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鉄筋コンクリート造(RC造)の建物は強度が高く、耐久性・耐震性・耐火性に優れているため、戸建てとしてもおすすめです。その一方で「湿気」に悩んでいるという方は少なくないようです。この記事では、鉄筋コンクリート造(RC造)の湿気の原因や湿気対策、鉄筋コンクリートリフォームについて、詳しく解説します。
鉄筋コンクリート造は湿気・カビが生じやすい?
人と同じく、建物にも呼吸が大切です。木造住宅に比べると鉄筋コンクリート造(RC造)は湿気やカビが生じやすい傾向があります。湿気やカビが発生すると劣化につながり、建物の寿命を縮めてしまうことになるため、注意が必要です。
リフォームで湿気を解消すれば住まいの寿命を延ばせる!
湿気や結露が生じると、カビが発生しやすくなります。カビは表面だけでなく構造躯体にまで及ぶこともあり、建物を傷めると同時に、住宅に暮らす人の健康にも悪影響を与える原因です。
気になる鉄筋コンクリート造(RC造)の湿気は、リフォーム・リノベーションによって対策できます。大切な住まいに長く安心して住み続けるためにも、湿気にお悩みの場合はリフォーム・リノベーションを検討してみましょう。
「どんな湿気対策をすればいいかわからない」という場合は、プロに相談するのもおすすめです。
鉄筋コンクリート造(RC造)に湿気が多い原因
鉄筋コンクリート造(RC造)に湿気が多いのは、いくつかの原因があります。ここから詳しくチェックしてみましょう。
〈1〉気密性が高い
鉄筋コンクリート造(RC造)は、気密性が高いことが特徴です。気密性が高いと外気が住まいの中に入り込むことを防いだり、暖かい空気を外に逃さないといったメリットがある一方で、室内に湿気がこもりやすくなります。
〈2〉調湿性が低い
湿気の多さは、住まいに使用されている素材も影響しています。木造(W造)の場合、構造躯体に使用する木材に湿気を吸収して湿度を調整する「調湿性能」があります。湿度が高いときには湿気を取り込み、湿度が下がると湿気を吐き出してくれるため、室内の湿度の変化が緩和されるという仕組みです。
しかし、鉄筋コンクリート造(RC造)の素材である「鉄筋」や「コンクリート」には木材のような調湿機能はないため、湿気がこもりがちになります。
〈3〉熱を伝えやすく結露が発生する確率が高い
結露は、室内と室外の温度差によって生じます。鉄筋コンクリート造(RC造)は構造躯体に金属を使用しているため木材に比べて熱を伝えやすいという性質があり、外気温の影響を受けやすく、結露が発生しやすい傾向にあります。
〈4〉地面からの湿気
鉄筋コンクリート造(RC造)の1階部分は、上階に比べて特にカビが生じやすいといわれています。これは、雨が降った後に地面からの湿気を取り込んでしまうためです。また、1階は防犯のために窓を閉めたままにしているというご家庭が多く、換気がされないことで湿気が溜まり、カビが生じやすくなります。
〈5〉風通しが悪い
住宅密集地に建ち、窓が一方向にしかない間取りなど、物件によっては風通しが悪いことも。これは構造関係なく共通して言えますが、住宅の風通しが悪いと湿気が出ていかず、室内にこもりやすくなります。
鉄筋コンクリート造(RC造)で湿気・カビが発生しやすい場所
鉄筋コンクリート造(RC造)の住まいで特に湿気やカビに注意したいのが、以下のような場所です。
- ・1階〜地下にある部屋
- ・北側の部屋
- ・キッチンや洗面室、トイレ、浴室など水回り部分
- ・クローゼット・押し入れなど収納部分
- ・窓周辺
これらの場所は湿気や結露が起こりやすく、カビが発生しやすいため注意してしっかり換気を行いましょう。
鉄筋コンクリート造(RC造)の湿気対策7つ
ここからは、日常的にできることから、リフォームでできる効果絶大な湿気対策までをご紹介します。
〈1〉換気をする
湿気対策の基本は、換気です。定期的に窓を開けて室内の空気を入れ替え、こもっていた湿気を外に逃しましょう。風通しをよくするために、窓は2ヶ所以上開けるのがポイントです。窓の数が少ない場合は、一時的に玄関の扉を開けるなどして風の通り道を作りましょう。
〈2〉燃焼する暖房器具を使わない
ガスファンヒーターや石油ファンヒーターなどの燃焼系の暖房器具は、燃焼時に熱とともに水分が発生します。灯油1リットルを燃焼させると約1リットルの水が排出されるといわれており、結露につながります。結露が気になる場合は放射熱型タイプや外気吸入タイプの暖房器具を使うといいでしょう。
〈3〉室内に洗濯物を干さない
梅雨など雨が続く日は、仕方なく洗濯物を部屋干しすることもあるもの。しかし、部屋干しは室内の湿度を上げてしまうことになります。室内に洗濯物を干していると、1日あたり約2.5リットル以上の水蒸気を放出するといわれており、湿気の増加につながります。どうしても部屋干しする場合は、暖房をつけて室温を高くするなどの対策をするといいでしょう。
〈4〉リフォームで日当たりをよくする
日当たりが悪いと、湿気が蒸発しづらくなり、じめじめとした雰囲気になります。。まリビングを2階に移動する。
- ・吹き抜けをつくる
- ・スケルトン階段を採用する
- ・トップライト(天窓)やハイサイドライト(高窓)を設ける など
上記のようなリフォーム・リノベーションを行って、日当たりをよくすることも湿気対策の一つです。風の通り道を確保し、どの部屋にもしっかり風が入るようにすれば、湿気がこもりにくくなり、より快適に過ごせるようになるでしょう。
〈5〉リフォームで窓を大きくする・数を増やす
リフォーム・リノベーションによって窓を大きくしたり窓を増やしたりすると、風が通りやすくなり、換気の効率が高まります。周囲が他の住宅に囲まれている場合など、周囲の目が気になる場合はバルコニーにルーバーを取り付けたり、天窓や高窓を設置すれば、プライバシーを確保しつつ通風できます。
〈6〉断熱リフォーム
鉄筋コンクリート造(RC造)の住まいの多くは「冬は寒く、夏は暑い」といわれていますが、断熱リフォームを行えば、湿気対策と同時に寒さ・暑さ対策もできます。
〈7〉結露対策リフォーム
断熱リフォームに加えて、「風通しのいい間取りに変更する」「換気口や給気口を新設する」「窓の性能を高める」といった結露対策リフォームを行うことも大切です。現在の住まいの悩みに合わせて最適な工事を行い、問題解決につなげましょう。
また、リフォーム・リノベーションの際に漆喰や珪藻土など湿気を吸収する素材を使うのもおすすめです。これらの自然素材は高い調湿性能を持っているため、湿度を適切に保ち、結露の発生を抑える効果が期待できます。
鉄筋コンクリート造の湿気対策リフォーム事例
ここでは、CRAFTが行った鉄筋コンクリート造の湿気対策リフォーム・リノベーション事例をご紹介します。
〈リフォーム事例1〉さまざまな湿気対策で快適に
ご両親から譲り受けたのは、鉄筋コンクリート造と木造の混合造の戸建て。家族4人が快適に暮らせるようにデザインリフォームしています。気になっていたという1階LDKの日当たりや、鉄筋コンクリート造の地下にある浴室の湿気を改善するため、さまざまな湿気対策を行いました。
湿気が溜まりがちだった地下の浴室と洗面室は1階に移動し、リビングは日当たりのよい2階へ。さらに既存の階段をスケルトン階段(ストリップ階段)に変更し、風が上下階を巡るように工夫。換気扇の付け替えを行うなど工夫を詰め込んで、住まい全体に風の通り道をつくりました。
〈リフォーム事例2〉FIX窓を引き違い窓にして通気性アップ
ご両親が所有する鉄筋コンクリート造の物件を、フランク・ロイド・ライト設計の「落水荘」のような空間をイメージしてデザインリフォームしました。
湿気が多くなりがちな北側の寝室は、枠やガラスが固定されて開けることができない「FIX窓(はめ殺し窓)」から「引き違い窓(左右のガラス戸をスライドさせる方式の窓)」に変更。さらに、寝室とリビングの出入り口を引き戸にして、心地よい風が住まいの中を吹き抜けるようにしました。
〈まとめ〉湿気対策リフォームで暮らしをもっと快適に
鉄筋コンクリート造(RC造)の住宅は耐震性・耐久性・耐火性が高く、メンテナンス次第では100年以上住み続けられるなど、長く安心して暮らすことができます。
気密性の高さやコンクリートという材質から湿気やカビが気になることも多いものの、これらの悩みは住まい一つ一つに合った最適なリフォーム・リノベーションを行うことで改善可能です。
CRAFTでは、鉄筋コンクリート造(RC造)をはじめとした豊富な実績を活かし、こだわりの詰まったリフォーム・リノベーションを行っています。
湿気やカビなど今の住まいの悩みを改善しつつ、理想の間取りやデザインを実現するプランをご提案いたしますので、ぜひ一度お気軽にお問合せください。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。