行う必要があります。地盤が弱い場合は、地盤改良工事が必要です。費用は高額になるものの、リフォーム・リノベーション時に地盤改良工事をすることもできます。
〈6〉劣化対策
鉄筋コンクリート造(RC造)は丈夫な建物ではあるものの、経年劣化や地震、乾燥収縮などの影響によってひび割れが起こることがあります。
通常であれば鉄筋部分はコンクリートに覆われ守られているものの、ひび割れができるとそこから雨水が入り込み、サビて劣化し、耐震性や耐久性が低下してしまいます。建物の性能を維持し、寿命を延ばすためにも劣化対策や定期的なメンテナンスが重要です。
鉄筋コンクリート造(RC造)のメリット
ここからは、鉄筋コンクリート造(RC造)のメリットをご紹介します。
〈1〉耐震性が高い
鉄筋コンクリート造(RC造)は、非常に高い耐震性・耐久性が特徴です。鉄筋が引っ張る力に耐え、コンクリートが圧縮による力に耐えるため、建物が倒壊するリスクが低いというメリットがあります。
〈2〉耐火性に優れている
主材料であるコンクリートは不燃材であるため耐火性に優れ、火災に強いことも特徴です。鉄筋コンクリート造(RC造)は火災によって温度が上昇しても強度が下がらず、燃えないため有毒なガスも発生しません。
〈3〉遮音性が高い
鉄筋の間にコンクリートを流し込んでつくる鉄筋コンクリート造(RC造)は隙間ができにくく、遮音性・防音性に優れています。生活を送る上で生活音や騒音はストレスやトラブルのもととなるため、遮音性の高さは大きな利点といえるでしょう。
〈4〉建物の寿命が長い
主要構造部が鉄筋とコンクリートでつくられ、非常に丈夫な鉄筋コンクリート造(RC造)は建物の寿命が長いということも特徴の一つです。
他の建物構造と比べると、法定耐用年数(税法上で定められた資産としての価値を持つ年数)も47年と長く、鉄筋コンクリート造の住宅は適切なメンテナンスを行えば100年以上もつともいわれています。
〈5〉メンテナンスしやすくリフォーム・リノベーション向き
鉄筋コンクリート造(RC造)はメンテナンスしやすく、リフォーム・リノベーションに適していることも大きな特徴の一つです。
経年劣化や地震の影響、温度や湿度の変化によって、壁に小さなひび割れ(クラック)が生じることがありますが、鉄筋の錆止めや補修材などを使って補修することでメンテナンスできます。
もともとの構造躯体が丈夫であるため、しっかりとメンテナンスを行えば、建て替え(新築)のための解体費用を抑えてリフォーム・リノベーションで理想の住まいをつくりあげることが可能です。
鉄筋コンクリート造(RC造)場合、構造躯体が頑丈であるため、解体+建築を行う建て替え(新築)の場合は費用が高額になりがちに。しかし、リフォーム・リノベーションであれば丈夫な構造躯体を活かすことで、建て替えのおよそ1/2の費用で住まいを新築のように新しくできます。
鉄筋コンクリート造(RC造)は、建て替えよりもリフォーム・リノベーションがお得です。
〈6〉広い空間を設けるなどデザインの自由度が高い
鉄筋コンクリート造(RC造)は、丈夫な構造躯体を活かして広い空間を確保できることや、デザインの自由度が高いこともメリットです。
リフォーム・リノベーションで鉄筋コンクリート造の増築も可能です。
増築で施工しやすいのは木材ですが、鉄筋コンクリートを使用すれば耐久性・耐震性・耐火性・遮音性などに優れた建物になり、資産価値の維持にもつながります。
鉄筋コンクリート造(RC造)のデメリット
ここからは、鉄筋コンクリート造(RC造)のデメリットをご紹介します。
〈1〉配線・配線を後から変更することが難しい
鉄筋コンクリート造(RC造)の構造躯体は、鉄筋の枠にコンクリートを流し込んで固めて作ります。
配線は型枠にコンクリートを流し込む前に配管を埋めておき、コンクリートが固まってから電線を通して取り付けを行うため、配線や配線を後から変更することは難しい点に注意が必要です。
〈2〉結露が起こりやすい
鉄筋コンクリート造(RC造)は気密性が高く、湿気がたまりやすいため結露やカビが発生しやすい傾向にあるため注意が必要です。
こまめな換気を行い、結露を発生させないようにしましょう。ただし、2003年に建築基準法が改正されすべての建築物で24時間換気システムの設置が義務化されたため、築浅物件の場合はカビや結露などは改善されているようです。
〈3〉室温が外気温に影響されやすい
コンクリートは熱伝導率が高く、室温が外気温に影響されやすいというデメリットがあります。
鉄筋コンクリート造(RC造)は気密性が高いことも相まって、夏は室内が高温になることも。また、冬は「暖房を入れてもなかなか暖まらず、寒い」といった声も少なくありません。
リフォーム・リノベーションの際に断熱リフォームも併せて行うことで、一年中、過ごしやすい住まいにできるでしょう。
鉄筋コンクリート造(RC造)のリフォーム事例
ここでは、鉄筋コンクリート造(RC造)のリフォーム事例をご紹介します。
〈リフォーム事例1〉ライフスタイルに合わせた生活動線
自宅と店舗を行き来するライフスタイルに合わせ、生活動線を極力短くするリフォームでスムーズでストレスのない暮らしを実現しました。
築40年の鉄筋コンクリート造(RC造)のこちらの住まいでは「結露」に悩んでいたということで、窓にインナーサッシを設けたり、高断熱のサッシに交換することで対処しました。
〈リフォーム事例2〉ホテルのようなくつろぎの空間
事務所兼住宅として使われていた鉄筋コンクリート造のビルを購入し、ハイクラスなホテルのようにくつろげる空間にリフォームしました。
友人のためのゲストルームやプレイルームと、オーナー夫妻の寝室とバスルームはフロアで分けることで、誰もがのんびりとくつろげる居場所になっています。
〈まとめ〉RC造リフォームならCRAFTへ
鉄筋とコンクリートを組み合わせた鉄筋コンクリート造(RC造)は、耐震性・耐久性・耐火性・遮音性に優れているため、安心して住み続けられることが特徴です。建物の構造躯体が丈夫でメンテナンス性が高く、リフォーム・リノベーションにも向いています。
CRAFTでは、これまで数多くの鉄筋コンクリート造リフォーム・リノベーション実績があります。ラーメン構造・壁式構造など構造や、建物の状態によって費用・実現できることが変わってくるため、まずはお気軽にお問い合わせください。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。